まだ世間からの認知が低いブロックチェーンゲーム。しかし、そこに可能性を見出し、ブロックチェーンゲームを注力事業にしているゲームメーカーがあります。今回はその中の1つ、株式会社プラチナエッグの代表、竹村也哉氏に現在開発中のブロックチェーンゲーム「CROSSLINK」(クロスリンク)について詳しく訊きました。
このインタビューは複数回に渡りお送りします。第2部では、CROSSLINKの世界観や他のブロックチェーンゲームとしての差別化点をご紹介します。
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プラチナエッグ竹村也哉氏 ブロックチェーンゲーム CROSSLINK について訊く 第2部
ユーザーがゲームの運営になる世界観とは
加藤:インタビューの過程で、私は土地持っている人がイベント起こせるということろに興味を持ったのですが、土地のオーナーはどのようなことをするのですか?面白いイベントやると、特定の土地オーナーのところにプレイヤーが流れたりすると思うのですが。
竹村:最初はシンプルなことからやろうとしていて、賞金付きのボスが出せるとか。ゲーム内でエネルギーみたいなものがあって、エネルギー分布によりボスが出る場所を変わるようにします。餌みたいな感じに、エネルギーのもとをたくさんまくと、そこにボスが出やすくなるということをオーナーができるようにします。
あとは、ご当地アイテムをたくさん出るようにしていこうと思っています。将来的には、ユーザーがモノを作って投稿できるようにしたくて、「ボスのモデルは〇〇さんが作っています。BGMは○○さんが作っています。シナリオは〇〇さんがつくっています」といった感じになって、ゲーム全体や、ゲームイベントからの収益配分ができるようになるまで最終的に持っていきたいなと思います。
加藤:そこまでいくとユーザーがゲームを作っているという世界ですね。
竹村:そうそう。ソーシャルゲームの運営ってけっこう大変なのです。シナリオを書かなければいけないし、絵を描かなければいけない。
あとうちが思っているのだと、ガチャとブロックチェーンゲームは相性が悪いのです。でも、ソーシャルゲームはガチャが回るから、一体コスト数百万とか一枚の絵に数十万かけても元がとれる運営になります。
でも、ブロックチェーンゲームはガチャじゃないから、他のビジネスモデルを作らなければいけなくて、それが先ほど話したようなビジネスモデルが近いのではないかなと思います。
二次創作や三次創作で著作権を管理して、オーナーに収益が入るものです。コンテンツの管理をブロックチェーンでやるということですね。加藤さんならわかると思うけど、ブロックチェーンであれば実現できる。
加藤:確かにできそうですね。将来的には、もっとユーザーを巻き込んでクリエイティブにしていきたいわけですね。
竹村:瞬間的にはゲーム全体のモデルの品質は下がったりもするはずです。ピンキリの品質のコンテンツが出てくるので。でも、それでも色々あるというものがこれから伸びるビジネスではないのかなと思っています。
例えば、みんなで収益を配分できようになったら、「小説家になろう」のような小説投稿サイトで書いているような人たちが来るはずです。人によっては、小説書くよりもゲームのシナリオ書くほうが楽ですよ。ゲームのシナリオは、小説とは勝手が違うけれども。
加藤:もしかしたら、土地の賑わいが、イベントのシナリオのライターさんの人気で変わるということが起きるかもしれませんね。
竹村:なので、色々な人を巻き込んで、色々な人にインセンティブが発生するようなことを目指したいと思っています。
加藤:たしかCROSSLINKでは、行政とのタイアップも並行して取り組んでいたと思いますけれど、このゲームでは行政はどう関わってくるのでしょうか?
竹村:ご当地イベントをやりたい、ご当地キャラクターを出したいです。そこの場所が有名になって観光客が来ればみんながハッピーになる気がしています。
わかりやすいのだと、ご当地ヒーローや行政も基本的には一緒で、この人たちにとっては有名になれるのがメリットになります。さらに、キャラクターが売れてお金が入ってきたらそれもメリットだし、デメリットでいうとよくわからない悪評が立ったりすることでしょうか。基本的にはメリットになります。
加藤:ご当地ヒーロー発掘するだけでも大変そうですね。数が多そうですし。
竹村:横のつながりがあるようで、案外紹介してもらえますよ。
加藤:そうなのですね。(その場で発掘したご当地ヒーローを見せてもらい)こんなヒーローがあるんですね。
竹村:「絶対守護神羽亀戦士カメイダー」です。江東区亀戸の。

絶対守護神羽亀戦士カメイダー(カメイダーのTwitterより画像引用)
加藤:私は江東区に住んでいますが、知らなかったです。私の居住地域から亀戸は離れているので、知らないということもあるのかもしれませんが。地元民でも知らないローカルヒーローもいるので、発掘は大変そうですね。
CROSSLINKは他のブロックチェーンゲームと何が違うのか
加藤:CROSSLINKの純粋なゲームとしての差別化点は何かあるのでしょうか?
