Binance Smart Chain, Huobi Eco Chainをはじめとして、最近は数多くの取引所系チェーンが乱立していますが、それぞれのチェーン上で扱われている資産は、基本的に何かしらのブリッジを通してチェーンをまたぎ、流通しています。多くの場合、その役割を担うのは中央集権型取引所になり、分散型ではないため、カウンターパーティリスクが存在しています。Bluehelixは、BHEX取引所のチェーンでありながらも、他の取引所系チェーンとはまったく異なるコンセプトで作られています。
Bluehelixの概要
Bluehelixは、BHEX取引所により開発された独自のブロックチェーンプラットフォームです。BHEX取引所そのものは、2018年11月にサービスを開始してから、一度もメンテナンスにより停止していない極めて頑強なシステムを構築する技術を有しています。
Bluehelixは、昨今の取引所系チェーンにありがちなイーサリアムの代替を目指すチェーンと異なり、ブロックチェーンレベルのセキュリティで資産のカストディを行うことをコンセプトにしています。そのため、Bluehelixでは最初からクロスチェーンを前提とした設計がなされており、数多くのチェーンに接続できるようになっています。
基本的なチェーンの動きのイメージは、一般的なクロスチェーンブリッジと同様です。Bluehelix上に作成されたウォレットに資産を入金すると、1対1にペグされたトークンがBluehelix上に発行されるようになっています。
Bluehelixにおける入出金の使い勝手は、複数チェーンに対応した海外の中央集権型取引所に似ています。入金するときに好きなチェーンを指定でき、入金時と別チェーンから出金することもできます。そのため、Bluehelixを使ったプロダクトでは、チェーンの存在を気にしない暗号資産の利用が可能になります。2021年8月22日時点において、BHEX Chainを使った自社製品として分散型取引所(AMMおよび板取引式)のHDEXがリリースされています。
Bluehelixの特徴
Bluehelixの動作概要
Bluehelixは、分散型の仕組みのみで、あらゆるチェーンの資産をチェーン間で行き来させることができます。それらの仕組みは、チェーンを構成する3種類のノードで実現されます:
- 通常ノード(Ordinary Nodes):トランザクションの送信、RPCサービス、ブロックの同期に参加するノード。
- コンセンサスノード(Consensus Nodes):全体のコンセンサスに参加し、ブロックの生成を行うノード。初期段階で35ノード程度。
- カストディノード(Cross-Chain Custody Nodes):秘密鍵の断片を保管し、入出金の処理を行うノード。コンセンサスノードの役割も兼ねる。初期段階で15ノード程度。
コンセンサスノードとカストディノードは、BluehelixのネイティブトークンHBCをステーキングすることが求められます。また、HBCトークンの保有者は、コンセンサスノードとカストディノードに対してデリゲートすることにより、ステーキング報酬を得ることができます。
Bluehelixのクロスチェーンによる入出金では、分散型暗号技術に基づき、カストディノードによってユーザーごとに一意のウォレットアドレスが生成されます。個々のカストディノードは、ユーザーのウォレットの断片化された秘密鍵を保有し、出金時に複数のカストディノードによるマルチパーティ計算(MPC)を行うことで、秘密鍵の全体が誰にも把握できないようにします。
ウォレットにトークンを入金されると、ユーザーの資産は1対1でロックされます。例えば、EthereumからERC20 USDTを1 USDT入金した場合、Ethereum側で1 USDTがロックされ、Bluehelix側でUSDTにペグされたトークンが1 USDT分発行されます。出金の場合は、入金と逆の動きになります。BHEX Chain側のトークンはバーンされ、出金先のチェーンにロックされているトークンが解放されます。
Bluehelixのメリット
多くのチェーンとの接続に対応している
Bluehelixは、多くのチェーンとのクロスチェーンに対応しています。2021年8月22日現在、対応しているチェーンは以下の通りです。
- Bitcoin
- Ethereum
- Binance Smart Chain (BSC)
- Huobi Eco Chain (HECO)
