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分散型デリバティブ取引所「dYdX v3」の解説

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本記事は、Ethereum上のレイヤー2で構築されているdYdX v3 に関する記述です。Cosmos SDKベースチェーンのdYdX v4 についてではありません。

暗号資産の世界では、取引手段が中央集権型取引所から分散型取引所への移行の流れが進んでいます。しかし、分散型取引所はこれまで使い勝手が良いものではありませんでした。dYdXは、分散型取引所でありながら中央集権取引所と比較しても遜色のないデリバティブ取引所を提供します。

dYdXについて

dYdXは、分散型取引所(DEX)としては最大級の取引量を誇る無期限先物のデリバティブ取引所です。DEXでありながら、中央集権型取引所(CEX)と遜色ない使い勝手を実現しています。取引銘柄は38ペアあり、レバレッジはBTCとETHが最大20倍、その他は最大10倍に対応します(2022年10月時点)。また、高精度かつ広範囲に日本語訳が整備されており、英語が苦手な人でも違和感なく利用することができます。

dYdXの取引ペア(2022年10月時点)

dYdXの最大の特徴は、DEXゆえの制限の低さです。CEXのようなKYCや出金制限がなく、トレーダーは自由度が高い取引サービスを利用することができるようになっています。さらにDEXの特徴を兼ね備えつつも、CEXに引けをとらないサービスが組み込まれており、トレーダーは新しい取引体験をすることができます。

dYdXは、ある程度ウォレットを触ったことがあり、CEXでトレードをした経験がある人であれば、迷うことなく取引することができるようになっています。dYdXにおいては、ウォレットアドレスが自分の取引所アカウントに相当し、アカウントへの入金はウォレットから直接行います。もちろん、DEXなので取引所によって資産が凍結されるリスクはありません。加えて、任意でメールアドレスを登録することで、約定通知などを受け取ることができるようになります。

dYdXそのものは、EthereumのLayer2であるStarkEx上で動いています。しかし、dYdXのあらゆる操作や取引でガス代の支払いが発生しないようになっています。dYdXでは、v4でCosmos SDKベースの独自チェーンに移行し、完全に分散化する予定です。2023年6月に予定されているv4のメインネットローンチまで、StarkExと独自チェーンのサービスが並行して運用される予定になっています。

dYdXの特徴

中央集権型取引所と同等の使い勝手を分散型取引所で実現

dYdXは、分散型取引所(DEX)であるため、ユーザーの資産が真の意味でユーザーに帰属します。一般的に、無期限先物を扱うデリバティブ取引所は中央集権型取引所(CEX)であるため、ユーザーの資産を預かります。そのため、取引所による資産凍結や倒産により資産を取り戻せなくなるリスクがあります。dYdXはDEXになるため、ユーザーの資産はウォレットに紐づく(StarkEx上の)取引所アカウントで管理され、取引所そのものがユーザーの資産に手を出すことはできません。

資産の安全性に加え、dYdXは、DEXでありながらCEXと同様の使い勝手を実現します。通常のDEXは、初回交換時のコントラクトの承認や交換をするたびに毎回ガス代を支払います。これは、使い勝手の観点からは快適とはいえませんでした。対照的に、dYdXでは一度取引所アカウントに入金してしまうと、DEXにも関わらずほとんどガス代を支払わずに利用することができます。例外的に、ガス代がかかるのは後述するUSDCのガスレス入金を有効にする時くらいになります。取引所アカウントからの出金ではガス代がかかるものの、これは出金手数料がかかるCEXと本質的には変わらないため、dYdXで消費される手数料は、CEXとあまり変わらないレベルになります。

複数の暗号資産の入金に対応

dYdXでは、クレジットカードを利用した米ドル入金と、暗号資産による入金に対応しています。

暗号資産の入金では、Ethereumチェーン上にある複数の暗号資産の入金に対応し、USDCのほか、USDT, DAI, ETH, WETH, WBTC, UNI, LINK, MATIC, MKR, COMPに対応しています。USDC以外の暗号資産は、入金時に自動でUSDCに変換されます。

また、USDCの入金に関しては1,000USDC以上(初回は500USDC)を入金した場合に、dYdXが入金時のガス代を負担する「ガスレス入金」を利用することができます。ガスレス入金を利用するためには、機能を有効にするためのEthereum側のトランザクションを1回だけ実行する必要があります。

