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UXの改善にアプローチするブロックチェーン「XION」の解説

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XIONの概要

XION(ザイオン)は、ユーザ体験(UX)を改善することにフォーカスしたレイヤー1のブロックチェーンです。ブロックチェーンにおける複雑な要素をすべて抽象化し、一般のユーザーにシームレスなUXを提供することを目的としています。2024年1月16日現在、メインネットはローンチしておらずテストネットキャンペーンを実施しています。

Web3の世界には既に200を超えるパブリックブロックチェーンが登場しているものの、ユーザーが利用するためには、ウォレットのシードフレーズの扱いや、ガスのためのネイティブトークンの用意など、学習や手間が必要になります。これは、より多くのユーザーがブロックチェーンにオンボードすることの大きな妨げになっています。

ユーザーは、暗号資産取引所を使っているときに、それがAWS上で動いていることを意識することはありません。このように、ITにおけるインフラは、通常ユーザーが意識することがない存在になっていますが、ブロックチェーンでは同様のことが未だに実現できていません。XIONは、アカウントの抽象化を通してユーザーがブロックチェーンの存在を意識しないインフラを実現します。アカウントの抽象化は、Ethereumをはじめ、新興のブロックチェーンでも既に存在しています。XIONでは、アカウント抽象化をプロトコルレベルでサポートすることで、既存のチェーンでは不可能だった高いUXを実現します。

XIONでは、非カストディでありながら従来のメールアドレスを使ったログインのウォレットに対応します。また、トランザクションの署名には、ウォレットはもちろんのこと、Face IDのような一般的な手段を用いることができます。加えて、デビットカードやクレジットカードをサポートすることで、ユーザーは暗号資産を利用することなく、すべてをドルで決済することができるようにもなります。

XIONのチェーン自体はCosmos SDKで構築され、CometBFT(旧名Tendermint)やIBC(Inter-Blockchain Communication)、CosmWasmの技術スタックが使用されています。また、2024年の第1四半期にメインネットのローンチを目指しており、Multicoin CapitalやHuobi Capital、Circleなどから1100万ドル以上を調達した実績があります。

XIONによる抽象化

抽象化(abstraction)とは、対象から細部や具体性を取り去り、本質的に重要な要素や、着目している側面のみを取り出して、一つの概念として定義すること。また、異なる複数の対象に共通する性質や要素を見出し、共通点を組み合わせて汎用的な概念を構成すること。 ー IT用語辞典 e-Words より

XIONでテーマとなるのは「抽象化」です。具体化と反対の意味を持つこの言葉は、詳細を見えなくするということを意味し、抽象化によってユーザーや開発者は、ブロックチェーンの細部を意識しなくてもXIONを利用することができるようになります。XIONでは、一連の抽象化のことを「一般化された抽象化(Generalized Abstraction)」と呼んでいます。一般化された抽象化を細分化すると、次のような要素で構成されます。

プロトコルレベルのアカウント抽象化

XIONでは、メタアカウントを導入します。メタアカウントでは、従来の秘密鍵-公開鍵モデルを切り離すことで、ユーザーとのやり取りを合理化し、非カストディの方法で従来のWeb2サービスのような使い勝手を実現します。メタアカウントにより、以下のことが実現できます。

  • 鍵のローテンション:アカウントの鍵を交換可能にすることで、鍵の漏洩リスクを低減する。
  • ルール設定:取引限度額や定期支払いなど、自由にアカウントの管理ルールを設定できる。
  • キーの重み付け:重要な権限が必要なものには特定のキーを使うなどのアクセス制御を実現する。
  • 多様な認証:異なるデバイスやプラットフォームを使う認証を実現する。
  • 多要素認証:複数の認証要素の組み合わせにより、安全な認証を実現する。

署名の抽象化

署名の抽象化により、ユーザーは最大256の異なる認証方法を追加することができます。XIONでは、電子メールや生体認証などのおなじみのWeb2認証方式に加え、Solana、EVM、Cosmos、そしてそれ以降のすべてのウォレットをサポートします。

デバイスの抽象化

前述の要素を組み合わせることで、XIONではユーザーが秘密鍵を保管・管理する必要がなくなります。これにより、ユーザーは複数のデバイスにまたがってアカウントを使用する際に従来存在していた安全性のリスクや、複雑さから解放されます。例えば、PCではMetaMaskを、スマートフォンではメールアドレスを使うログイン方法により、チェーン上の同一のアカウントにアクセスすることが可能になります。

支払いの抽象化

支払いの抽象化により、ユーザーはガスのためのネイティブトークンを用意することなく、任意のトークンで料金を支払うことができるようになります。また、プロトコルが標準でステーブルコインの$USDCをサポートしています。そのため、ユーザーはドルのみでXIONを利用することもできます。手数料として収集された任意のトークンや$USDCは、プロトコルが自動的に$XIONトークンに交換してバリデーターに支払います。

相互運用性の抽象化

XIONでは、IBC(Inter-Blockchain Communication)及びインターチェーンアカウントを使うことにより、相互運用性の抽象化を行います。ユーザーは、複数のチェーンにまたがって所有するアカウントをXIONのメタアカウントにリンクさせることができ、1つの中央アカウントからすべての資産をシームレスに管理することができるようになります。

XIONトークンに関する情報

XIONでは、ネイティブトークンとして$XIONトークンを発行します。$XIONの詳細は、2024年1月16日時点で公開されていません。

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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