無党派市民運動全国ネット連絡協議会(MCMNET)さまのご厚意で、10月31日に参議院議員会館にてブロックチェーンの公共活用について講演する機会をいただきました。
当日は、国政や地方の政治に関わる政治家や秘書の方、また多くの民間の方々にもご参加いただました。
私は、ブログを執筆する過程で今まで100程度のプロジェクトのホワイトペーパーを読んできましたが、そのような経験からブロックチェーンの特性を活かし、かつ公共利用へのヒントがあるプロジェクトをピックアップして紹介しました。
本記事では、プレゼンテーションの一部をエッセンシャル版としてお届けします。
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ブロックチェーンが向いている分野とは
ブロックチェーンはインターネット上の有志によりデータベースが分散され管理されており、基本的にオープンで透明性が高く、誰でも利用することができます。しかも、改ざんが極めて困難で、サービスが止まることがまずありません。
そのため、以下のような要件が求められるシステムへの応用に向いています。
- 透明性:データの透明性の高さが求められる分野
例:選挙の投票など、不正があってはならないもの - 追跡性:データの追跡性の高さが求められる分野
例:登記簿や物流など、所有者の移転履歴を追える必要があるもの - 非中央:今まで第三者(仲介者、管理者)がデータを握っていた分野
例:銀行残高など、中央集権的な第三者がデータベースの信頼性を担保していたもの - 少額決済:今まで手数料が高くて実現しづらかった少額決済
例:募金のような少額支払いで使われていたもの
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ブロックチェーンプロジェクト例
ブロックチェーンプロジェクト例では、ブロックチェーンの特性を活かし、かつ公共利用へのヒントがあるプロジェクトを紹介しました。
国内勢の取り組みを紹介することも兼ねて、日本国内のプロジェクトを中心に取り上げました。
[日本] NinjaCoin
NinjaCoinは、ブロックチェーンの透明性と非中央の特性を活かしたプロジェクトです。
現在の旅行のシェアリングエコノミーは、サービス提供会社が利益の多くを持って行くようになっています。その結果、直接サービスを提供している地域の事業者の取り分が少なくなり、結果的に地元行政に回るはずの税金が減っている状況があります。
NinjaCoinでは、旅行に関するソーシャルシェアリングサービスを非中央のプラットフォームで提供できるようにします。
もちろん、地域の事業者は問題を起こさない信用の高い人である必要があります。それを担保するためにブロックチェーンの透明性の高さを利用し、評価を記録してごまかせないようにします。
また、旅行サービスの提供者は、非中央なプラットフォームのおかげでほぼすべての利益を得ることができます。その結果、行政が徴収できる税金の増加に寄与することができます。
このようにブロックチェーンを使うことで、中間業者を省き、できるだけ末端の事業者にお金が渡るようにすることにより、行政の税収が上がることが期待できるようになります。
[日本] Pure Diamond Coin
Pure Diamond Coinは、ブロックチェーンの透明性や追跡性を活かしたプラットフォームです。栽培ダイヤモンドであるラボグロウンダイヤモンドの真正性をブロックチェーンで証明することができるようになります。
ラボグロウンダイヤモンドとは、ラボで結晶化させたダイヤモンドのことを指します。今までの人工ダイヤモンドは組成が天然ダイヤモンドと異なっていました。一方で、ラボグロウンダイヤモンドは、人工物でありながら組成が天然ダイヤモンドと同様になります。例えるならば、前者が露地栽培のメロンだとしたら、後者はビニールハウス栽培のメロンのようなものです。単に結晶化させる環境が違うだけなのです。
天然ダイヤモンドはどこで採掘されたかわからない上に、利権による紛争問題や露天掘りによる環境破壊に発展することがあります。それらの問題の解決策がPure Diamond Coinになります。
Pure Diamond Coinでは、ラボグロウンダイヤモンドの鑑定書をブロックチェーンに格納し、ダイヤモンドに刻印を入れてブロックチェーン上の鑑定書データと照会できるようにします。
