DeepBook (DEEP) の概要
DeepBook(ディープブック)は、2023年7月にローンチされた、分散型の中央指値注文帳(Central Limit Order Book: CLOB)を備えたSuiのネイティブな流動性レイヤーです。主に、エコシステム上のDEXに、集約された流動性を提供することに注力しています。DeepBookそのものの開発は、コミュニティ主導で行われ、Suiの開発元であるMysten Labsがコアコントリビューターになっています。
現実的に、Suiのエコシステムはまだ若く、EthereumやBNB Chain と比べるとDeFiが発展していません。一般的に、若いDeFiエコシステムは流動性が乏しく、ユーザーは大きいスリッページを受け入れる必要があります。このような状況は、ユーザー体験や資本効率の悪化につながります。DeepBookは、このような問題への解決策となります。
DeepBookは、SuiにおけるDeFiの未来を高速かつ安価に、そして効率的にすることを目指しています。DEXで主流となっている自動マーケットメーカー(Automated Market Maker: AMM)ではなく、CEXで主流となっているCLOBを採用しており、Sui上のDEXとオーダーブック(板)を共有することによって、流動性を高くしてスリッページを減らし、エンドユーザーに高い資本効率をもたらします。DeepBookそれ自体はDEXのフロントエンドを提供せず、あくまでもエコシステムのDeFiプロダクトに対して機能を提供するアプローチを採っています。
2024年10月時点で、DeepBookはv2がリリースされており、v3がテストネット段階にあります。同月時点で、以下のDeFiプロダクトがDeepBookを採用しています。
- DEX: Aftermath Finance
- DEX: KriyaDEX
- DEX: Cetus
- DEX: FlowX
- DEX: Turbos Finance
- アグリゲーター: Hop
- アグリゲーター: 7K Aggregator
また、DeepBookは、2024年10月14日にプラットフォームトークン$DEEPのエアドロップ請求を開始し、同日に上場を行いました。
DeepBookの特徴
プロジェクトは、DeeoBookについて主に以下の特徴を述べています。
- コンポーザブルな流動性レイヤー: DeepBookは、DEX特有のコンポーザビリティ(構成可能性)とトラストレス性に加え、CEX特有の資本効率の高さを兼ね備えます。
- 低レイテンシと混雑耐性: Suiブロックチェーンによる高速性と効率性で、トレーダーの取引体験を向上させます。
- 高い資本効率: DeepBookの中間価格帯の流動性により、市場価格を大きく変動させることなく、より大きな取引に対応することができます。
- フラッシュローン: 同一ブロック内で完了する無担保ローンを利用し、複雑な取引戦略を実行できます。
- 低い料金: $DEEPを取引手数料の支払いに使用し、ユーザーのコストを大幅に削減します。
- 使いやすい流動性レイヤー: エンドユーザーに焦点を当て、DeepBookでdAppsの機能を補完することにより多くのサービスを実現可能にします。
DEEPトークン
DeepBookでは、プラットフォームトークンとして$DEEPを発行しています。
$DEEPのユーティリティ
$DEEPは、DeepBookのトランザクションを促進し、流動性の提供を奨励するために用いられます。$DEEPのユーティリティは、以下の通りです:
- 支払い:取引量に応じたテイカー手数料。取引量が多いと手数料が低くなる。
- 流動性インセンティブ:取引量が少ない期間における流動性プロバイダー(メイカー)のインセンティブ。
- ガバナンスへの参加:プールレベルのガバナンス。
いずれのユーティリティも$DEEPをステーキングする必要があります。また、$DEEPのステーキングそのものに対するインセンティブはありません。
$DEEPのリリース
$DEEPは、最大供給量が100億枚に固定されており、そのうち25億枚が初期にリリースされます。残り75億枚は、7年間にわたって段階的にリリースされていきます。
割合 | 対象 | リリース | |
---|---|---|---|
10.00% | 初期コミュニティエアドロップ | TGEで全ロック解除 | |
28.43% | コア貢献者と初期支援者 | 投資家とチーム | 1年間のロック期間後、2年間のリニアロック解除 |
Mysten Labs | TGEで1%のロック解除後、4年間の月次ロック解除 | ||
61.57% | エコシステムの成長 | TGEで14%のロック解除後、7年間のロック解除 |

$DEEPのリリース(引用:Introducing DEEP)