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The Open Network(TONCOIN)の解説

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The Open Network(TONCOIN)の概要

The Open Networkは、高速かつ安全でスケーラブルなLayer1ブロックチェーンおよびネットワークプロジェクトです。次の10億人のブロックチェーンユーザーにリーチすることを目指し、1秒あたり数百万件のトランザクションの処理を行うことができるスケーラビリティの実現を目指しています。また、ネイティブトークンとして$TONCOINを発行しています。

Telegramが起源のブロックチェーン

The Open Networkの起源は、ブロックチェーン業界ではもはや必須のツールとなっているTelegram Messengerに関係しています。Telegram社の創業者であるDurov兄弟は、2018年にブロックチェーンソリューションの検討を開始しました。しかし、その当時のレイヤー1のブロックチェーンではTelegramの数億人のユーザーをオンボードできるものではないと判断し、独自のブロックチェーンとしてTelegram Open Networkを開発することにしました。その後、2018年からICOで17億ドル(当時の日本円レートで1822億円)を調達したものの、米国証券取引委員会(SEC)により無登録の証券販売をしたとして提訴されました。最終的に、Telegram社は2020年3月にプロジェクト終了を決定し、同年5月に発表しました。

しかし、ここでブロックチェーンの開発は終わりませんでした。プロジェクト終了当時、既にチェーンの開発はテストネット2まで進んでいました。その後、オープンソースの開発者からなるNewTONチームによりチェーンの開発が継続され、2020年5月にはプロジェクトおよびチェーンの名前がThe Open Networkにリブランディングされました。そして、2021年5月にテストネット2が安定しているという理由、テストネット2がメインネットに昇格し、NewTONチームはTON財団になりました。その後、Telegramが自社製品の機能にThe Open Networkを組み込むようになり、加えてエコシステムを支える開発者の数が上昇傾向にあります。

2023年1月現在、Telegram Open Networkから派生したチェーンは2種類があります。1つは本記事のThe Open Network、そしてもう1つはEverscale解説記事)になります。The Open NetworkはもともとのTelegram Open Networkからの方針を守っている原理主義派であり、対してEverscaleはより革新的に実装を進めていく改革派という、それぞれが異なった立ち位置をとっています。

次の10億人をオンボードさせるためのスケーラビリティ

The Open Network(以下、TONと表記)は、分散的なブロックチェーンと中央集権的なインターネットを融合して、次世代のグローバルネットワークを構築しようとするブロックチェーンです。

TONは「ブロックチェーンのブロックチェーン」として設計され、PolkadotやEOSと類似するマルチチェーン構成によってスケーラビリティを拡大できるようになっています。ブロックチェーンは、唯一のマスターチェーンとアプリケーションをデプロイするためのワークチェーンで構成されています。ワークチェーンでは、アドレスや仮想マシン、ネイティブトークンなどの独自ルールを定めることができるようになっています。また、チェーンのコンセンサスアルゴリズムには、BFTプロトコルのCatchainコンセンサスが採用されています。

加えて、TONでは独自仮想マシンのTON Virtual Machine (TVM)によってスマートコントラクトを高速実行することができるようになっています。TVMはアクターモデルに基づいた、決定論的でスタックベースの仮想マシンです。開発者にとっては、作業が簡単になりコードを効率的に実行・保存することができるという特徴を持ちます。

また、TONではTONサービスを提供しています。これにより、開発者は多機能なサービスを提供したり、従来のWebサービスと同じような環境を構築することができたりするようになります。また、外部メッセージングの機能により、TONが外部のブロックチェーンやWebサービスからのメッセージを受け取ることができるようになるため、オフチェーンとの連携がやりやすくなっています。

2023年1月現在、TONは252のバリデーターで構成され、アカウント数は198万になります。

The Open Netoworkブロックチェーンの特徴

複数のサービスでインターネットの分散化を実現

TONでは、単なるスマートコントラクトが使える分散型台帳にとどまらず、包括的なサービスを提供することを通してブロックチェーンを実用化します。2023年時点において、TONでは以下のサービスを提供しています。

TON Payments

TON Paymentsは、ペイメントチャネルのサービスで、Bitcoinにおけるライトニングネットワークに相当します。TONでは1GBのファイルをダウンロードするには数百万のマイクロトランザクションが必要になるとしており、これを解決するためのペイメントチャネルが開発されたと紹介しています。

