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筆者が考える、2023年に飛躍が期待できる暗号資産プロジェクト7選

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筆者は普段よりインフラ、とりわけLayer1の分野を主にリサーチしており、当サイトの記事はそれに沿ったものになっています。

もちろん、これには理由があります。CoinMarketCapの時価総額所ランキング上位を見ると、その多くがインフラで占められています。加えて、インフラ分野は他の分野と比べてトークンの需要を起こしやすい設計を採ることができます。つまり、トークンを持つ理由を作りやすいということです。加えて、この分野はアプリケーションよりプロジェクトの寿命が長い傾向にあります。以上より、筆者はインフラ分野は時間をかけて追うに値すると考えています。

この記事では、筆者が2023年に躍進が期待できると思われるプロジェクト、インフラ分野について紹介します。もちろん良いプロジェクトだからといって、トークンの値上がりによる利益を保証しているわけではありません。トークンに投資をする場合は、ご自身で調査の上、ご自身の責任で行ってください。また、トークンがローンチされていないプロジェクトも含まれています。

プロジェクト選出の基準

筆者のプロジェクトの選出基準はシンプルです。主に以下の点にもとづき、筆者の主観で良いと判断したものを取り上げていきます。

  1. テクノロジーにより新しい価値を見いだせる可能性がある。
  2. プロジェクトが差別化されている。
  3. プロダクト開発が盛ん。
  4. コミュニティ活動が盛んで、トークン価格以外に言及している人が多い。
  5. プロダクトやトークンがローンチ済みの場合、トランザクション量が多い、TVLが多い。

2023年に飛躍が期待できる暗号資産プロジェクト7選

Sei Network

Sei Network(セイネットワーク)は、Cosmosエコシステムにおける取引所に特化したレイヤー1のブロックチェーンです。

最近は、ブロックチェーンが何かの分野に特化する傾向があり、主にあらゆる用途を想定した汎用チェーンと、特定のアプリケーションに特化したアプリケーションチェーンに分かれています。Seiはそれらの中間に位置し、自らの分野をセクターチェーンと謳っています。Seiは取引所というセクターに特化することで、DApps開発者が取引所に関連するサービスを提供しやすくします。

筆者がSeiを評価しているのは、ポジショニングのうまさとエコシステムの拡げ方です。取引所という分野はWeb3において不可欠であり、クリプトの冬がきたとしても必ず需要が発生します。加えて、Web3のなかでもマネタイズしやすい分野の一つであることから、Seiを使ったDAppsは他のチェーンより継続しやすいと考えられます。また、Seiのプロジェクト自身がエコシステムを強化するパートナーシップを頻繁に打ち出しているため、メインネット開始時からユーザーが利用しやすい環境が提供されると想定されます。

Sei Networkの解説記事:取引所に特化したチェーン「Sei Network」の解説

Astar Network

Astar Network(アスターネットワーク)は、Polkadotエコシステムにおけるレイヤー1のパラチェーンであり、マルチチェーンためのスマートコントラクトの未来を提唱しています。EVMとWASMの両方を動かすことができ、かつ異種仮想マシン間で相互通信が可能なXVMを打ち出しています。2021年末に行われたPolkadotのパラチェーンにおいて、AstarはAcalaとMoonbeamに次ぐ3番手でパラチェーンのスロットを確保しました。

筆者がAstarを取り上げている理由は、チェーンそのものが活発である点、エコシステムが継続しやすい仕組みを取り入れている点からです。

まず、Polkadotのトップ3のパラチェーンの中で、現状はAstarが最もトランザクションが多いチェーンになっています。また、Electric Capitalの開発者に関するレポートによると、Astarにコミットしている開発者の数が直近1年間で増加傾向にあります。ブロックチェーンに限らず、インフラの発展は開発者がどれだけそれにコミットするかにかかっているため、この点は非常に重要です。

さらに、Astarはプロジェクトがマネタイズしやすくなる仕組みを提供しています。ブロックチェーンは、中間者を削ることができる技術特性から本来はマネタイズが難しくなる技術です。そのマイナス点を解決するために、DApps開発者にステーキング報酬を分配する「dAppステーキング」を取り入れ、エコシステムが継続できるようにしています。

Astar Networkの解説記事:Astar Network(ASTR)の解説

Canto

Canto(カント)は、Cosmosエコシステムにおけるレイヤー1のEVM互換チェーンです。汎用チェーンでありながら、DeFiを意識した取り組みを行っています。

Web3の世界には既に100を超えるEVM互換チェーンが存在していますが、筆者がCantoを取り上げたのは、エコシステムの継続性という点で他のEVM互換チェーンにはない思想を持っているからです。

Cantoでは、プロジェクトがDApps開発者に対して公共財を提供しています。公共財は、2023年3月現在で、DEXやレンディング、ステーブルコインです。Cantoプロジェクトは、公共財からは手数料を徴収しておらず、DAppsプロジェクトがそれらを利用して手数料を徴収してマネタイズすることを前提にしています。加えて、DAppsプロジェクトにトランザクション手数料の一部が分配される仕組みを提供することにより、Cantoを使ったDAppsプロジェクトが少しでも継続できるように配慮されています。

また、チェーンをローンチした早期からコミュニティ活動が盛んで、コミュニティ主導でハッカソンを行うことを通して、自らがエコシステムを育てていく土壌を整えています。

Cantoの解説記事:Cosmosエコシステム上のDeFiチェーン「Canto (CANTO)」の解説

ZetaChain

ZetaChain(ゼタチェーン)は、Cosmosエコシステムにおけるクロスチェーンのプロジェクトです。ZetaChainにより、ユーザーやそれを使うプロジェクトはチェーンの種類を意識することなく、DAppsを扱えるようになります。

