Layer1プロジェクト解説

Mina (MINA) の概要と解説 ~”すべての証明”を実現する世界最軽量チェーン

Layer1
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Mina(MINA)の概要

Minaは、ゼロ知識証明*1を使い、安全でプライベートかつ検証可能なインターネットを実現するための世界最軽量のブロックチェーンです。

今日のインターネットでは、情報の真偽性を確かめることが非常に重要になっています。データのサイロ化や誤情報が蔓延する中、AIの台頭はこの流れに拍車をかけています。人々にとって真実を見極めることはますます困難になり、オンラインの信頼性そのものが脅かされています。Minaは、ブロックチェーン技術とゼロ知識証明(zk-SNARKs)を用い、「Proof of Everything(すべての証明)」を提供することで、この問題解決を目指します。

Minaの「Proof of Everything」を実現するのが、わずか22KBという世界最軽量のブロックチェーンです。この22KBには、Mina上で発生したすべてのトランザクションの証明が含まれており、誰でもダウンロードしてその正当性を検証できます。22KBというサイズは、今日のインターネット接続環境であれば瞬時にダウンロード可能です。つまり、誰でも簡単に真実性を確認できるということです。

Minaがチェーンサイズ22KBを実現できるのは、再帰ゼロ知識証明を用いているためです。従来のブロックチェーンでは、ブロックを積み重ねていくことで過去のトランザクションを検証していました。一方、Minaでは再帰ゼロ知識証明を使い証明を積み重ねることで、22KBという固定サイズでありながら、過去に発生したすべてのトランザクションの検証を可能にしています。

Minaは、ゼロ知識証明を活用することで、zkAppsと呼ばれる、機密性を保持しながら証明を必要とするアプリケーションを実現します。例えば、製薬会社が薬のレシピを公開することなく、アレルギー成分の有無を証明できるサービスなどを構築できます。このようなzkAppsの特性は、情報の秘匿性が求められる多くのビジネスシーンにおいて非常に有効なものです。

*1 ゼロ知識証明とは、ある人が別のある人対して、与えられた情報が「真実である」ということ以外の情報を相手に与えずに、その情報が実際に「真実」であることを証明する手法を指します。

分かりやすい例として、AがBの電話番号を知っていることをCに証明します。しかし、AはBの電話番号をCに教えたくありません。そこで、AはBに電話をかけることで、CにBの電話が鳴っていることを見せます。これにより、Aは、CにBの電話番号を伝えずに、自身がBの電話番号を知っていることを証明することができます。

技術ハイライト

すべての証明 ~再利用・連携可能な証明

Minaのパワフルさは「すべての証明」を活用できる点にあります。

従来のブロックチェーンでも証明は可能でしたが、コストがかかり、ユーザーのプライバシーが犠牲になることが多く、限定的な利用に留まっていました。

Minaの再帰ゼロ知識証明を用いた「すべての証明」は、これらの制限を克服します。参加者は、すべてのデータや計算をネットワーク全体に公開する必要はなく、正当性を証明する情報のみを共有すれば良くなります。これにより、オープンなシステムでもプライベートなシステムでも、情報の正当性を検証することが可能になります。

また、「すべての証明」はシステム間で連携や再利用することができます。異なるプラットフォーム間でもデータの正当性を検証できるため、データのサイロ化を解消し、よりオープンで協調的なシステムを実現できます。

ノードが保持するチェーン容量が22KB

Minaでは、ノードが保持するチェーンの容量は、一貫したサイズの暗号化証明により22KBに保たれます。

一般的なブロックチェーンでは、ノードはトランザクションを検証するために、過去のすべてのブロック、つまりチェーン全体のデータを保持する必要があります。例えば、Bitcoinチェーンのサイズは2024年12月時点で622GBにもなります。これは非効率なだけでなく、将来的に膨大なハードウェアリソースが必要となり、分散化を阻害する要因となります。

一方、Minaはトランザクションの検証に再帰ゼロ知識証明を使用します。この実装では、ブロックチェーン全体を軽量なスナップショットとして捉えます。そして、次のブロックが生成されると、再びスナップショットを生成し、前のスナップショットと紐付けます。そのため、各スナップショットには、無限の情報の証明が含まれているにも関わらず、ノードでは常に一定のデータ容量が保たれます。

大規模な分散化を実現

Minaは、バリデーターを含むノードの大規模な分散化を実現できる構造になっています。22KBのチェーンサイズは、あらゆるデバイスがすべての証明を保持し、検証することを可能にします。

また、コンセンサスアルゴリズムの種類もバリデーターの分散化に大きく影響します。Minaは、Cardanoで採用されているProof of Stake (PoS) のコンセンサスアルゴリズムOuroboros の派生形であるOuroboros Samasikaを採用しています。Samasika は、参加するバリデーターの数に制限がないため、バリデーターの大規模な分散化を可能にします。

Minaのスマートコントラクト zkApps

Minaでは、ゼロ知識証明を活用したzkAppsと呼ばれるスマートコントラクトにより、アプリケーションを実現できます。開発者は、TypeScriptベースのライブラリo1jsを使用してzkAppsを構築できます。

zkAppsは、オフチェーンで汎用計算を実行し、オンチェーンで検証を行います。そのため、情報はローカルデバイスから出ることがなく、プライバシーを確保できます。また、従来のブロックチェーンとは異なり、zkAppsは実行コストが一定になります。これは、計算結果の証明をチェーンに送信する場合にのみ料金が発生するという仕組みになっているためです。

MINAトークン

トークン概要

Minaでは、経済圏を支えるトークンとして$MINAを用います。

Minaの経済圏では、検証者、ブロックプロデューサー、スナーカー(SNARKer)のネットワーク参加者が存在しています。ブロックプロデューサーは、ブロック生成報酬やユーザーから支払われるネットワーク料金を得ることになります。また、直接のステーキングや、委任するステーキングを行うことができます。スナーカーは、Minaならではのネットワーク参加者です。トランザクションを行うための証明を生成し、ブロックプロデューサが得た手数料の一部がスナーカーに支払われます。

$MINAトークンは、メインネット稼働時には10億枚が発行され、10年弱をかけて合計23億枚が発行されます。詳細は、公式ブログ「Mina Token Distribution and Supply」から確認することができます。

MINAの供給スケジュールとインフレ率

MINAの供給スケジュールとインフレ率

取引所

2024年12月現在、MINAトークンは以下の取引所扱われています。

Minaに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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