ブロックチェーンにおける最も基盤の部分のLayer1ブロックチェーンは、様々なものが登場し、ブロックチェーンのトリレンマを解消するために、コンピューターの進化と同様にコンポーネントが多層化されて構成されるようになりました。Cube Networkは、機能別に多層化されたアーキテクチャである「モジュラーブロックチェーン」としてEVM互換チェーンを提供します。
Cube Networkの概要
Cube Networkは、EVMとCosmosエコシステムと互換性がある高性能なモジュラーブロックチェーンで、暗号資産として$CUBEを発行しています。Cube Networkを使うことでチェーン全体で高速なトランザクションができ、かつCosmosエコシステムをはじめとした様々なチェーンとの相互接続を容易にします。
EVM互換のチェーンは数多く登場しているものの、多くのチェーンがその容量に限りがあります。そのための拡張方法として考案されたのが、機能別ににコンポーネントを多層化して構成したモジュラーブロックチェーンになります。モジュラーブロックチェーンとしてのCube Networkは、コンポーネントを3層に分けています。3層の機能は、実行(Execution)、決済(Settlement)、データ可用性(Data Availability)に分かれており、実行レイヤーでロールアップを利用することによって、ネットワーク全体で数十万TPSをサポートすることができるようになっています。また、Cosmos IBC、そしてIBCと互換がある独自クロスチェーンメッセージプロトコル「Time Crossing」を使うことにより、外のネットワークとの接続を容易にします。
Cube Netoworkは、Huobi GlobalやRepublic, Emirates Consortium, Struck Crypto, Synergisが投資しており、特に取引所のHuobi Globalは自社サービスの送金ネットワークでCube Networkへの対応を進めています。また、Cube Networkはパブリックチェーンとしては珍しく、エリア制限を謳っています。プロジェクトWebページにアクセスした際の通知文によると、2022年9月現在、米国、中国本土、カナダ、シンガポール、日本、イラン、キューバ、北朝鮮、スーダン、シリア、ベネズエラの国民は利用できないことになっています(実際に当該地域のユーザーをブロックしているかは不明)。
技術ハイライト

Cube Networkのアーキテクチャ概要(ホワイトペーパーより)
モジュラーアーキテクチャ
Cube Networkでは、以下の3層に機能を分離し、それぞれを並列処理します。
- 実行レイヤー (Execution Layer):zk RollupやCollaborative Rollupをにより、ほぼすべてのコントラクトベースのトランザクションを実行する。
- 決済レイヤー (Settlement Layer):実行レイヤーの実行結果の検証と決済、チェーン上の資産の管理と決済を担当する。
- データ可用性レイヤー (Data Availability Layer):データストレージを提供し、データ可用性サンプリング技術により、ライトクライアント向けの高信頼性の検証を提供する。
実行レイヤーでは、組み込まれているロールアップとして、zk-Rollupと自社開発のCollaborative Rollupを利用することができるようになります。初期段階においては、Collaborative Rollupのみが提供されます。このロールアップは、EVMとの完全な互換性を有しており、zk-RollupのzkEVMが成熟するまでの優れた手段として位置づけられています。Collaborative Rollupは、検証者のランダムなグループによる承認を行うロールアップで、単一の検証者は信頼できず、ランダムに選択された十分な検証者のグループは信頼できるという考えに基づいています。
決済レイヤーは、実行レイヤーにとって手数料やトランザクション確認の役割を担います。ブロック構築から提案、確認、トランザクション決済のすべてのプロセスは決済レイヤーによって行われます。また、決済レイヤーはクロスチェーンの機能も担っており、他のエコシステムの資産は決済レイヤーを通じてCube Networkに流れ込むことになります。
データ可用性レイヤーでは、ノードはライトノードもしくはサンプリングノード、フルノードになることができます。いずれの場合も、ランダムサンプリングで現在のブロックを検証することができるため、システム全体でより大きな分散化が実現できるようになっています。
