インタビュー

EMURGO 吉田洋介氏 – 日本代表にEMURGOとCardanoのこれからを訊く 第2部

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Cardanoは多くのファンがいるブロックチェーンとして知られています。今回は、その商業化を担うEMURGOの日本法人のCEO、吉田洋介氏にCardano/EMURGOの直近の状況とこれからについて伺いました。

本インタビューは2部構成になっています。第2部では、今特にCardanoでホットな話題やこれからCardano/EMURGOがどうなっていくかを訊いていきます。

第1部がまだの方は、こちらをお読みください▼

EMURGO 吉田洋介氏 - EMURGOの日本代表にEMURGO/Cardanoのこれからを訊く 第1部
Cardanoは多くのファンがいるブロックチェーンとして知られています。今回は、その商業化を担うEMURGOの日本法人のCEO、吉田洋介氏にCardano/EMURGOの直近の状況とこれからについて伺いました。 本インタビューは2部構成にな...

EMURGO 吉田洋介氏 – 日本代表にEMURGOとCardanoのこれからを訊く 第2部

いまホットな話題!Cardanoのステーキング

加藤:Cardanoでいま一番ホットな話題といえば、ステーキングだと思われます。Cardanoのステーキングはどのようなものなのでしょうか?もしステーキングの根底思想があったら教えてください。

吉田:今はステーキングのプロジェクトが多く、イーサリアムもステーキングに移行するという話がありますが、それらとの大きな違いは、我々は最初からPoSのステーキングのプロジェクトとして始まったというものがあります。

あまり他のプロジェクトと比べるのもなんですが、Cardanoのステーキングは十分な分散化を図っていくことが重要と考えています。

ノードの数は我々がコントロールするものではないため、公表している数字はありませんが、イメージとして1,000くらいのステーキングプールをひとつの目安と考えています。(12月24日現在、すでに391のプールが運用されている)一定数以上のステーキングがあったら、それ以上は報酬が比例的に伸びていかない仕組みになっていて、ステーキングプールが大きくなりすぎず、分散化するように設計されています。

加藤:なるほど、ありがとうございます。1,000という数字は、ここ最近のブロックチェーンとしては非常に規模が大きい分散化ですね。最近ステーキングとしてホットなCosmosは、将来的に300ノードを目指すという感じですから、それと比べても明らかに多いですね。

吉田:Cardanoブロックチェーンの基本的な思想として、分散化されないと意味がないと思っています。中央集権的にやるのであったら、オープンソースのパブリックチェーンにする意味がないと考えています。そこの基本的な思想はゆずれないということです。

加藤:分散化の思想をゆずれないのが、Cardanoということですね。Cardanoが分散化を大事にしているというのがよく分かる話です。

<ここで同席している広報の三本(Mickey)氏からのコメント>

三本:今テストノードだけで既に200いっているので、これからどんどん増えますね。まだステーキング始まって一週間くらいですしね(12月24日現在、すでに391のプールが運用されている)。

ステーキングの現況を解説する広報のMickey氏

ステーキングの現況を解説する広報のMickey氏(左)

加藤:これはコミュニティの強さとしか思えないですね。

三本:コミュニティでYutaさんという若手の方がいて、最近彗星の如く存在感を出してきています。彼がステーキングプールを作ったのですが、最近4億ADA集まって、Cardano全体の中でほぼトップになっています。

加藤:その集まり方は圧倒的ですね!

三本:彼自身はマージンをすごく良心的な設定にしていて、お金どうこうというよりも技術探究心が深いみたいです。集中し過ぎた自分のプールよりも、人が少なく収益効率の良いプールへ行ってくださいと発言していて、ある意味我々の分散化思想の一端を担っているのかなということが起きています。

加藤:面白いですね。これからは、プールごとの思想が反映された派閥ができていくのでしょうね。

顧客どのようにつなぎとめるか?

加藤:Cardanoブロックチェーンを使いたいという会社があると聞きますが、やはりブロックチェーンのビジネス実装はスマートコントラクトがないと難しいものです。Cardanoはピアレビューアプローチと形式的検証を導入していることから、どうしても実装のスピードは遅くなってしまいます。

となると、スマートコンラクトの実装がこれからのCardanoに興味を示している会社は相当待たされることになると考えられますが、どのようにそれらの顧客をつなぎとめておくのでしょうか?

吉田:なかなか難しい質問ですね(苦笑)

加藤:吉田さんの表情が一瞬くもりましたね・・・

吉田:本当にありがたいことに、日本に限らず色々な国の会社さんからCardanoでぜひ開発したいと言われます。本当にありがたいです。

最初からCardanoを使いたいので待ちますよと言ってくれるところもあるし、どうしても時間軸があるからバランスを取りながらやっていきたいと言っているところもあります。

我々として、一番大事なのはプロジェクトさんの成功なので、まずはそこを第一に考えます。

もちろん、プロジェクトの中で時間軸的な問題があって他のブロックチェーンを使うというのは仕方がないところはあると思いますけれども、その上で将来的にはCardanoに乗せ換えていくということができたり、もしくはサイドチェーンでつないだりということができるので、我々の開発が進んだ場合にそういった形でCardanoを使ってもらえる形を一緒に模索できればと思っています。