筆者がZetaChainに注目しているのは、既存のクロスチェーンソリューションで主流のメッセージの中継(メッセージパッシング)に加えて、ZetaChainから他のチェーンを直接操作することができるオムニチェーンスマートコントラクトを利用できる点にあります。この仕組みは、開発者に対するマルチ/クロスチェーンのDApps開発を抜本的に行いやすくできると考えられます。

ZetaChainのオムニチェーンスマートコントラクトは、オムニチェーン(=すべてのチェーン)を謳っている通り、ZetaChainを通して外部チェーンをプログラマブルに直接操作できる仕組みです。この仕組みでは、開発者はZRC-20トークン規格に基づいてEVM互換チェーンと同様の実装を行います。Bitcoinチェーンにおける$BTCも、Etheruemにおける$ETHや$USDTなども、ZetaChainではすべてZRC-20トークンとして扱われます。つまり、開発者はEthereumでERC-20トークンを扱うDAppsを開発するのと同じ要領で、外部チェーンと連携したDAppsを開発することができるようになります。

ZetaChainの解説記事:チェーンの垣根をなくす ZetaChain (ZETA) の解説

Sui

Sui(スイ)は、Metaが開発していたブロックチェーン、Diemプロジェクトの出身者を中心とした5人が設立したMysten Labにより開発されているパブリックブロックチェーンです。次の10億人をオンボードさせることを前提に設計されており、同じくMeta出身者によるAptosと異なり、完全に完全にオリジナルなチェーンです。Suiは、ノードが増えると線形にスケーラビリティが拡張でき、かつトランザクションの依存関係を明示的することにより、依存関係がないトランザクションを並列実行することができるように設計されています。

筆者がSuiに注目しているのは、業界における抜群の知名度の他に、競合のAptosと比較した場合の開発者コミュニティからの支持の厚さです。

筆者は非エンジニアであるため、Suiの開発者に関する手厚さは表明的な部分でしか判断できないものの、Aptosと比べても早期から積極的に技術情報の開示取り組んでいるように見えていました。また、Move言語のエコシステムに携わっている業界関係者の話を聴く限りでは、AptosよりもSuiに期待している人が多く、Move言語エコシステムにおいてはエンジニアはSuiを本命視しているように感じられました。前述の通り、インフラの発展は開発者がどれだけそれにコミットしてくるかにかかっているため、この点は見逃せません。

Suiの解説記事:Diem(旧Libra)の元開発者によるブロックチェーン「Sui (SUI)」の解説

Aleo

Aleo(エイリオ)は、Webアプリケーションにおいて完全なプライバシーを実現するためのプラットフォームです。既存のプライバシー志向のブロックチェーンと異なり、AleoはWebサービスに注力しています。ゼロ知識証明を使うことによって、ユーザーは必要以上に個人情報をサービス側に預ける必要がなくなり、個人情報の悪用や情報流出のリスクを減らすことができるようになります。

筆者がAleoに注目しているのは、プライバシーという人間にとって当たり前の権利を守ることができるチェーンがまだ本格的に普及していないことにあります。

Web3のビジネス応用というの観点で考えると、企業の取引は第三者から把握することができず、秘密が守られることが大事であることには疑いの余地がないことでしょう。加えて、Aleoは同種の他プロジェクトと比べてWebに注力しているため、使われうる間口が広くなり優位性があると考えられます。

しかし、一定の懸念点もあります。Aleoでは、アプリケーションの実装に独自のLEO言語を使用します。インフラプロジェクトにおいて独自言語を使うものは、エンジニアの習得コストが高くなり普及速度が遅くなる傾向にあります。そのため、Aleoはエコシステムの形成に時間を要することが考えられます。

Aleoの解説記事:a16zが投資する「Aleo」のファーストバッチ マイニングを募集
※現状まとまった情報が公開されていないため、PR記事の一部にプロジェクト概要を載せています。

Celestia

Celestia(セレスティア)は、モジュラー式ブロックチェーンのプラットフォームです。ブロックチェーン基盤に求められる機能を大きく3つのレイヤーに分離し、Celestia自身はコンセンサスおよびデータの可用性を提供します。Celestiaを使うことによって、開発者は最初からセキュリティが確保された状態で独自チェーン(ロールアップ)を簡単に立ち上げることができるようになります。

筆者がCelestiaに注目しているのは、独自チェーンを作るソリューションはまだ簡単ではなく、大きな進化の余地があると考えているからです。そのような背景からか、Celestiaでは自身の利点について「スマートコントラクトと同じくらい簡単にブロックチェーンを展開する」と謳っています。

最近は、EthereumやPolygonのような汎用チェーンではアプリケーション固有のニーズを満たすことが難しくなっており、Osmosisのようにアプリケーション特化型の独自チェーンを構築するプロジェクトが現れるようになりました。現状このような独自チェーンの構築を実現するフレームワークは、代表的なものとしてPolkadot (Substrate)やCosmos (Cosmos SDK)があります。しかし、これらを使ってチェーンを立ち上げるには比較的高いコストがかかります。例えば、セキュリティを確保するためにPolkadotのプロジェクトはパラチェーンオークションで勝利するために$DOTを集める必要があります。また、Cosmosではプロジェクトは自力でバリデーターを誘致する必要があります。後者は、後のレプリケートセキュリティの導入で改善はされるものの、セキュリティ確保のためにトークンを大規模に配布するなど、立ち上げのコストは依然として高くつく可能性があります。Celestiaでは、セキュリティは最初から共有されているため、プロジェクトは他のフレームワークよりもコストをかけずに独自ブロックチェーンを立ち上げることができると見込まれています。

Celestiaの解説記事:モジュラーブロックチェーン「Celestia」の解説

 

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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