さらに、ダイヤモンドの価値に連動した仮想通貨を発行し、ダイヤモンド市場に流動性をもたらします。既に存在するもので例えると、ダイヤモンドがETF化されたイメージになります。最終的に、仮想通貨とダイヤモンドを交換することができるようになることが予定されています。
ダイヤモンドに限った話ではなく、ブロックチェーンの透明性と追跡性を活かすことで、認証を行ったモノが確かであることを担保することができるようになります。もちろん、モノとブロックチェーン上の記録の紐づけ方法を確立する必要があります。
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[日本] Cosplay Token
Cosplay Tokenは、ブロックチェーンの透明性と少額決済を活かしたプラットフォームです。
コスプレイヤーが本格的な活動をするには、衣装を特注で作ることが少なくなく、しかもコスプレに適した場所に遠征する必要があります。いずれも多額のお金がかかります。しかしながら、ファンを多く獲得しているコスプレイヤーでさえ、活動を収益化することができず、そのほとんどの活動資金が自腹になってしまいます。
そして、特に女性のコスプレイヤーの場合はセクハラ被害に遭うことが多く、一緒に活動する関係者から被害を受けるリスクがあります。
そのような問題を解決するために、Cosplay Tokenでは、コスプレイヤーが自分専用の仮想通貨をファンに売ることにより、自身の活動の収益化を行います。ファンは購入した仮想通貨を使い、ファン向けのコンテンツを楽しむことができます。ファンが払う額は少額でも問題ありません。ブロックチェーンを利用すると、手数料が微少で済むからです。
また、コスプレ活動の関係者(例えばカメラマン)の評価を行い、それを改ざんされないブロックチェーン上で管理することにより、ごまかしがきかなくなります。これにより、できるだけ問題のある関係者をエコシステムから排除することができるようになります。
ブロックチェーンにより人々が少額決済からの支援活動を行うことができるようになるだけでなく、第三者に改ざんされない透明性の高い記録を残すことができるようになります。
[スイス] IOVO
IOVOは、ブロックチェーンの追跡性と非中央の特性を活かしたプロジェクトです。
本来、個人情報とは個人のものです。しかし、実際は同意なく企業に収集されそれが勝手に利用されたり、転売されているのが現状です。
IOVOでは、そのような個人情報の権利を個人が取り戻すためのプラットフォームを実現します。
IOVOでは、個人がブロックチェーン上に記録したデータを、個人の許可のもとで企業に売ることができます。
しかも、IOVOは非中央のプラットフォームであるため、どの企業もIOVOのデータベースを利用することができます。これにより、個人は自分の個人情報を収益化をすることができ、企業はより正確なデータを手に入れることができるようになります。
IOVOのように、ブロックチェーンの追跡性の高さを利用することで、情報を利用しようとする側を正確に把握することができるようになります。そして、非中央の開かれたプラットフォームにより、多くの人がそれらの情報を活用することができるようになります。
[イスラエル] Coalichain
Coalichainは、ブロックチェーンの透明性と非中央を活かしたプロジェクトです。
本来政治には公平性が求められるものですが、不透明性が高く、完全に民意が反映していると言い難いものでした。
日本においても、テレビや新聞の世論調査結果(どちらかといえば年配中心)とSNSの人々の主張内容(どちらかといえば若者中心)が乖離することが多く、政治家の政策が前者向けに偏る傾向があります。
Coalichainでは、政治家と有権者が直につながることができるようになります。
有権者は政治家に直接意見を述べたり、集会への協力を申し出たり、資金提供を行うことができるようになります。また、政治家は有権者に自分の意見を発表したり、投票などの手段を通して民意を問うことができます。
これらの活動はブロックチェーン上に記録され、透明性が担保されます。しかも、非中央なプラットフォームのおかげでCoalichainの運営側が内容を操作することができないため、運営側が世論操作をすることはありません。
ブロックチェーンの透明性の高さを利用することにより、ごまかしがきかなくなり関係者に責任を持たせることができるようになります。
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