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Manta Network(MANTA)の解説

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Manta Network(MANTA)の概要

Manta Network(マンタネットワーク)は、ゼロ知識証明を使用したアプリケーションをより簡単に実現するためのエコシステムです。ハーバードやMIT、Algorandなどの研究機関やプロジェクトの出身者により運営され、2019年よりゼロ知識証明の研究を行っています。

Manta Networkは、エコシステムとして3つのブロックチェーンを有しており、PolkadotパラチェーンであるManta AtlanticとKusamaパラチェーンのCalamari Network、モジュラー実行レイヤーのManta Pacificになります。2023年10月9日時点で、各チェーンのローンチステータスは以下の通りです。

  • Manta Atlantic:メインネット未ローンチ
  • Calmari Network:メインネットローンチ済み
  • Manta Pacific:メインネットアルファローンチ済み

Manta Networkを構成するブロックチェーン

Manta Networkの主要チェーン

レイヤー1: Manta Atlantic

Manta Atlantic(マンタアトランティック)は、Polkadotパラチェーンのレイヤー1です。カナリアネットワークとして、KusamaパラチェーンのCalamari Network(カラマリネットワーク)が提供されています。

Manta Atlanticは、プライバシーを重視しかつコンプライアンスに対応することが可能な、高速なZKレイヤー1です。Manta Atlantic上に用意された汎用ZK回路(Universal Circuits)により、アプリケーション開発者が暗号化のための作業を行うことなく、高レベルのAPIを利用することで様々なゼロ知識証明を使ったアプリケーション「ZKアプリケーション」を作ることができるようになります。

Manta Atlanticでは、公開型と非公開型のアドレスシステムがあります。公開型では、従来のブロックチェーンと同様に透明性が確保され、誰でもその内容を検証することができるようになっています。これは、プライバシーがないアドレスシステムといえます。

それに対して、非公開型はzkAddressと呼ばれ、zkAddressを使うことによってユーザーはオンチェーン上でプライバシーを保つことができるようになります。このzkAddressは、前述の汎用ZK回路で実現されるものです。zkAddress上で扱う資産はzkAssetと呼ばれ、ファンジブルトークンやノンファンジブルトークン(zkNFT、zkSBT)を扱うことができます。また、Viewing Keyを利用することで、コンプライアンスに対応するために取引情報を開示することができます。加えてzkAddressは、SBTのミントやオンチェーン資格情報、オフチェーンIDなども保護できるようになっています。Prove Keyを使用することで、プライバシーを漏らすことなく、zkAddressで扱っている特定の資格情報を共有できるようになっています。

Manta Atlantic向けには、既にいくつかの公式プロダクトが存在しています。2023年10月9日時点においてManta Atlanticはメインネットが未ローンチであるため、Calmariのみが対応しています。

  • Manta Wallet:公式のウォレット。zkAssetのやり取りを行うことができる。
  • MantaPay:トークンのzAsset化や送信を行うことができる。
  • NPO:zkNFT/zkSBTを使ったNFTのプライベートオファリングを行う資金調達プラットフォーム。
  • Bridge:Manta Atlantic/CalamariやPolkadot/Kusamaのパラチェーン間でトークン転送を行うことができる。
  • Staking:PoSによるステーキングを行うためのプラットフォーム。
  • Govern:ガバナンスのためのプラットフォーム。

レイヤー2: Manta Pacific

Manta Pacific(マンタアパシフィック)は、EVMネイティブのレイヤー2です。ゼロ知識証明を使ったZKアプリケーションが実現できるのはもちろんのこと、Celestiaのデータ可用性レイヤーを利用してセキュリティを確保しつつガス代を削減。OP Stackによりスケーラビリティを実現しています。

Manta Pacificにおいてプロジェクトがやろうとしているのは、EVMでZKアプリケーションを簡単に実現できる環境の提供です。Manta Pacificのローンチ時点において、EVMにおけるZKアプリケーションの構築環境は存在していませんでした。仮にそれを実現しようとするとユーザーは高いガス代と効率性の低さに苦しむ可能性があります。一方で、開発者が既に存在している非EVMチェーンにおいてZKアプリケーションを展開しようとすると、新しいプログラム言語を学ぶ必要があります。これは多くの時間を要するため、非効率的です。

そこで、Manta Pacificでは汎用ZK回路2.0をリリースしました。開発者はいつも通りにSoilidityを使ってコードを書き、汎用ZK回路2.0のAPIを呼び出すことで簡単にZKアプリケーションを構築することができるようになります。APIを呼び出すために必要なコードは数行とされています。これにより、DeFiコンプライアンスプライバシーペイメント、Web3ソーシャルアイデンティティ認証、およびオンチェーンゲームのプライバシーシャッフルやリシャフル機能などがEVMで実現できるようになります。

MANTAトークン

Manta Networkでは、ネイティブトークンとして$MANTAを発行します。$MANTAはManta Atlantic側で発行され、10億枚の最大供給量が設定されているため、インフレーションはありません。$MANTAは、2023年10月9日時点においてローンチされていません。

$MANTAは、手数料とステーキング、及びガバナンスで使用されます。また、$MANTA保有者にはManta PayとManta Swapの手数料が還元されるようになっています。加えて、バーンされる仕組みが用意されており、$MANTA保有者がラップ(トークンの公開<>非公開)の手数料を請求すると、$MANTAがバーン*1されるようになっています。

参考情報:Manta Token (MANTA)

*1 2023年10月9日時点、どのアロケーションから$MANTAがバーンされるかの情報は詳しく記載されていません。カナリアネットのCalamari Networkを参考にすると、同様にトレジャリーからバーンされることが見込まれます。

Manta Networkに関する情報

 

この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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