Layer1暗号資産

Cardano(ADA)の解説

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Cardano(ADA)はメジャーなブロックチェーンプロジェクトではあるものの、その内容についてあまり知られていないプロジェクトでもあります。様々なブロックチェーンがある中で、Cardanoは差別化されたアプローチで独自の進化を続けています。

Cardano(ADA)の解説

Cardano(カルダノ)は、スマートコントラクトを搭載した第3世代型パブリックブロックチェーンで、暗号資産として$ADAを発行しています。CardanoによってIDや価値、ガバナンスを管理するDAppsを提供することで、経済的なアイデンティティを持たない数十億人にそれを提供しようとしています。Cardanoは、Ethereum創業者の一人である数学者の Charles Hoskinson(チャールズ・ホスキンソン)氏により設立された企業、Input Output (IOG) によって研究開発が主導されています。

Cardanoの大きな特徴に、極めて慎重を期した開発アプローチがあります。これは、航空宇宙産業や銀行など、ミッションクリティカルな産業でもブロックチェーンを応用可能にするという視点に立っています。より具体的に、Cardanoの開発ではピアレビューアプローチを採用しています。このアプローチでは、論文を作成し、その後暗号学やコンピュータサイエンスの学者による査読を経て妥当性が判断されます。それが終わると、はじめてコードの実装に移ることができるようになります。2022年2月時点、Cardano関連の論文は171本が掲載されています。また、コードの実装でも慎重を期したアプローチが行われます。コード実装では、実装時に形式検証を使いソフトウェアの信頼性を確保します。これは、コードを数理論理学に基づいて検証するという方法になります。

このように、プロジェクトは慎重を期する手法でブロックチェーンを開発することにより、ブロックチェーンに極限までの信頼性を付与しようとしています。実際に、その慎重さは新しい機能の搭載ペースにも表れています。例えば、Cardanoのメインネットがローンチしたのは2017年9月でしたが、スマートコントラクトが搭載されて本格的に使えるようになったのは2021年9月でした。しかし、これは決して開発が盛んではないということを意味しているわけではありません。Santimentの記事によると、Cardanoが2022年に最も開発が盛んなブロックチェーンだったと報じられています。

Cardanoブロックチェーンそのものは、コンセンサスアルゴリズムに独自のOuroboros(ウルボロス)を採用したProof of Stake (PoS) のパブリックチェーンで、2023年2月時点で3,200を超えるバリデーターで構成されています。そして、スマートコントラクト言語には独自言語であるPlutus(プルータス)が採用され、バグの少ないアプリケーションを実行することができるようになっています。チェーンの性能は、トランザクション速度が250 TPS 程度で、ブロック時間は20秒となります。また、トランザクションを向上させる方法として、IOGはCardanoをスケーリングさせるためのレイヤー2、Hydra(ハイドラ)の開発も行っています。

Cardanoの特徴

高い分散性を確保

Cardanoは、2023年2月時点で3,200を超えるバリデーターで構成されています。これは、Proof of Stake (PoS)を採用しているブロックチェーンとしては高い分散性を示す値となっています。

Cardanoブロックチェーンでは、バリデーターのことをステークプールと呼んでいます。他のチェーンと異なる点としてRaspberry Piのような軽量なコンピューターでもステークプールを運用することができるようになっています。加えて、スラッシングが存在しないため、個人宅でもステークプールを運用可能になっています。

さらに、ユーザーがステーキングをするための敷居が他のブロックチェーンと比べて低くなっています。バリデーターの運用及び委任のいずれにも$ADAの最低数量が定められておらず、アンステーク期間がないために資金の拘束リスクが低くなっています。

また、中央集権化を防ぐため、1つのステークプールに$ADAの委任量が集中しすぎると報酬が減る仕組みが組み込まれており、プロトコルそのもので分散化が促されるようになっています。

形式検証を可能にするスマートコントラクト言語を採用

Cardanoでは、スマートコントラクトも同様に形式検証が可能な、Haskellベースの独自スマートコントラクト言語であるPlutusが採用されています。そのため、Cardanoではどうしてもスマートコントラクトを開発できるようになるための学習コストが生じることになります。プロジェクトでは、Plutusを取得するためのPlutus Pioneer Programという学習コースを提供しています。

また、Plutusがわからない開発者に向けてMarloweコントラクトが用意されています。Marloweは、金融アプリケーションの開発を簡略化できるドメイン特化型言語です。開発者はJavaScriptでアプリケーションを開発し、Marloweコントラクトを実行することによって、簡単に金融アプリケーションを作ることができます。