ノードの共謀が不可能なコンセンサスを採用
Cube Networkでは、バイブリッドランダム化されたDPoSプロトコルの「Chaos Consensus」を採用しています。このコンセンサスは、ノードのランダム選択メカニズムを導入しています。ランダム選択のためには乱数を使用し、最終的に選択するノードを決定するためにマルチパーティ計算(MPC)を利用します。具体的には、各ノードはローカルで自分の乱数を生成します。ローカルの乱数は、他のノードから閲覧することができないようになっています。そして、複数のノードでMPCを使用して公開乱数を生成します。最終的に、公開乱数によりブロックを生成するノードを決定します。
これにより、より多くのノードがコンセンサスに参加できるようになり、システムの分散化が促進されることが見込まれています。
独自&汎用のクロスチェーンプロトコルを用いた幅広い相互運用性
Cube Networkは、独自のクロスチェーン通信プロトコルとして「Time Crossing Protocol」を開発しました。Time Crossing は、チェーンの双方で、コンセンサス証明された有効なヘッダを持つことにより、ソースチェーンが送信したクロスチェーンメッセージをターゲットチェーンで効果的に検証することができるようになり、分散型で信頼性の高いクロスチェーンの仕組みを提供します。実行レイヤーに構築されたチェーンは、Time Crossingを使って決済レイヤーを経由することでクロスチェーンを実現します。
また、Cube NetworkはCosmos IBCと互換性を持っています。これは、Time CrossingがCosmos IBCのメッセージ形式とクロスチェーンプロトコルレベルで完全な互換性を有するからです。そのため、既存のIBCを有効にしているチェーン(参考:Map of zones)と相互接続することができます。
CUBEトークン
Cube Networkにおいて、ネイティブ資産として$CUBEを使用します。$CUBEに対応したウォレットやMetaMaskの設定は「Wallet」のページより確認することができます。
ネットワークにおいて、$CUBEは、以下の役割を担います:
- ステーキング:ネットワークのコンセンサス
- 取引手数料:ノード実行者に対する報酬
- ガバナンス:ガバナンスへの投票権
- エコシステムのブースト:エコシステムを拡大するための用途
取引手数料に関して、Cube Networkでは80%がバリデーターに配布され、残り20%はコミュニティプールに割り当てられます。また、ネットワーク状況に応じた可変的な手数料価格が採用されています。

トークンの機能チャート(トークンエコノミクスホワイトペーパーより)
トークン配布
トークンは、総供給量が10億CUBEになり、以下の内訳に応じて配布されます。
割当 | % | 権利確定 |
---|---|---|
バリデーターセール | 3.5% | TGEの24ヶ月後から、12ヶ月のベスティング |
コミュニティプール | 10.0% | TGEで15%を配布、48ヶ月べスティング |
エアドロップ+テストネット | 1.0% | ロックなし |
プライベートセール | 20.0% | TGEの12ヶ月後から、24ヶ月ベスティング |
チーム | 15.0% | TGEの6ヶ月後から、36ヶ月ベスティング |
エコシステム・財団 | 23.0% | TGEで10%を配布、48ヶ月べスティング |
ステーキング報酬 | 26.5% | ネットワークのステーキング率に応じて配布(最大4年) |
初期流動性 | 1.0% | 初期プロトコルによりロック |
ステーキングによるトークン
ステーキングをすると、ユーザーは投票権を持つ「$vCUBE」かステーキング報酬を得るための「$sCUBE」を受け取ることができます。$vCUBEは、$CUBEと1対1のレートで発行され、ユーザーは$vCUBEでガバナンスに投票します。また、ステーキングをするとユーザーは、$sCUBEを獲得します。これは、$CUBEを償還してステーキング報酬を獲得するための引換券に相当します。つまり、Cube Networkはリキッドステーキングが標準で搭載されているということになります。
CUBEトークンが売買できる取引所
2022年9月時点、$CUBEは以下の取引所で売買することができます。
CUBEトークンに対応したブリッジ
中央集権型:
分散型: