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NFT担保型のレンディングプロトコル「Pine」の解説

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Web3業界において、NFTによるデジタルコレクタブルは、今やNFTの最も人気のある活用方法の一つになりました。しかし、それらのユーティリティ性は限定的で、運用が難しいことが課題でした。Pineでは、DeFiを組み合わせることによってNFTにさらなるユーティリティや新たなNFTの購入方法をもたらします。

※本記事は、2023年2月16日時点のサービス内容に基づき作成されています。

Pineの概要

Pineは、NFTを担保にして資金を借りることができるレンディングプロトコルです。通常のお金の貸し借りの他、後払いによるNFT購入など、DeFiを使うことで新しいNFTの取引形態を実現します。

借り手は、自身が持っているNFTを担保に入れることにより、プールごとに設定されている担保率に応じた資金を借りることができるようになります。また、貸し手は、借り手が担保に入れるNFTコレクションを指定して、貸出条件を設定することで資金を貸すことができるようになっています。NFTコレクションは、NFTマーケットプレイスのOpenSeaやX2Y2、LooksRareに掲載されているものから指定できます。2023年2月2日現在、34のコレクションに対応したプールがPine上に作られており、AzukiやClone X、Doodlesのような有名なNFTコレクションに対応しています。

さらに、Pineではレンディング機能で借りた資金を使い、そのまま自動で主要マーケットプレイスに流通しているNFTを1回のトランザクションで買うことができるユニークな機能が搭載されています。これにより、NFTの全額の資金を用意することなく、新たなNFTを購入することが容易になります。

PineはNFTを担保に入れて資金を借りられるという点でユニークですが、他にも主流のレンディングプロトコルと大きく異なっている点があります。それが、NFTごとに分離されたプールが作成され、それぞれに固定ローン期間・固定金利が設定されることです。これにはいくつかのメリットがあります。まず、貸し手は金利収入が予測可能になり、同様に借り手もどれだけ金利を支払えば良いのかが事前にわかるようになります。また、借り手はローン開始時の返済条件に沿うだけで良くなります。そのため、ローン期間の終了前に返済もしくはローンを延長する限りは、これまでのレンディングプロトコルのような清算リスクに直面することはありません。

また、PineはSino Global CapitalやAmber、The Spartan Groupなどの業界で著名なベンチャーキャピタルより投資を受けています。

Pineの投資家

Pineでできること

Lending / Borrowing(資金の貸し借り)

お金の貸し借りは、Pineにおける最も基本的な機能です。2023年2月現在、貸付と借入および後払いでNFTを購入できる機能が利用できるようになっています。

Lending(貸付)

お金の貸し手は、自分が資金を貸し出すためのプールを作ることができます。

プールでは全部で5つのパラメーターを設定する必要があります。プール作成において、貸し手は、担保として用いるNFTのコレクションを指定します。NFTコレクションは、NFTマーケットプレイスのOpenSeaX2Y2LooksRareに掲載されているものであれば指定することができるようになっています。また、NFTの評価額に対する担保率や貸出期間、金利、貸出上限額を設定します。貸出期間は1?90日になります。

プールの作成画面

Borrowing(借入)

お金の借り手は、貸し手が作成したプールから資金を借りることができます。自分が借りられるか否かは、自分が持っているNFTコレクションのプールが存在するかどうかで決まります。例えば、自分がBAYCのNFTを持っている場合は、BAYCのNFTコレクションに対応したプールが存在していれば、資金を借りることができます。逆に、BAYCのプールがなければ、資金を借りることはできません。

プールの一覧

借り手は、自分が持っているNFTコレクションのプールを選択することによって資金を借りることができます。資金を借りられる基準となるNFTの評価額は、外部のマーケットプレイスから収集された価格情報や、貸し手が手動で取り決めたものが採用されます。借り手は、ローン期間の終了前に、早期返済をするかローンを延長できます。ローンの延長をする場合は、任意のプールを選ぶことができるようになっています。もし、借り手が期間内に資金を返済できない場合、貸し手は一定期間後に借り手が担保に入れたNFTを手に入れることができるようになっています。

AZUKIのプールの例

Pine Now Pay Later(先にNFTを買って後払い)