毎月10万ドルまでの手数料が無料

dYdXは、平均的なユーザーには無料の取引を提供し、プロのトレーダーには課金したいと考えているため、月10万ドルまでの取引手数料が無料になっています。また、月10万ドルを超えても手数料が低く抑えられており、最も高い手数料でもメーカーが0.020%、テイカーが0.050%になります。

出金が安いコストを選択できるオプションがある

dYdXでは、資産が(StarkEx上の)取引所アカウントで扱われるため、アカウントから資金を取り出したい場合は、Ethereumウォレットへの出金操作をする必要があります。これは、CEXから出金する操作と似ているものになります。

dYdXから出金できる暗号資産はUSDCのみになります。また、CEXと同様に、ユーザーは出金時に手数料を負担することになります。出金方法として「高速出金」「通常出金」の2種類が用意され、それぞれの違いは以下の通りになります。ユーザーは、安い方を選ぶことによって出金手数料を節約することができます。

手数料 出金速度 出金上限
高速出金 出金額の0.1%

(またはプロバイダーが支払うガス代とのどちらか高い方)

高速 最大200,000ドル
通常出金 Ethereumのガス代 遅い
(最大12時間)
なし

dYdXのはじめ方

dYdXの利用を開始するには、以下のものが必要になります。

必要なもの

  • Ethereumメインネットワークに対応したウォレット。代表的なウォレット:
    • MetaMask
    • Trust Wallet
    • TokenPocket
    • WalletConnect(つまり、だいたいのウォレットが対応)
  • ガスのためのETH(入出金、USDCガスレス入金の有効化で使用)
  • 取引用資金(USDC, USDT, DAI, ETH, WETH, WBTC, UNI, LINK, MATIC, MKR, COMPのいずれか)

はじめる手順

ウォレットにガス(ETH)と取引用資金を入れ、dYdXにアクセスします。

以下のような画面が表示されるので「始める」をクリックします。

ウォレットを接続します。画面内に表示されているEthereumウォレットであれば、どれを使っても構いません。

取引条件に「同意します」をクリックして次に進みます。

ウォレットの所有権を確認する操作を行い、取引をできるようにします。「リクエストを送信する」をクリックすると、署名の要求が2回あります。これらの署名にはガス代はかかりません。この操作は、dYdXに接続するたびに必要になるため、煩わしく感じるようであれば「情報を記憶する」をオンにします。

あとは入金さえしてしまえばCEXと同様の使い勝手で取引ができるようになります。もし、約定等のメール通知が必要な場合は、右上のメニューの「メール通知」にメールアドレスを入力して、表示される指示に従います。

入金する

入金は、dYdXに対応している任意の暗号資産を利用します。入金すると、入金時の交換レートに応じてすべてが自動的にUSDCに変換されます(そのため、最終的な出金もUSDCになります)。また、USDCはガスレス入金に対応しています。

入金するには、ダッシュボードの画面から「入金」をクリックして出てくる画面にて、入金する暗号資産を選択します。例では、ETHにしています。その後「数量」を入力します。利用可能な値には、Ethereumウォレット側の残高が表示されます。最後に「入金確認」をクリックし、ウォレット側のトランザクションを許可します。

あとは、14回の承認を待つと取引できるようになります。

DYDXトークン

dYdXでは、プロジェクトのトークンとして$DYDXを発行しています。

DYDXトークンの用途

  • ガバナンス投票
  • セーフティプールへのステーキング
  • 保有量に応じた手数料割引(割引率の詳細

DYDXトークンの配分

$DYDXは、2021年8月3日に10億DYDXが発行され、以下の割合に基づいて配分されます。

用途 割合 説明
コミュニティ 50.00% 25.00% トレーダーに対する取引報酬(参考
(2022年9月1日より、コミュニティ投票でさらに25%削減)
7.50% 特定の取引条件を達成したトレーダーに配布(参考
7.50% 流動性供給者への報酬(参考
5.00% コミュニティのトレジャリー(参考
2.50% 流動性ステーキングプールにUSDCを提供するユーザーへの報酬(参考
2.50% セーフティステーキングプール(参考
投資家 27.73% 過去の投資家への配分
メンバー 15.27% dYdX Tradingまたは財団の創設者、従業員、アドバイザー、コンサルタント
将来のメンバー 7.00% 将来的なdYdX Tradingまたは財団の重要イン、コンサルタント

DYDXトークンを入手可能な取引所

dYdXに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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