Axelar Network の概要
Axelar Networkは、クロスチェーンによるアプリケーション実装を容易にするためのクロスチェーンハブとなるパブリックブロックチェーンです。Cosmos SDKベースで構築されており、ネイティブトークンとして$AXLを使用します。
ブリッジや相互運用性のハブなど、クロスチェーンの実装が増えてきているものの、ブロックチェーンを利用する開発者にとっては、まだ開発がしやすい状況とは言えません。既存のクロスチェーン・ソリューションでは、ブロックチェーンやアプリケーションの開発者が、それぞれの接続先ブロックチェーンの通信プロトコルを理解する必要があります。これらには重いエンジニアリング作業が必要となります。また、いざ実装できたとしても、接続先の実装が変わるたびに変更箇所を把握してアップデートする必要があるため、接続先が増えれば増えるほどシステムを維持する手間が増大していきます。
Axelar Networkは、上記のようなチェーンやアプリケーションの開発者の負担を軽減するために開発されました。以下の3つのコンポーネントで構成されており、あるブロックチェーンで資産を所有しているユーザーが、他のブロックチェーンで任意のアプリケーションを実行できるようになります。
- 分散型ネットワーク。
- Axelar Networkおよび、その相互接続された外部チェーン間の接続を提供するゲートウェイスマートコントラクトのセット。
- プロトコルとAPIのソフトウェア開発キット(SDK)。
これらのコンポーネントで大きな恩恵を受けるのが、主に開発者です。ブロックチェーン開発者は、重いエンジニアリング作業を行わずにAxelar Networkに相互接続できるようになり、アプリケーション開発者はAPIを使用するだけでクロスチェーン機能を利用することができるようになります。
Axelar Network の特徴
50以上のチェーンの接続に対応
2023年12月時点、Axelar Networkには以下のチェーンをはじめとし、55チェーンが接続できるようになっています(最新状況はこちら)。
- IBC対応チェーン(IBC対応チェーンの詳細はMap of Zonesにて)
- Avalanche
- Ethereum
- BNB Smart Chain
- Fantom
- Polkadot (Moonbeam)
- Polygon
- Base

Axelar Networkの対応チェーン(2023年12月時点)
このような実装により、ユーザーはチェーンの存在を意識せずにブロックチェーンを利用することができるようになります。例えば、チェーンが異なる2つのDEXで、チェーンAに資産(X、Y)を持つDEXがあり、チェーンBに資産(Y、Z)がある場合、XからZへの資産を直接交換することができるようになります。Axelar Networkは、自プロジェクトの製品としてAxelar Network上の最初のクロスチェーン転送DAppsである「Squid」を公開しています。
アプリケーション開発者のクロスチェーン利用難易度が低い
Axelar Networkでは、アプリケーション開発者がそれぞれの接続先のチェーンの実装方法を意識することなく、DAppsを構築することができます。
アプリケーション開発者には、プロトコルとAPIの集まりであるAxelar SDKが提供されます。Axelar SDKを利用すると、Axelar Networkに接続され、Axelar Networkに対応するすべてのエコシステムの資産をやり取りするためのリクエストを発行することができるようになります。
ブロックチェーン同士の接続難易度を下げる「Axelar Virtual Machine」
Axelar Networkは、Axelar Virtual Machineを提供することによって、各ブロックチェーンにとってのクロスチェーンの難易度を下げます。
現状のクロスチェーンプロトコルでは、許可制でチェーンの数を拡張しています。これは、新興チェーンがクロスチェーンを導入する難易度が高いということを意味します。また、いざクロスチェーンを導入できたとしても管理の手間の問題があります。現状は、接続元・接続先チェーン間でスマートコントラクトを構築する必要があり、チェーンが増えるごとにこれらの手間が増大していきます。また、何かしらのアップデートがあると、すべてのチェーンのスマートコントラクトを個別にメンテナンスする必要があります。これは、接続するチェーンが増えてくると、最終的に管理不能に陥る可能性があります。
Axelar Virtual Machineは、上記の問題に対処するために2つの製品を提供します。
- Interchain Amplifier:誰でも簡単かつシームレスにAxelarネットワークとそのすべての相互接続されたチェーンへの接続を作成できるようにするパーミッションレスモデルおよびサービス。
- Interchain Maestro:開発者がマルチチェーンdAppインスタンス化の展開と管理に使用できるオーケストレーター。 Interchain Maestroを使用すると、開発者は一度構築すればどこでも実行できる。

Axelar Virtual Machineの位置づけ
AXLトークン
AXLトークンの用途
$AXLは、Axelar Networkにおけるネイテイブトークンです。主に以下の用途で使用されます。
- ユーザーがバリデーターにGAS代などで支払う
- ガバナンスの行使で使用する
- バリデーターやデリゲーターへのブロック報酬
- エコシステム構築者やコミュニティ貢献者への報酬
AXLトークンの配布
$AXLは、最大発行数が定められておらず、ブロック報酬によりインフレしていきます。しかし、ネットワークによって収集されたネットワーク料金の一部は、バーンに使用される場合があります。
Axelar Networkのジェネシスブロック生成時には、10億 AXLが発行され、以下の割当ルールに応じて配布されます。
- 36.0%:コミュニティプログラム – 4年間の分割リリース
- 29.5%:投資家- 2年間の分割リリース
- 17.0%:コアチーム – 4年間の分割リリース
- 12.5%:会社の運営 – 4年間の分割リリース
- 5.0%:コミュニティセール(CoinList)- 9ヶ月間の分割リリース
以下は、上記のリリースを可視化したものです。