TON DNS

TON DNSは、インターネットのDNSやEthereumのENSに相当するサービスです。長くて分かりづらいTONのアドレスを、人間が識別可能なドメイン名に変換することができます。例:marketplace.ton, candyzoo.gaming.ton

TON Sites

TON Sitesは、TONでWebサイトを構築することができるサービスです。TONに組み込まれた暗号化技術を使用することにより、認証機関がなくても安全なWebサイトを提供することができます。ユーザーは、TON DNSにより生成されたアドレスにアクセスすることで、従来のWebと同様にWebサイトにアクセスすることができるようになります。

また、Webサービスが気に入った場合、Webサイトのドメインにトークンを送ることでWeb運営者に寄付を行うことができるという副次的用途が実現します。

TON Proxy

TON Proxyは、TONネットワークにおいてユーザーのIPアドレスやサイトのIPアドレスを隠すことができるようになる機能です。また、TON ProxyはWeb閲覧時のHTTPプロキシとしても動作します。

TONネットワークにアクセスするためには、ユーザーはまずTON Proxyにアクセスする必要があります。最初にユーザーがアクセスするものはエントリープロキシと呼ばれ、TON財団によって提供されています。

また、後のTON Proxyのアップデートでは、中間ノードを立ててユーザーとサイトのIPアドレスを完全に隠すことができるようになる他、TON Proxyそのものを非中央集権型で展開できるようになります。

TON Storage

TON Storageは、TONにおいてファイル共有やデータ保存に利用することができるオンチェーンストレージです。分散化された、安全でプライベートなコンピュータネットワークを介してデータを転送する仕組みになっており、ユーザーはあらゆるサイズのファイルを扱うことができるようになります。すべてのデータは自動的にバックアップ、暗号化されます。

ユーザーは、$TONCOINを支払うことで、事前に決められた期間のファイル保存が保証されます。また、半永久的なデータ保存も実現できるようになっています。

マルチチェーン構成で高いスケーラビリティを確保

The Open Network(以下、TON)では、PolkadotやEOSのように高いスケーラビリティを確保することができるようになっています。TONは、以下のチェーンにより構成されます。

  • マスターチェーン(MasterChain):唯一のブロックチェーン。すべてのワークチェーンのブロックのハッシュを含んでいる。
  • ワークチェーン(WorkChain):独自のルールを持つブロックチェーン。例えば、EVMベースのワークチェーンの作成が可能。TONでは、最大230個のワークチェーンを構築することができる。
  • シャードチェーン(ShardChain):シャーディングにより分割されたワークチェーン。TONでは、各ワークチェーンで最大260個のシャードチェーンに分割される。分割はワークチェーンの負荷に応じて動的に行われる。シャードチェーンの最小単位はアカウントごとになり、アカウントチェーン(AccountChain)と呼ばれる。

上記の構成より、ワークチェーンのセキュリティは最終的にマスターチェーンで担保されることになります。そのため、ワークチェーンの作成者は自分たちのチェーンのセキュリティを確保するために高いコストを支払わなくても良くなります。2023年1月現在、TONには唯一のベースチェーン(BaseChain)と呼ばれるワークチェーンが存在しています。

TONCOINトークン

The Open Networkでは、ネイティブトークンとして$TONCOINを発行しています。また、公式的にEthereumおよびBNB Smart Chainにブリッジされた$TONCOINが存在しています(参考:Etherscan, BSCScan)。

TONCOINトークンの用途

$TONCOINは、以下の用途で使われます。

  • ステーキング(バリデーター、ノミネーター)
  • ネットワーク手数料(ガス)
  • クロスチェーン取引手数料
  • オンチェーンガバナンスへの参加
  • TONサービスへの支払い

TONCOINトークンの配布

$TONCOINは、以下のトークンメトリクスになっています。公式情報でも、TONCOINの詳細についてあまり多くは公開されていないのが現状です。

  • 総供給量:5,077,766,141 TONCOIN(2023年1月23日時点)
  • 年間インフレ率:0.6%

TONCOINトークンを売買できる取引所

取引所は流動性が高い順に並んでいます。

The Open Networkに関する情報

 

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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