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Worldcoin(WLD)の解説

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Worldcoin(WLD)の概要

Worldcoin(ワールドコイン)は、あらゆる人が世界経済へ参加できることを目的としたオープンソースのプロトコルです。ユーザーは、World IDと呼ばれる匿名の分散型IDにより様々なサービスを、個人情報を明かすことなく利用することができるようになります。World IDのユースケースには、プロジェクト公式のアプリケーションであるWorld Appを使ったデジタルドルや暗号資産決済の他、World IDを認証に用いたサービスがあります。

Worldcoinを利用するには、World Appをダウンロードし、Orbと呼ばれるデバイスがある場所へ行き、自身の虹彩をスキャンしてWorld IDを登録する必要があります。虹彩情報はゼロ知識証明により保護され、プロジェクトがその中身を知ることができないようになっています。World IDを登録すると、ユーザーはユニークヒューマン(Unique Human)として認定され、World IDを使ったサービスを利用することができるようになります。2023年7月末時点でユニークヒューマンは213万人を超え、8秒に1人のペースで登録者が増えています。

Worldcoinのプロトコルは、単一のエンティティではなく、開発者や個人、経済学者、技術者らが属するグローバルコミュニティによって支えられています。2023年7月現在、Wolrdcon財団がコミュニティの支援及びWorld Appの運営を行っています。また、Wolrdcoinは、ChatGPTで知られているOpenAIの創設者であるSam Altman(サム・アルトマン)氏によって共同設立されたことでも知られています。

プロジェクトは、2023年7月24日にプロジェクトのトークンである$WLDをローンチしました。$WLDはEthereum及びEthereumのレイヤー2であるOP Mainnet(旧Optimism)上で流通しています。

分散型ID「World ID」と専用デバイス「Orb」

Worldcoinでは、分散型IDの「World ID」を利用します。World IDの背景には、AIが発展していく中で人間とボットの区別が難しくなっていくことがあります。そのため、人々にとってユニークな情報かつ、ボットが模倣しにくいものとして、World IDでは生体認証が採用されました。

World IDを取得するためには、プロジェクト公式のウォレットアプリWorld App(iOS / Android)をインストールし、Orbと呼ばれる専用デバイスで虹彩をスキャンしてユーザー登録を行います。つまり、World IDの取得にはOrbがある場所まで出向く必要があります。World IDで生体情報が利用されることから、ユーザーは暗号資産ウォレット特有の煩わしいシードフレーズから解放されるようになります。また、一度World IDを取得してしまえば、ユーザーは再びOrbがある場所に出向く必要はありません。

日本では、World IDの登録を促すことについて、しばしば人気漫画/アニメ「進撃の巨人」のワンシーンになぞらえて「虹彩を捧げよ」と表現されます。虹彩を捧げるためのOrbの設置場所は、Worldcoin公式ページの「Find an Orb」のページからJapanを選択することで調べることができます。

Orb設置場所の検索画面

虹彩のスキャンはスマートフォンのような既存デバイスで可能と思われがちですが、プロジェクトはあくまでも専用デバイスにこだわっています。その理由として、プロジェクトは最大限の精度、デバイスの完全性やスプーフィング防止をあげています。詳細は、ホワイトペーパーの「Why Custom Hardware is Needed」より確認することができます。

また、World IDはサードパーティにも開放されており、開発者はWolrdcoinにより提供されているSDKを使うことにより、独自のアプリケーションを開発することができるようになっています。アプリケーションは、プライバシー保護等の観点からホワイトリスト制になっています。

WLDトークン

Worldcoinでは、プロジェクトのユーティリティトークンとして$WLDを発行し、$WLDを人類の大半に行き渡らせ、最も広く流通するデジタル通貨にすることを目指しています。$WLDは、Ethereum及びOP Mainnet(旧Optimism)で発行され、ユーザーは基本的にOP Mainnetを利用することになります。

$WLDのトークノミクスは詳細に設定されているため、詳しく知りたい方はホワイトペーパーの「Worldcoin Tokenomics」からその内容を確認することができます。

WLDトークンの用途

  • Worldcoinにかかわるガバナンス(1人1票)
  • Worldcoinエコシステムにおける支払い通貨として

WLDトークンの供給

$WLDは最初に1000億枚が発行されます。1000億枚は、以下の割当てに応じて配布されます。

項目 割合 内容
Worldcoinコミュニティ 75.0% うちユーザー助成金 60%以上(後述)、ネットワーク運営 10%以下、エコシステムファンド 5%以下
初期開発チーム 9.8% Worldcoinの初期開発を担ったTools for Humanity (TFH)及びその他開発者
TFH投資家 13.5% TFHの投資家(備考:TFHは、Orb開発やWorld Appの開発及び運営を実施)
TFH準備金 1.7% 将来のニーズに対応するための準備金

$WLDの割当て

WLDトークンのインフレ

  • 最初の15年間:インフレなし
  • 16年~:ガバナンスにより年率最大1.5%*1のインフレ率が適用される可能性がある

*1 最大インフレ率は年間1.5%と定められており、これ以上引き上げることはできなくなっています。

ユーザー助成金 ~Worldcoinのベーシックインカム

Worldcoinでは、ユーザーへのベーシックインカムとしてユーザー助成金(User Grants)が用意されています。助成金は、Orbを使ってWorld IDを登録した直後に得られる「Welcome Grant」の他、定期的に得られる「Reecurring Grants」があります。後者は、World Appから申請により獲得することができる助成金になり、2023年7月末時点では1週間ごとに申請することができるようになっています。

WLDトークンを売買できる取引所

Worldcoinに関する情報

公式情報

 

 

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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