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Cosmosエコシステム上のDeFiチェーン「Canto (CANTO)」の解説

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Cantoの概要

Cantoは、Ethereum仮想マシン (EVM)互換のパーミッションレスな汎用ブロックチェーンです。特にDeFiに重きを置いており、透明性を確保しつつ、誰でも自由に新しい金融のシステムにアクセスできるようにすることを目的としています。

Cantoがユニークなのは、コアのコンポーネントを「公共財」として扱っているところにあります。CantoではこれらのことをFree Public Intrastructure (FPI)と呼び、FPIには以下の3つが含まれています。

  • Canto DEX:分散型取引所 (DEX)
  • Canto Lending Market (CLM):レンディング
  • NOTE:ステーブルコイン

Cantoでは、流動性を大きなものにするために、流動性に貢献するプレイヤーからは手数料を取らないことを方針にしています。流動性提供者はもちろんのこと、プロトコルや裁定取引者、トレーダーの流動性も無料になります。そして、FPIのそれぞれのコンポーネントには、独自トークンの発行や手数料を発行する機能を将来的にわたり搭載しないとしています。これは、特定の人や組織に有利なようにプロトコルが変更される、レントシーキングを防ぐことを目的としています。また、Cantoではプロジェクト自らがDEXのインターフェイスを提供せず、ユーザーはサードパーティが用意したインターフェイスを介して取引を行うことになります。加えて、バージョン5.0.0からDApps提供者に対してユーザーが支払ったネットワーク手数料の還元する機能Contract Secured Revenue (CSR)を搭載しました。このように、CantoではDeFiのエコシステムが育ちやすい環境を用意し、結果的にチェーン全体が発展しやすくします。

また、Cantoは分散化を重視するためにフェアローンチに近い形態で$CANTOトークンをローンチしました。Cantoの公式な財団は存在しておらず、またトークンのプレセールを行っていないためVCが存在していません。

Cantoの特徴

チェーンの主機能を公共財として提供

Cantoでは、コアのコンポーネントを公共財として提供しており、それらをFree Public Intrastructure (FPI)と呼んでいます。FPIは、分散型取引所 (DEX)とレンディング、ステーブルコインで構成されています。

分散型取引所:Canto DEX

Canto DEXは、SolidlyからフォークされたAMM DEXです。レントシーキングを防ぐため、DEXそのもののアップデートが不可になっており、手数料がなく永続的に運営されます。そして、Canto DEXにはプロジェクト公式のユーザーインターフェイスが存在していません。2023年2月4日現在、ユーザーはDEXアグリゲーターのSlingshotで取引を行うことができるようになっています。

Cantoの流動性マイニングに参加するために、ユーザーはLPインターフェイスのページから流動性を提供することができます。ユーザーは、後述するレンディングで供給可能なLPトークンを受け取り、トークンを担保に入れて資金を借りることができます。

Canto DEX LP画面

レンディング:Canto Lending Market (CLM)

Canto Lending Market (CLM)は、Compound v2からフォークされたレンディングプロトコルです。流動性提供者は、Canto DEXのLPトークンを担保にすることで資金を借りることができます。

また、CLMのガバナンスでは$CANTOをステーキングしている人に参加資格が与えられます。

Canto Lending Market (CLM) の画面

Canto Lending Market (CLM) の画面

ステーブルコイン:Canto Unit of Account ($NOTE)

$NOTE は、米ドルにソフトペグした過剰担保型のステーブルコインです。CLMのAccountantコントラクトを通じて発行することができ、同コントラクトから徴収された金利はCanto DAOによるコミュニティトレジャリーに集められます。2023年2月4日現在、$NOTEの担保は$USDCおよび$USDTになっています。

$NOTEのメリットは、DeFi参加者にとって資本効率が良い点です。CLMで$USDCを貸し出し、その後$NOTEを借りる場合、$NOTEの借入レートが供給レートより低くなると、参加者は$NOTEをCanto上に保持することで報酬を得ることができます。