竹村:ゲームでいうと、バトルやエフェクトが画期的ということはないのですが、みんなで作っていくゲームということを本当にできるのではないかということが画期的です。UGC、User Generated Contentsと言うのですが、みんなで一緒にゲームを作っている感じを出せると思っています。キャラクターが増えていくし、イベントも増えていくし、アイデアが出てくるなどなど。
みんなで参加して作るゲームというのは、インセンティブがあるからできるものです。インセンティブがないと持たないはずです。みんながボランティアでやるというのは無理があります。そこが一番差別化できているところです。ソーシャルゲームのような運営はしなくて良いゲームということですね。
加藤:すみませんが、よくイメージできません・・・
竹村:ポケモンGOにポケストップってあるじゃないですか。あれは、Ingressというゲームのユーザーが登録していったものになります。みんなで写真を投稿して作っていったものです。途中で投稿がありすぎて申請が打ち切りになったのですが、それをやっていた人たちはIngressの世界を作っていることに参加していたという意識があります。
その人たちの定着率はとても高くて、今から始めるとその気持ちは味わえないけれども、みんなで作ったゲームで「僕たちのゲームだ」と本当にみんながそういうことを思っていたらプレイヤーは定着するし、ビジネスとしても良いと思っています。なので、みんながイベントから何から起こせるゲームにしたいなと思っています。
加藤:よくわかりました。ブロックチェーンのインセンティブを使い、ゲームへの寄与度をIngress以上にあげようとしているわけですね。
竹村:はい、そうです。Ingressは参考にはしてます。
加藤:だいぶ古いゲームですが、私はパソコンでシムシティ4をやってたことがあって、あのゲームはユーザーが建物を自由にデザインして建てられるという機能がありました。私は建物を一方的に使う側だったのですが、新しいネタのリリースは楽しみでしたし、私自身はかなり長く遊びました。
CROSSLINKは、単なる土地やアイテム売買の枠を超えて、ユーザー全参加型のものになるということですね。私の想像以上に長期目線なゲームです。
竹村:そうですね。なのでCROSSLINKはプラットフォームとして作っていて、あまり夢を見ているとリリースできなくなるので、最初はリリースできるものを作って、その後はそういうものを作っていく予定です。
もっというと、マンガのキャラをユーザーが投稿してくる人なども出てくるはずで、それを権利者にお金が入るようにしたいのと思っています。こちらで完全に取り締まるのは難しいし、違反しているよねという話は出てくるでしょうから。
著作権者にとっては、お金を払ってくれれば良い、イメージが崩れなければ良いという人も相当数居るはずです。でも、この後ブロックチェーンゲームが進んでいけば、ユーザーが作るゲームはもっと増えていくはずで、そうなると現実的に取り締まっていられなくなるはずです。そうなると、金払ってくれればOKという話が大勢になる可能性は高いです。
加藤:YouTubeは、既に著作権者がいるコンテンツをアップロードすると、広告を貼った時にオリジナルの著作権者に収益が行くようになっています。あのようなイメージですよね。
竹村:そうですね。ユーザーは、本当はアニメキャラクターのアバター作りたいはずですよ。
加藤:確かに、よく知らないキャラクターよりは知っているもののほうが良いですからね。
竹村:既存のキャラクターを使えないとしても、どうせうまくパーツを組み合わせてそっくりなキャラクターを作る人は出てくるはずなので、それだったら最初から版権キャラクターを使って、お金が入るようにしてしまったほうが良いと思います。お金払っても使いたいと思う人も多いですし、そういうのやりたいなと。
第3部の予告
いかがでしたでしょうか。
第2部では、CROSSLINKの世界観や他のブロックチェーンゲームとしての差別化点をご紹介してきました。
続く第3部では、CROSSLINKのキモとなるゲーム内の土地について、今後の意気込みについてご紹介します。
CROSSLINKに関する情報
公式情報
当メディアの竹村氏への取材記事
【インタビュー】プラチナエッグ 竹村氏
- Part.1:竹村氏とプラチナエッグの紹介
- Part.2:ゲーム制作者の視点でみたブロックチェーンゲームとは
- Part.3:クリプトダービーの紹介
- Part.4:これからどれくらいブロックチェーンゲームに取り組んで行く
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