Pine Now Pay Later(PNPL)は、購入したいNFTを担保に資金を借りてきて支払いに充てることができる方法です。例えば、欲しいNFTが2ETHで、自分のウォレットに1ETHしかない場合、通常であればNFTを購入できません。PNPLを使うことによって、先にNFTを押さえてしまい、期限内に差額の1ETHと金利を払ってしまえばそのNFTを入手することができるようになります。PNPLは、その仕組み上、プールの資金でマーケットプレイスのNFTを購入することになります。そのため、購入できるNFTはPine上にあるプールが対応しているコレクションのものに限られます。

Pine Now Pay Laterの購入画面

Bid Now Pay Later(先にNFTに入札して後払い)

Bid Now Pay Later(BidNPL)は、ユーザーが自分のウォレットに相当する額の資金を保有することなく、特定のNFTに入札ができるようになる機能です。これにより、少ない資金でもNFTの入札に参加することができるようになります。ユーザーが Pine を介してアクティブな入札を行うたびに、入札の資金調達のために証拠金のETHに対してローンが付与されます。NFTの取得が完了すると、通常のPineローンとなり、NFTが担保として機能します。

Bulk Borrowing(一括借入)

Bulk Borrowingは、前述のPine Now Pay LaterとBid Now Pay Laterのプロセスをスムーズにし、資金を持っていなくてもNFTの買い手のウォレットからの入札と購入を行えるようにする機能です。借り手のウォレットで担保にできるすべてのNFTがスキャンされ、最良の条件かつ最高額の資金を1回のトランザクションで処理できるようになります。

Pine Listing(担保NFTの販売)

Pine Listingは、担保に入れているNFTを主要なマーケットプレイスで同時に販売することができる機能です。NFTの販売が成立すると、負債は自動的に返済され、超過分は売り手(=資金の借り手)のウォレットに送られます。そのため、未払額を販売価格より小さくしておく必要があります。

PINEトークン

PINEトークンのユーティリティ

Pineでは、PainDAOが2023年第1四半期に$PINEを発行しました。ユーティリティは、以下の通りになります。

自動ロールオーバー:$PINEを保有する借り手は、ローンを自動的にロールオーバーすることができます。ローンの未払い残高がある場合、$PINEが自動的に$ETHまたは$MATICに変換されて補充され、ローン期間が延長されます。この機能が動作するごとに10 PINEが料金として請求されます。

ホワイトラベル技術へのアクセス:Pineのホワイトラベルを使いたいパートナーは、一定量の$PINEを保有する必要があります。

ステーキングとバーン:$PINEをステーキングして$vePINEを入手するか、$PINEをバーンして$sbPINEを受け取ることができます。$vePINEは、DeFiで一般的に採用されているveモデルと同様のものになります。

ガバナンス:前述のステーキングとバーンで生じた$vePINEや$sbPINEをPineDAOのガバナンス行使に利用することができます。

VIPメンバーシップ:$vePINEや$sbPINEの保有量によって上位サービスが受けられます。

借り手の手数料割引:$PINEトークンを保持することで、手数料の割引を受けることができます。

貸し手のランキング向上:$vePINEや$sbPINEを保有すると、ローンのオファーリストの上位に表示されるようになります。

ユーティリティの詳細は「PINE Token Utilities」をご覧ください。

PINEトークンの配布

$PINEは、割り当てに応じて配布されます。2023年2月にImpossible FinanceでIDOが実施され、トークンは既に誰でも入手できる状態になっています。

総供給量: 200,000,000 PINE

カテゴリー 割合 月数 排出量
チーム 18.00% 36ヶ月 6ヶ月目に2%をロック解除、7ヶ月目から36ヶ月目まで残りの98%をリニアにロック解除
シード投資家 7.97% 18ヶ月 TGEで2.5%をロック解除、2ヶ月目から18ヶ月目まで残りの97.5%をリニアにロック解除
プライベート&アドバイザー 9.44% 21ヶ月 3ヶ月目に3%をロック解除、4ヶ月目から21ヶ月目まで残りの97%をリニアにロック解除
IDO 0.67% TGEで100%をロック解除
プロトコルインセンティブ 30.00% 24-36ヶ月 リニアにロック解除 – 詳細は$PINE トークンの配布を参照
流動性 1.00% TGEで100%をロック解除
パートナーシップ 14.92% 21ヶ月 21ヶ月以降において四半期ごとにロック解除
トレジャリー 18.00% 12ヶ月 12ヶ月以上をかけてリニアにロック解除(DAO/コミュニティによってロック・管理される)

PINEトークンを売買できる取引所

Pineに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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