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Diem(旧Libra)の元開発者によるブロックチェーン「Linera」の解説

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Meta(旧Facebook)のメンバーによるブロックチェーン「Diem(旧Libra)」は、規制当局による影響でプロジェクトそのものが中止になりました。その後、プロジェクト出身者はAptosSuiを立ち上げました。そして、Lineraも同様にDiemに関わるメンバーによって立ち上げられたブロックチェーンプロジェクトです。

Lineraの概要

Linera(リネラ)は、Meta出身者を中心として立ち上げられたプロジェクトでありLayer1のパブリックブロックチェーンです。Founder&CEOのMathieu Baudet氏は、Diemのプロジェクトにおいて Novi とブロックチェーン システムおよびプロトコルの LibraBFT、FastPay、Zef の開発に携わった経験を持ちます。Lineraは、そのうちの低遅延決済プロトコルのFastPayにインスパイアされ、同社のプロジェクト出身者によって立ち上げられたAptosやSuiと異なるアプローチを採っています。

Lineraにおけるスケーラビリティの拡大はチェーンの追加によって得られ、ブロックサイズやレートを増加させるというアプローチを採りません。Lineraでは、個々のチェーンのことをマイクロチェーンと呼んでおり、これらは特定のユーザーのアカウント操作を管理するためのブロックチェーンになります。すべてのマイクロチェーンの検証と実行はLineraのバリデーターによって行われ、マイクロチェーンは非同期メッセージでお互いが通信することができるようになっています。マイクロチェーンが単一のユーザーによって所有されている場合、バリデーター間の複雑なやり取りを必要とせずに新しいブロックを直接送信できるため、低遅延を実現することができます。

また、LineraではWeb3開発者がLineraのインフラを最大限に活用できるように、言語にとらわれないマルチチェーンプログラミングモデルを採用しています。最初のSDKでは、LineraがWasm仮想マシンを利用することからRustが対応することになっています。また、よく引き合いに出されるAptosやSuiと異なり、Move言語の採用は本記事執筆時点で考慮されていません。

2023年1月現在、Lineraは開発段階でありテストネットは公開されていないものの、2022年12月20日にホワイトペーパーが公開されました。

Lineraが解決する問題

既存のパブリックブロックチェーンの多くはBitcoinとEthereumを例にして問題解決を行っている一方で、Lineraではホワイトペーパー発行時点の2022年12月時点で主流になっているブロックチェーンやロールアップのアプローチを考慮した上で、それらの問題点の解決を目指しています。Lineraは、以下の問題点の解決を目指しています。

予測不可能なパフォーマンスと低い応答速度

現状のブロックチェーンは、チェーンのユーザーが増えると応答が遅くなり、手数料が高騰するため、アプリケーション開発者はアプリケーションのパフォーマンスを予測できなくなっています。これは、ブロックスペースが限られるため、自分のトランザクションを次のブロックに含めるために競争しなければいけないことに起因します。

既存のスケーラビリティ確保のアプローチには欠点がある

Lineraチームは、現行のスケーラビリティ確保のためのアプローチの欠点を指摘しています。

シングルチェーンの高速化には限界がある

シングルチェーンのアプローチでは、一般的にバリデーター間のメッセージの伝播遅延によって制限が生じます。また、トランザクションのサブセットを並行処理するいくつかのアプローチでは、実効トランザクションレートは、各ブロックで実際に独立したトランザクションの割合に大きく依存するため、ユーザーに対して手数料や遅延を事前に保証することは不可能になります。そして、高速なチェーンではバリデーターの検証を困難にします。

シャーディングは脆弱で非効率にやりやすい

シャーディングでは、チェーンをシャードに分割してトランザクションを処理をします。そのため、コインのステーキングによりセキュリティを確保するProof of Stake (PoS)のチェーンでは、シャーディング実行時の各シャードのコインの割り当てが薄まり、攻撃されやすくなります。また、シャードが増えるとシャード間のメッセージ量が増えるため、結果的にチェーンが遅延する可能性があります。

ロールアップはトランザクションを確認する時間がかかる

Lineraでは、Optimistic RollupsやzkRollupsの問題点を指摘しています。Optimistic Rollupsでは、Fraud Proof (不正証明)のための期間が設けられています。一方で、zkRollupsでは、十分な数のLayer2トランザクションを収集し、有効性証明を計算し、トランザクションをアーカイブしてデータの利用可能性を確保するため時間を要します。

Lineraのアプローチ

Lineraでは前述の問題を解決し、開発者が高パフォーマンスなWeb3アプリケーションを提供できるようにするために、次のアプローチを行っています。

マルチチェーン構成によるスケーラビリティの拡張

Lineraでは、同じくDiemに携わった開発者らによるAptosSuiと異なり、マルチチェーンのアプローチを行っています。

Linera上で動作する個々のチェーンはマイクロチェーンと呼ばれており、Lineraのスケーリングはマイクロチェーンの追加によって行われます。マイクロチェーンは、以下の3種類になります:

  • シングルオーナーチェーン (Single-owner chains):1人のユーザーのみがブロックを提案することが許可されます。
  • パーミッションチェーン (Permissioned chains):明確に定義された協力的なユーザーのみがブロックを提案することが許可されます。
  • パブリックチェーン (Public chains):バリデーターが次のブロックに含める操作を提案することができるパブリックチェーン。

Lineraでは、新しいユーザーが最初のチェーンを簡単に作成できるようにするために専用のパブリックチェーンが提供されます。

これらすべてのマイクロチェーンは、Lineraのバリデーターによって検証して実行されるようになっています。すべてのマイクロチェーンで同じバリデーターを使用することは、マイクロチェーンを新たに増やしても最初からセキュリティが高い状態でチェーンを運用することができるメリットがあります。それぞれのマイクロチェーンが平行処理されることで、Linera全体で高いスケーラビリティを確保します。

また、マイクロチェーンが高負荷になっている場合は、バリデーターが必要に応じてシャーディングを行います。

Lineraにおける負荷分散

Lineraにおける負荷分散(引用元:ホワイトペーパーより)

非同期メッセージによる低遅延の実現

Lineraでは、アプリケーションのステートが原則的にマイクロチェーン間で分散されることになります。マイクロチェーンをまたいだ連携が必要になる場合は、非同期メッセージでマイクロチェーン同士の通信を行います。また、それ以外は依存関係なしにアプリケーションが実行されるようになっています。

マイクロチェーンが単一のユーザーによって所有されている場合、バリデーター間の複雑なやり取りを必要とせずに新しいブロックを直接送信することができるため、低遅延を実現することができます。

加えて、Lineraではユーザーが自分自身のチェーンを管理する構造により、Mempoolが削除され、ユーザーが直接バリデーターにトランザクションを送信できるようになっています。そのため、バリデーターとの並列通信はクライアントとバリデーター間のネットワーク往復時間(Round trip time: RTT)に限定されます。

マルチチェーンプログラミングモデル

Lineraでは、同じくDiemに携わった開発者らによるAptosやSuiが採用するMove言語ではなく、言語にとらわれない開発環境の提供を目指しています。Lineraはアプリケーションの主な実行エンジンとしてWebAssembly (Wasm)仮想マシンを使用しており、当初はRust言語がターゲットにされます。

Lineraのトークン

2023年1月時点では、Lineraのトークンシンボルおよびトークのミクスは公開されていません。

Lineraに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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