Layer1暗号資産

Symbol (XYM) の解説

Layer1

今や500を超えるパブリックブロックチェーンが存在する中、それぞれがポジショニングに腐心しています。Symbolは、他のブロックチェーンと比べて際立った独自アプローチを行い、実用的な利用のされ方を目指しています。

Symbolの概要

Symbol(シンボル)は、NEM(ネム)の後継となるパブリックブロックチェーンです。暗号資産として、$XYMが発行されています。

Symbolの前身となるNEMは、2014年に登場しました。その後、Symbolは性能や機能向上を目的として「Catapult」というコードネームで開発が行われ、2021年3月17日にNEMと並行して存在するブロックチェーンとして誕生しました。また、Symbolのネイティブ資産である$XYMは、2021年3月12日時点の$XEMの保有スナップショットに基づき、かつ2022年5月10日までに申請(オプトイン)した人に対して、$XEMと1:1の割合で配布されました。

Symbolでは、成功するプロトコルの核心はディスラプション(破壊)であるとし、Bitcoinは決済インフラのディスラプション、Ethereumをクラウドコンピューティングのディスラプションと捉え、自らは既存および新興経済圏をディスラプションすることを目指しています。そのため、既存の経済圏において構築されているビジネスに対しても適用しやすい設計思想になっています。

Symbolの最も特徴的なことは、ブロックチェーンの利用アプローチが他と異なっている点です。Ethereumを始めとする多くのブロックチェーンでは、取引ロジックを組んだスマートコントラクトをデプロイし、それを実行するという方法を採ります。対照的に、Symbolでは、システムレベルのプラグインを介して機能拡張を図る方法を採っています。つまり、何かしらのサービスからSymbolブロックチェーンの機能をプラグイン経由で呼び出して利用することになります。そのためSymbolでは、複雑なロジックを簡単に利用するために、ビルドインされた多種多様なトランザクションが用意されています。

このようなアプローチにより、Symbolでは既存のWeb2サービスと親和性の高い、かつバグが少ない堅牢なサービスを構築することが可能となります。Symbolは、技術の習得コストをかけることなく、多くの「普通の開発者」「普通の組織」にとって、現実的に手が届き得る手段としてのブロックチェーンということができます。

Symbolは、2022年10月16日時点で、1228ノードでネットワークが構成されており、分布状況はヨーロッパと日本が中心になっています(参考:Symbol Explorer – NODES)。

Symbolの特徴

プラグインを組み合わせてサービス実装を行う

Ethereumを始めとする一般的なブロックチェーンでは、スマートコントラクトを作成してそれをデプロイすることでサービスを実装します。対照的に、Symbolではスマートコントラクトを組んでデプロイするということを行いません。開発者は、プラグインと呼ばれる機能グループを利用し、それらを組み合わせることでブロックチェーンを使ったサービスを実装します。

このアプローチは、既存のブロックチェーンと比べると自由度が下がるというトレードオフはあるものの、メリットも存在しています。まず、プラグインは十分に検証がされたものであるため、バグが少ないというメリットがあります。加えて、すべてのコントラクトは一回だけ実行されてその効力を失う、デプロイレスでワンタイムなスマートコントラクトであるため、コントラクトのロジックの悪用されるリスクが大幅に低減されます。また、プラグインを呼び出して実行するというシンプルな実装になるため、開発者は自分の得意な任意の開発言語を利用することができます。

プラグインでは、基本トランザクションタイプがプラグインとして定義されています。トランザクションは全部で25種類あり、モザイク(他のブロックチェーンにおけるトークンに相当)発行転送といった単純なものから、モザイクの受け取り制御を実現できるモザイク制限、複数のトランザクションを1つにまとめ一括処理できるアグリゲートトランザクションなどの複雑なものまでが含まれています。

コンセンサスアルゴリズム「PoS+ (Proof of Stake Plus)」

Symbolでは、コンセンサスアルゴリズムとして、前身のNEMで採用されていたPoI (Proof of Importance)の改良型であるPoS+ (Proof of Stake Plus)が採用されています。PoS+では、チェーンへの貢献度合いが高い参加者に報酬が支払われやすくなり、従来のPoSで指摘されていた富めるものが富むという状況を抑制することを意図しています。

チェーンへの貢献度合いの高さを測るためには、インポータンススコアが利用されます。スコアは、保有している$XYMの合計量、支払われた手数料の合計、過去に報酬を得た回数の3要素をもとに決定されます。スコアをもとに、ブロックを生成できる確率(=報酬が得られる確率)が決定します。

Symbolでは、PoSのブロックチェーンにおけるステーキングに相当するものをハーベスティングと表現しています。ハーベスティングでも、$XYM保有者はノードオペレーターにブロックの生成を委任することができます。ブロック生成が成功すると、報酬の25%がノードオペレーターに、75%が委任したハーベスターに分配されます。