継続可能なコミュニティファンド「Catalyst」

Cardanoでは、ネットワークを継続可能にしていくためにCardano DAOによるコミュニティファンドの Catalyst(カタリスト)を用意しています。Catalystの原資には、ステーキングプールが得た報酬の一部が自動的に割り当てられるようになっており、毎年40億円以上が拠出・投資されています。誰でもCatalystに提案をすることができ、提案者は$ADA保有者の投票で可決されればコミュニティファンドから資金援助を受けることができるようになります。もし、専門知識がない場合でも$ADA保有者は識者に投票権利を委任することもできます。Catalystの提案募集は年3回の頻度で行われています。

Catalyst Fund9 の例

Catalyst Fund9 の例

EVMエコシステムへの接続

Cardanoは、非EVMブロックチェーンでスマートコントラクト言語が独自であるため、他のEVM互換チェーンと異なり、Ethereumエコシステムにいる開発者を簡単にオンボードできるわけではありません。そのため、EVMエコシステムに接続できるソリューションとして複数のサイドチェーンが開発されています。

Milkomeda C1

Milkomeda C1解説記事)は、Cardanoの商業化組織EMURGOの出身者である?Sebastien Guillemot(セバスチャン・ギーモ)氏により設立された、dcSparkによって開発されているCardanoのEVMサイドチェーンです。Milkomeda C1は既にリリースされており、ネイティブトークンとして$milkADA(Cardanoからブリッジされた$ADA)を使用します。

Cardano EVM sidechain

Cardano EVM sidechainは、Cardanoの開発部門であるIOGにより開発されているEVMサイドチェーンです。OuroborosのBFTであるOBFT (Ouroboros Byzantine Fault Tolerance) により即時のトランザクション承認が得られるようになっています。

Cardano Sidechain

Cardanoエコシステムの代表的なプロジェクト

Cardanoエコシステムでは既に膨大な数のプロジェクトが存在しています。ここでは代表的なものを紹介します。

Cardanoのエコシステム(の一部)

Cardanoのエコシステム(の一部)引用元:CardanoCube

ウォレット

  • Yoroi:Cardano及びErgoに対応したブラウザ拡張型・モバイルウォレット
  • Nami:ブラウザ拡張型のウォレット
  • Flint:Cardano及びMilkomade C1、AlgorandやSolanaに対応したブラウザ拡張型・モバイルウォレット
  • GeroWallet:ブラウザ拡張型のウォレット

DeFi

  • Minswap:分散型取引所
  • WingRiders:内蔵ステーキング機能を備えた分散型取引所
  • Djed:過剰担保型のステーブルコイン
  • Indigo:合成資産プロトコル
  • Liqwid:レンディングプラットフォーム
  • Occam Finance:IDOのローンチパッド及び分散型取引所

NFT

  • CNFT.io:Cardanoブロックチェーン最大のNFTマーケットプレイス
  • JPG Store:NFTマーケットプレイス

その他

  • Atala PRISM:分散型ID (DID) ソリューション
  • Atala SCAN:トレーサビリティソリューション
  • Iagon:分散型ストレージ
  • COTI:仲介者を排除した決済ネットワーク

ADAトークン

Cardanoは、ネイティブトークンとして$ADAを発行しています。

ADAトークンのユーティリティ

  • ステーキング:Cardanoのバリデーターへのステーキング
  • ガス代:Cardanoネットワークのトランザクション手数料への支払い
  • ガバナンス:オンチェーンガバナンスへの参加

ADAトークンの配布

$ADAは、最大供給量が450億ADA、循環供給は2023年2月時点において約346億ADAです。$ADAの初期供給は 310億7800万ADA となり、トークンローンチ時に以下の内訳に基づいて配布されました。

項目 数量 説明
Cardano財団 6億4800万 ADA Cardanoの標準化機関。コミュニティのサポートを行い、商業または規制に関する問題を担当。
IOG 24億6000万 ADA Cardanoの研究開発企業。
EMURGO 20億7000万ADA Cardanoの商業化企業。
パブリックセール 259億ADA トークンセール参加者への割り当て。

最大供給量から初期供給量を差し引いた分は準備金として扱われ、ステーキング報酬が準備金から払い出されます。ステーキング報酬のうち20%がトレジャリーに割り当てられます。トレジャリーの資金は、Cardanoの持続可能な開発をサポートするために使用されます。

ADAトークンを売買できる取引所

日本のライセンスを持つ取引所:

海外取引所:

Cardanoに関する情報

プロジェクト

Cardanoの標準化: Cardano財団

Cardanoの商業化: EMURGO

Cardanoの研究開発: Input Output

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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