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プライバシーを提供するブロックチェーン「Manta Network(MANTA)」の解説

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Manta Network(MANTA)の概要

Manta Network(マンタネットワーク)は、ゼロ知識証明を使用したアプリケーションをより簡単に実現するためのエコシステムです。ハーバードやMIT、Algorandなどの研究機関やプロジェクトの出身者により運営され、2019年よりゼロ知識証明の研究を行っています。

Manta Networkは、エコシステムとして3つのブロックチェーンを有しており、PolkadotパラチェーンであるManta AtlanticとKusamaパラチェーンのCalamari Network、Ethereumレイヤー2のManta Pacificになります。

Manta Networkを構成するブロックチェーン

Manta Networkの主要チェーン

レイヤー1: Manta Atlantic

Manta Atlantic(マンタアトランティック)は、Polkadotパラチェーンのレイヤー1です。カナリアネットワークとして、KusamaパラチェーンのCalamari Network(カラマリネットワーク)が提供されています。

Manta Atlanticは、プライバシーを重視しかつコンプライアンスに対応することが可能な、高速なZKレイヤー1です。Manta Atlantic上に用意された汎用ZK回路(Universal Circuits)により、アプリケーション開発者が暗号化のための作業を行うことなく、高レベルのAPIを利用することで様々なゼロ知識証明を使ったアプリケーション「ZKアプリケーション」を作ることができるようになります。

Manta Atlanticでは、公開型と非公開型のアドレスシステムがあります。公開型では、従来のブロックチェーンと同様に透明性が確保され、誰でもその内容を検証することができるようになっています。これは、プライバシーがないアドレスシステムといえます。

それに対して、非公開型はzkAddressと呼ばれ、zkAddressを使うことによってユーザーはオンチェーン上でプライバシーを保つことができるようになります。このzkAddressは、前述の汎用ZK回路で実現されるものです。zkAddress上で扱う資産はzkAssetと呼ばれ、ファンジブルトークンやノンファンジブルトークン(zkNFT、zkSBT)を扱うことができます。また、Viewing Keyを利用することで、コンプライアンスに対応するために取引情報を開示することができます。加えてzkAddressは、SBTのミントやオンチェーン資格情報、オフチェーンIDなども保護できるようになっています。Prove Keyを使用することで、プライバシーを漏らすことなく、zkAddressで扱っている特定の資格情報を共有できるようになっています。

Manta AtlanticとCalmari向けには、既にいくつかの公式プロダクトが存在しています。

  • Manta Wallet:公式のウォレット。zkAssetのやり取りを行うことができる。
  • MantaPay:トークンのzAsset化や送信を行うことができる。
  • NPO:zkNFT/zkSBTを使ったNFTのプライベートオファリングを行う資金調達プラットフォーム。
  • Bridge:Manta Atlantic/CalamariやPolkadot/Kusamaのパラチェーン間でトークン転送を行うことができる。
  • Staking:PoSによるステーキングを行うためのプラットフォーム。
  • Govern:ガバナンスのためのプラットフォーム。

レイヤー2: Manta Pacific

Manta Pacific(マンタアパシフィック)は、zkEVMを採用したEthereumのレイヤー2です。ゼロ知識証明を使ったZKアプリケーションが実現できるのはもちろんのこと、モジュラー構成によりセキュリティを確保しつつガス代を削減し、スケーラビリティを確保します。コールデータの記録にはCelestiaを用いており、ステートと証明、データ可用性のマークルルートがEthereum側に記録されます。

Manta Pacificのモジュラー構成

Manta Pacificにおいてプロジェクトがやろうとしているのは、EVMでZKアプリケーションを簡単に実現できる環境の提供です。Manta Pacificのローンチ時点において、EVMにおけるZKアプリケーションの構築環境は存在していませんでした。仮にそれを実現しようとするとユーザーは高いガス代と効率性の低さに苦しむ可能性があります。一方で、開発者が既に存在している非EVMチェーンにおいてZKアプリケーションを展開しようとすると、新しいプログラム言語を学ぶ必要があります。これは多くの時間を要するため、非効率的です。

そこで、Manta Pacificでは汎用ZK回路2.0をリリースしました。開発者はいつも通りにSoilidityを使ってコードを書き、汎用ZK回路2.0のAPIを呼び出すことで簡単にZKアプリケーションを構築することができるようになります。APIを呼び出すために必要なコードは数行とされています。これにより、DeFiコンプライアンスプライバシーペイメント、Web3ソーシャルアイデンティティ認証、およびオンチェーンゲームのプライバシーシャッフルやリシャフル機能などがEVMで実現できるようになります。

MANTAトークン

Manta Networkでは、ネイティブトークンとして$MANTAを発行します。トークンは、Celerブリッジを通じてManta Atlantic/Pacific間を行き来させることができます。

MANTAトークンのユーティリティ

Manta Atlantic

  • トランザクション手数料(送金、スマートコントラクトの実行等)
  • 交換媒体(Manta Networkにおけるネイティブ通貨)
  • ガバナンス
  • ネットワークセキュリティの維持

Manta Pacific

  • トークン保有者への価値提供(シーケンサー収益の分配など)
  • 開発者や貢献者への支援
  • ユーザーとコミュニティメンバーへの支援
  • 収益創出

MANTAトークンの配布

$MANTAは、Manta Atlantic/Patificで合計10億トークンが初期供給されます。トークンの配布内訳は以下の通りとなります。

$MANTAの配布内訳

対象 比率
パブリックセール 8.00%
プライベートラウンド 12.94%
戦略ラウンド 6.17%
機関投資家 5.00%
エアドロップ (Into the Blue) 5.60%
Binanceローンチプール 3.00%
エコシステム/コミュニティ 21.19%
財団 13.50%
エアドロップ2 (New Paradigm) 6.50%
チーム 10.00%
アドバイザー 8.10%

それぞれの対象にはクリフやべスティングが設定されています。それらを考慮したリリースの時系列は以下の通りです。

$MANTAのリリース

トークノミクスの詳細は、「$MANTA Tokenomics」より確認することができます。

MANTAトークンを売買できる取引所

Manta Networkに関する情報

 

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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