実用的なマルチシグネチャを利用可能

多くのブロックチェーンでは複数人の署名によるマルチシグネチャをサポートしていますが、1階層のみで一度設定したら署名者の入れ替えができないなど、組織利用の観点から実用的でないことが多くあります。これは「社員が課長承認を得て、課長は部長の承認を得る」というような、ビジネスにおける一般的なワークフローが実現できないということを意味します。

Symbolでは、最大25名の署名者、そして最大3階層にわたってマルチシグネチャを設定することができるようになっています。これにより、一般的なワークフローをブロックチェーンに落とし込みやすくなります。

Symbolのマルチシグネチャ

製造業とサプライチェーンにおける階層型マルチシグネチャの実装イメージ

XYMトークン

Symbolブロックチェーンでは、ネイティブ資産として$XYMを利用します。$XYMは、Symbolブロックチェーンにおける取引の支払いやガス、Symbolブロックチェーンを支えるノードへの報酬として使用されます。

XYMトークンの配布

$XYMでは、供給のルールを以下のよう定められており、その供給量はブロック報酬による$XYM生成に伴い最大供給量へと近づいていきます。

  • 初期供給量:7,842,928,625 XYM
  • 最大供給量:8,999,999,999 XYM
  • インフレ率は、Bitcoinのインフレ率に連動する。
  • ハーベスターは、$XYMを保有するだけで報酬を得ることができる。
  • ハーベスターは、ノードを運営することで、より大きな報酬を得ることができる。

初期供給量の 7,842,928,625 XYM は、2021年3月12日時点の$XEMの保有スナップショットにもとづいています。$XEM保有者は、2022年5月10日までに申請(オプトイン)することで、スナップショット時点の$XEMと同じ数量の$XYMを獲得することができます。

また、ブロック報酬で付与される$XYMの新規生成ペースは、Bitcoinと同様に4年で半減するようになっています。しかし、4年でいきなり半減するのではなく、四半期ごとに緩やかに減少するようになっています。

トークノミクスの詳細は、Internet Archiveの旧NEM財団によるSymbolのページ「Tokenomics」から確認することができます。

XYMトークンに対応したウォレット

XYMトークンを売買できる取引所

日本の取引所

海外の取引所

Symbolで実装されたサービス例

Symbolで実装されたサービスをいくつか紹介します。

COMSA NFT / NCFT

COMSAは、Symbolを使ったNFTマーケットプレイスです。COMSA NFTは、NFTに紐づいたデータもオンチェーンで扱われる、フルオンチェーンのNFTプラットフォームです。また、COMSA NCFTは、シリアルナンバー付のNFTを発行することができるプラットフォームです。

なお、当初COMSAはIDOプラットフォームを作るために、2017年にICOによる資金調達を実施しました。その後、方針を転換して現在のNFTマーケットプレイスを2022年1月31日にリリースしました。

COMSA

NFT Drive

NFT Driveは、フルオンチェーンのNFTを発行するためのプラットフォームです。Ethereumに代表されるNFT規格であるERC-721は、メタデータはチェーン上にあるものの、それに紐づく実データの保管先は任意であるため、保管先が永続しないストレージだと実データにアクセスできなくなるリスクが存在しています。NFT DriveでフルオンチェーンNFTを発行することにより、このようなリスクを排除することができます。

NFT Drive

QUEST

QUESTは、Symbolを使用した全く新しい「成功報酬型」のクラウドファンディングプラットフォームです。プラットフォーム上で、挑戦者はクエストを作成し、サポーターは投銭を行い「金庫」をブーストします。見事クエストが達成されると、挑戦者は金庫を開封することができます。一方でクエストが失敗すると、資金はサポーターに返金されます。

QUEST

NEMLOG

NEMLOGは、$XYMやNEMLOG内で発行されたモザイクを使った投銭を行うことができるブログサービスです。

Heartlog

Heartlogは、人々にとっての記念となる瞬間をフルオンチェーンNFTとして記録するためのサービスです。命名書や記念イベント、結婚やペットといったものを対象とし、前述のNFT Driveをバックエンドに使用します。

Heartlog

ShizuiNet

ShizuiNetは、歯の中にある軟組織である歯髄(しずい)を流通や製造管理のためのシステムです。歯髄の幹細胞は、再生医療に有効であることがわかっており、培養した細胞は凍結チューブにいれて冷凍保管します。ShizuiNetでは、凍結チューブの管理にブロックチェーンを活用します。ShizuiNetの導入により、高精度な細胞の情報照会ができるようになるため、施設間で細胞を融通させるなど、従来より細胞を有効活用できるようになります。

ShizuiNet

Symbolに関する情報

この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTオーナー。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

Junya Katoをフォローする
スポンサーリンク
TOKEN ECONOMIST(トークンエコノミスト)
タイトルとURLをコピーしました