あとは、Cardanoはパブリックのチェーンなので、相談いただくお客さんによっては結局プライベートのソリューションのほうがマッチするケースも結構あります。その場合はいずれにせよCardanoにそぐわないですね。

そのような場合は、メインで使うものはプライベートなチェーンにしておいて、パブリックな部分をCardanoにすることを将来的に検討していくという進め方もあります。

加藤: Cardanoの開発期間の長さや業界の移り変わりの速さなどを考えると、長い間お客様との関係性を築くことが求められますね。

吉田:そうですね、求められますね(苦笑)ありがたい話なのですけどね。みなさんそう言ってくださるのですから。

「いつできるの?」と言っていただいているうちが花といいますか、待っている方がたくさんいるんだなということなので、非常にありがたいです。贅沢な悩みですね。

加藤:ぶっちゃけた話、お客さんが別のブロックチェーンでやると言われると「うーん・・・」と思いませんか?

吉田:内容によりますね。本来であればCardanoでできること、もしくはまさに得意としている分野だと「うーん・・・」と思いますね。

ただ、プライベートのソリューションが明らかに合う場合は、いずれにせよCardanoがぴったりにはなりません。そこはうまくパブリックブロックチェーンに絡められるのであれば、もちろん絡めていきたいという立ち位置でいます。

この問題には日々対峙します。この1-2ヶ月でスマートコントラクトが直ぐにできるというものでもないですから。一方、例えば時間を要したとしても、長期的に広く世界を使われるプラットフォームとなるために技術的に確かなものを作るという根幹の姿勢は絶対に譲れないものと考えています。

加藤:2020年のGoguenのフェーズはスマートコントラクト実装ですから、もう少しですね!

チャールズ・ホスキンソンとCardanoとの関わり

加藤:Cardanoプロジェクトを構成する企業の1つ、IOHKはCardanoのWebページに2020年までブロックチェーンの開発に関わると明記されています。IOHK=チャールズと世間は見ているわけですが、チャールズはこれからCardanoにどう関わっていくのでしょうか?

私がこの点を気にしている理由として、Cardanoのファンはチャールズの魅力で支えられている意味合いも大きいように見えるので、彼とCardanoの関わりはコミュニティを含めプロジェクトに大きく影響するのではと考えているからです。

吉田:2020年というのは、プロジェクトの最初の最初に掲げていた期間で、ここまではコミットしますということです。2020年まで関わって辞めますというネガティブな意味ではありません。

逆に、そこまでコミットして4-5年やりきりますというイメージで、一方でずっとだらだらと関わっていると中央集権的なものが続くということになるので、どこかでちゃんと区切りをもってコミュニティに引き渡していくよというメッセージでもあるのです。

ですので、2つの意味があります。しっかりここまでやるよという意味と、いつまでもだらだらやりませんよということです。

実際に今はもともとのロードマップに対してどうなっているのかと言うと、皆さんご存知の通り若干後ろ倒しになっています。それはIOHKを含め、Cardanoとしてもともと予定していた開発の5段階はしっかりとやり遂げるということです。別に2020年という数字に対してこだわっているものではないです。

プロジェクトがもともと予定していた開発をやりきりますということで捉えていただければ大丈夫です。

加藤:だらだら関わらないことについて、チャールズが以前のプレゼンテーションでいずれはコミュニティにCardanoを引き渡しますと話していて、切ないなと感じたときがありましたね。

吉田:いやいや、やはりそれがブロックチェーンの思想なので、最初から永続的に開発が続けられるような仕組みを最初から考えて作ってきています。それで良いと思います。

2020年の抱負

EMURGO 吉田氏

加藤:2020年に向けて、プロジェクトや会社をどのようにしていきたいのか、代表の立場からお聞かせください。

吉田:2つ大きなことがあって、1つはProof-of-Stake(PoS)が本格的にはじまります。今はテストネットで始まってうまく進んでいますが、これがメインネットでも始められます。

もう1つはスマートコントラクトです。これができることによって、ビジネス面では色々広がりが出てきます。トークンも発行できますし、色々なアプリケーションの開発ができるようになります。

それを待っていただいているプロジェクトがたくさんあるので、2020年は本格的にCardanoとして、Cardanoの商業化を担うEMURGOという立場としても、大きな飛躍の年になると思います。ようやく来たという感じですね。

加藤:本当にようやくですね。色々なブロックチェーンのメインネットがどんどん稼働開始していますし、2020年は百花繚乱になりますね。

吉田:我々はブロックチェーン業界の中で認知度がありますから、ブロックチェーン業界全体の拡大というところでも貢献しなければいけない。そういう社会的ミッションを持っていると思います。そうしていきたいです。

加藤:私自身もブロックチェーン業界の人間なので、そのミッションにはすごく響くものがあります。私も業界を盛り上げたい気持ちがあります。一緒に業界が盛り上がっていく未来を見ていきましょう!ありがとうございました。

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【インタビュー】EMURGO ミッキー氏

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TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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