Aleph Zeroの概要
Aleph Zeroは、ブロックチェーン上のアプリケーションにプライバシーをもたらすためのプロジェクトです。
Web3の基盤であるブロックチェーンは、アカウントの残高や保有資産、取引履歴などを含むすべてのユーザーデータを公開します。これは、多くのビジネス現場では到底受け入れられないことです。Aleph Zeroでは、ブロックチェーンにプライバシー機能をもたらすことにより、ブロックチェーンのエンタープライス利用を促していきます。
プロジェクトは、以下の2つチェーンをリリースし、アプリケーション開発の選択肢を提供しています。
- Aleph Zero WASM L1:Substrateベースのレイヤー1、データ構造にDAGを採用。
- Aleph Zero EVM:Arbitrum OrbitベースのEthereumのレイヤー2。
開発者は、両チェーンにおいて2024年内にリリースされるzkToolkitを使い、zkOSと統合することによって、プライバシーを確保したアプリケーションを容易に展開できるようになります。また、zkOSではクライアントが快適にアプリケーションを利用できるようになるための機能が備えられています。ゼロ知識証明の計算をクライアントデバイスで行なうことで、計算速度は600ミリ秒と、妥協のない速度を確保します。また、ZK-IDを組み込み、ユーザーにとってのインフラ利用の敷居を下げ、AML/CFTのためのコンプライアンス対応を実現します。
Aleph Zeroのトークン$AZEROは、Aleph Zero WASM L1でネイティブに発行されており、2024年9月以降に、公式ブリッジのMOSTを通じてAleph Zero EVMにブリッジできるようになります。
Aleph Zero WASM L1の特徴
Aleph Zero WASM L1(以下、WASM L1)は、2021年11月10日にメインネットをローンチした、仮想マシンにWASMを使ったSubstrateベースのパブリックチェーンです。
WASM L1では、独自のコンセンサスアルゴリズムとしてAlephBFTを採用しています。いわゆるブロックチェーンのトリレンマを解消することができるアルゴリズムで、その論文*1は査読を通過しています。その性能は他のブロックチェーンと比較しても非常に高く、実際に行われたAlephBFTのトランザクション速度のテストでは、Go言語による実装がなされ、5大陸に分散させた112のAWSノードの実験環境で89,600 TPS、416ミリ秒の検証時間を達成しました。
また、プロジェクトは2023年1月30日にPolkadotのパラチェーン枠を獲得しており、Polkadotエコシステムと接続しやすい環境を整えています。一般的に、Substrateベースのチェーンは、デフォルトのコンセンサスアルゴリズムとしてBABE/GRANDPAが使われています。これは、Polkadotのパラチェーンになることが容易になる一方で、それを使わないとコンセンサスの互換性がなくなるため、パラチェーンになることができなくなるということを意味します。そこで、プロジェクトは、Polkadotエコシステムと接続するための専用ブリッジを用意することで、ブリッジをパラチェーンという扱いにしてパラチェーン枠を獲得しました。
また、WASM L1は、2024年8月12日にリリースされたAleph Zero EVMのデータ可用性レイヤー(DAレイヤー)として利用されるようになりました。
*1 Aleph Zeroに関する論文:
- Threshold ECDSA for Decentralized Asset Custody
- Aleph: Efficient Atomic Broadcast in Asynchronous Networks with Byzantine Nodes
Aleph Zero EVMの特徴
Aleph Zero EVM(以下、EVM L2)は、2024年8月12日にメインネットをローンチしたEthereum互換のレイヤー2です。250ミリ秒のブロック時間と、数千TPSの性能を誇り、WASM L1と同様に即時ファイナリティを得ることができます。
EVM L2は、Arbitrum OrbitとGelatoのフレームワークで構築されており、zkOSを利用することでEVM環境でもプライバシーを確保したアプリケーションを構築することができるようになります。加えて、強化されたアカウント抽象化機能が組み込まれ、ユーザーにとって優れた体験をもたらすことができるようになっています。
また、EVM L2ではvib3sが利用できるようになります。これはスポーツおよびエンターテイメント業界向けのホワイトラベルソリューションで、アカウント抽象化機能により、Web2のようなユーザー体験を備えたロイヤルティプログラムにWeb3の強みを加えることができます。
AZEROトークン
$AZERO の用途
Aleph Zeroでは、プラットフォームのネイティブ通貨として$AZEROを利用します。$AZEROは、以下の用途で利用されます。
- バリデーターノードのステーキング
- DEXのスワップ手数料
- Aleph Zero WASM L1 / EVM の手数料
- zkOSのプライバシー機能の手数料
- ガバナンス投票
$AZERO の基本情報
- 最大供給量:300,000,000 AZERO
- トークンの割当:
- 67%:トークンセール(パブリック、プレ、シード、プレシード)
- 22%:Aleph Zero財団
- 11%:チーム
- トークンセールに関するべスティング:
- プレシード:トークンローンチ時に50%を配布、残りを15ヶ月で段階配布
- シード:トークンローンチ時に70%を配布、残りを6ヶ月で段階配布
- パブリック:ロックアップなし