- TRON
- DOGE
- Polygon
また、既に以下のチェーンへの対応がアナウンスされており、順次対応していきます。
- NEAR
- Solana
- xDai
- Fantom
- Cosmos
- Filecoin
入出金のチェーンを意識する必要がない
DeFiサービスでは、通常何らかの形でサービスが対象としているチェーン上の資産を確保する必要があります。例えば、Binance Smart Chain上のサービスを使う場合、予めBEP20規格のトークンを確保しておく必要があります。そのため、多くの場合は中央集権型取引所やブリッジを介す必要があり、手間と余計なGASコストが生じることになります。
それに対し、Bluehelixでは、Bluehelix上にウォレットさえ作ってしまえば、入出金のためのチェーンを気にしなくて済むようになります。例えば、もともとERC20 USDTを保有している場合、ウォレットに紐付いたイーサリアムアドレスに直接入金することができます。そして、TRC20 USDTで出金したい場合、TRON上のアドレスに対して直接出金を行うことができます。
秘密鍵が第三者に漏洩しない
昨今の中央集権型取引所による暗号資産の流出は、いずれも秘密鍵が不正に取得されたことにより起こるものです。
Bluehelixでは、複数のカストディノードで秘密鍵の断片を保有します。出金で秘密鍵が必要になる局面においては、複数のカストディノードにより行われるマルチパーティ計算(MPC)で署名します。MPCにより、各ノードが保管している秘密鍵の断片を明かす必要がないため、誰も秘密鍵全体を把握することができません。
この仕組みにより、秘密鍵全体の不正な取得を防止し、単一障害点のリスクを排除することに繋がります。
HBCトークン
トークンの概要
Bluehelixでは、ネイティブトークンとしてHBCを利用します。HBCは、もともとBHEX取引所の取引所トークンから始まり、現在は取引所トークンとBluehelixのネイティブトークンの2つの役割を担っています。そのため、HBCの主な入手先はBHEX取引所になります。
BluehelixにおけるHBCトークンは、以下の用途になります。
- Bluehelixにおける価値の移転(HBCの送受信)
- Bluehelixの機能を使用するためのGAS
- コンセンサスノード、及びカストディノードへの委任(デリゲート)
- コンセンサスノードまたは及びカストディノードになるための担保
コンセンサスノードやカストディノードためには機関クラスの担保資金が必要になるため、一般ユーザーがHBCをステーキングする場合はデリゲートすることになります。HBCステーキングの報酬割合は、以下の通りになり、デリゲートをした場合の報酬が最も高い比率になっています。
- グローバルブロック報酬(カストディノード向け):5%
- ブロック報酬(カストディノード、コンセンサスノード向け):9.5%
- 投票報酬(デリゲートした人向け)85.5%
公式ウォレット「BHEX Wallet」
Bluehelixには、プロジェクトから公式ウォレットのBHEX Walletが提供されています(iOS, Android, Chromeブラウザ拡張)。BHEX Walletでは、簡単に様々なチェーンのアセットが入出金できるようになっている他、直接分散型取引所のHDEXにアクセスすることができるようになっています。
ここでは、iOSのウォレットを例に機能を紹介していきます。
入金
それぞれの資産画面で「Deposit」をタップすると、入金するチェーンを選択することができるようになっています。初回は、HBCをGASとして消費し、対象チェーンの入金アドレスを生成します。入金には、最低入金額が存在している他、対象チェーンのGASも必要になります。
出金
それぞれの資産画面で「Withdraw」をタップすると、出金先のチェーンを選択することができるようになっています。出金では、Bluehelixと対象チェーンの両方を利用するため、HBCと対象チェーンのGASが必要になります。
デリゲート
カストディノードやコンセンサスノードへのデリゲート、及びノード選挙の際の投票を行うことができます。デリゲートによるAPYは、HBC保有者がデリゲートするほど減少していきます。
Bluehelixに関する情報
注)BluehelixのSNS情報は、HDEXのアカウントをフォローすることで得ることができます。