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mETH Protocol (COOK) の解説 ~Mantle公式のETHのLST/LRTプロトコル

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mETH(COOK)の解説

mETH Protocol(以下、mETHと表記)は、レイヤー2の Mantle Network(解説記事)で知られているMantleプロジェクトが提供する、Ethereumのリキッドステーキングトークン(LST)およびリキッドリステーキングトークン(LRT)のプロトコルです。

ユーザーに対して両者の仕組みを包括的に提供することで、mETHは一貫したサービスによるわかりやすさと利回りの最大化を実現しています。

2022年9月25日、EthereumはProof of Stake (PoS)に完全移行しました。これによりユーザーは$ETHをステークして利回りを得られるようになりましたが、他のPoSチェーンに見られる委任の概念はなく、ステーキングには 32 ETH(約1950万円相当、2024年12月27日時点)が必要となり、多くのユーザーにとって参加のハードルが高い状況でした。

この課題を解決するのがリキッドステーキングです。ユーザーは任意の数量の$ETHをステーキングでき、それに対応する債権トークン($stETHなど)を獲得できます。債権トークンはステーキングした$ETHの引き出し権を表すため、$ETHに相当する価値があるものとして扱われます。ユーザーにとっては、債権トークンを取引することで、資金効率を上げられるメリットがあります。mETHのリキッドステーキングでは、$ETHをステーキングすることで$mETHを獲得できるようになっています。$mETH(Mantle Staked Ether)は、Ethereumのレイヤー2であるMantle Networkと並ぶMantleの主要製品の一つであるmETHプロトコルの、価値を蓄積する債権トークンとして機能します。

さらにmETHは、リキッドリステーキング機能も備えています。リステーキングとは、ステーキング済みの資産をさらにステーキングすることで、利回りを二重取りすることができる仕組みです。mETH Protocol のリステーキングでは、$mETHをステーキングすることで債権トークンの$cmETHを獲得できます。特筆すべきは、ユーザーがリステーキングプロトコルを手動で選択することなく、自動的に複数のリステーキング先に$mETHが振り分けられる点です。これにより、ユーザーはリステーキングの手間を最小限にしながら、利回りを最大化することができます。

2024年12月現在、mETHは新興プロジェクトながら、EthereumのリキッドステーキングプロトコルとしてはTVL第4位、リキッドリステーキングプロトコルとしてはTVL第5位を記録しています。また、Methamorphosis(メタモーフォシス)と呼ばれるプログラムを通じて、$ETHをリステーキングしMantle Network にブリッジすることで、ガバナンストークン$COOKを獲得できるキャンペーンを提供しています。

mETH Protocol のリキッドステーキングとリキッドリステーキング

mETHでは、リキッドステーキングとリキッドリステーキングを包括的に提供しています。以下の図は、それらを俯瞰的に表したものです。$ETHをステーキングすることでユーザーは、$mETHを得ることができ、さらにそれをステーキングすると$cmETHを得ることができます。そして、$mETHと$cmETHは全く同じ価値を持ちます。

mETH Protocolのアーキテクチャ

$mETH: リキッドステーキング

mETH Protocol のリキッドステーキング

mETHのリキッドステーキングは、$ETHをステーキングして$mETHを獲得することができます。

$ETHのステーキングを担うのは、ノードオペレーターの A41, P2P, Blockdaemon, stakefish です。彼らは、いずれも経験豊富なバリデーター実績を有しており、この分野ではよく知られている存在です。

$ETHと$mETHの交換レートは、$ETHのステーキングによる利回りが反映されており、2024年12月現在の交換レートは、”1 mETH = 1.0506 ETH” です。また、リキッドステーキングにおける手数料率は10%で、アンステークによる$ETHを取得できるようになる待機期間は最大7日間です。

$cmETH: リキッドリステーキング

mETH Protocol のリキッドリステーキング

mETHのリキッドリステーキングは、$mETHをステーキングして$cmETHを獲得することができます。一度リステーキングすると、ユーザーは定期的に報酬を請求することができるようになっており、その利回りは年利3.11%です(2024年12月時点)。

ユーザーは、$mETHをステークすると、それらはプロトコルによってEigenLayerやSymbiotic、Karakに自動的にリステーキングが行われます。リキッドステーキングと対照的に、アンステークによる待機期間は8時間と短くなっています。

これにより、ユーザーは、$ETHのステーキングとリステーキングによる利回りの二重取りをより手軽に行うことができるようになります。

Methamorphosis プログラム

Methamorphosisプログラム

Methamorphosis プログラムは、mETHの積極的な利用を通してガバナンストークン$COOKを入手することができるキャンペーンです。2024年12月時点で第2弾のS2が行われています。

ユーザーは、$ETHをリステーキングして、$cmETHをMantle Networkまでブリッジし、さらにそれらをMantle Network上のDeFiプロトコルで流動性提供することで、$COOKの獲得倍率をブーストさせることができます。以下は、その倍率の例です。

倍率の例:

  • 40倍:$cmETHの流動性提供 – Pendle, Merchant Moe, Demexなど
  • 30倍:$cmETHの流動性提供 – Agni, Swapsicle, iZUmiなど
  • 20倍:$cmETHの入金 – Treehouse, WOOFi, Thetanautsなど
  • 10倍:$cmETHのウォレット保有

COOKトークン

COOKトークンの用途と分配

mETHでは、ガバナンストークンとして$COOKが発行されます。$COOKは、エコシステムの方向性やその他の戦略的な事項について投票するために使用されます。

$COOKは、合計50億枚が発行され、以下の割合に応じて分配されます。全体の19.2%が初期供給となります。

項目 数量 (COOK) 割合 ベスティング
コア貢献者 500,000,000 10% 12ヶ月間のロックアップ後、36ヶ月の線形ロック解除
コミュニティ 3,000,000,000 60%
Mantleトレジャリー 1,500,000,000 30%

COOKトークンが売買できる取引所

mETHに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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