$NOTEの価格維持は、$NOTEの金利に基づき、6時間毎にスマートコントラクトによって調整されます。$NOTEが1ドル未満で取引されている場合、$NOTEの貸出金利が引き上げられます。これにより、ユーザーが市場で$NOTEを購入し、CLMに貸し出すインセンティブを高めていきます。対して、$NOTEが1ドル以上で取引されている場合、CLMから$NOTEを借りて市場で売却することのインセンティブを高めるために、$NOTEの貸出金利が引き下げられます。

また、プロジェクトは$NOTEのリスクについて言及しています($NOTEの説明ページの「Are there risks?」を参照)。警告では、$NOTEはこれまで試みられていないモデルであり、失っても良いお金に留めるようにしてほしいとしています。また、インターネット上では、$NOTEが仕組み上ステーブルにならないのではないかという指摘がなされています。

DApps提供者にとって手数料が還元される

Cantoでは、Contract Secured Revenue (CSR)と呼ばれる手数料の分配モデルを用意しています。CSRは、スマートコントラクトとやりとりしたユーザーが支払った手数料の一部が開発者に還元されるというものです。DApps開発者は、CSRのTurnstileコントラクトに自身のスマートコントラクトを登録することで、手数料収入を引き出すことができる権利を表す譲渡可能なNFTを手に入れることができます。CSRにより得られる手数料収入は、2023年2月4日現在、ユーザーが支払ったネットワーク手数料の20%に設定されています。

CANTOトークン

Cantoでは、ネットワークのネイティブ資産として$CANTOを発行しています。$CANTOは、ネットワーク手数料の支払いの他、ネットワークの安全性を確保するためにバリデーターへのステーキングを利用することができます。

トークン配布

$CANTOは、初期の合計供給量が10億CANTOであり、初期の循環供給量が1.5億CANTOになっています。$CANTOは、以下の割合に基づいて配布されます。

数量 割合 内容
130,000,000 CANTO 13% 初期貢献者
20,000,000 CANTO 2% テストネットへの貢献者
450,000,000 CANTO 45% 長期流動性マイニングのための資金(今後5年から10年に配布)
350,000,000 CANTO 35% 中期流動性マイニングのための資金(今後数ヶ月数年にわたり配布)
50,000,000 CANTO 5% 将来のFPIへの助成金

インフレーション

Cantoネットワークのセキュリティを維持するために、$CANTOをステーキングしているバリデーター及び委任者はインフレされたトークンを報酬として受け取ります。報酬は、ステーキングしているトークンの数量に応じて比例配分されます。

Cantoの最初の立ち上げから30日はインフレ率は19.84% APRであり、その後の期間におけるインフレ率はCanto DAOによって調整されます。インフレ率は時間経過とともに減少していくようになります。

CANTOトークンを売買できる取引所

Cantoを利用する

CantoはEVM互換のチェーンであるため、MetaMaskをはじめとするEVM互換ウォレットであればRPC設定を追加するだけで対応させることができます。

PRC設定

MetaMaskを接続し、ChainlistでCantoの設定を登録します。もしくは、以下の設定を手動で追加します。

  • RPC URL(*1):https://canto.slingshot.finance/
  • Chain ID:7700
  • Explorer:https://evm.explorer.canto.io/

*1 記載されているPRC URLが動作しない場合、こちらの代替URLを使用することができます。

  • https://canto.neobase.one/
  • https://canto.evm.chandrastation.com/
  • https://jsonrpc.canto.nodestake.top

トークンの移動(ブリッジ)

Cantoではプロジェクトがブリッジを提供しており、Ethereum上にある資産を安全にブリッジさせることができます。ベースとなっているGravity Bridgeは、Gravity Bridgeブロックチェーンにより構築されているため、従来のブリッジよりもはるかに安全なサービスを提供します。

Cantoのブリッジ

Cantoのブリッジ

Cantoに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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