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金融庁がBinanceの日本営業に警告!日本人は仮想通貨を選択する自由を奪われてしまうのか?

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香港に本社を置く世界最大の仮想通貨取引所Binance(バイナンス)は、金融庁から日本への営業を辞めるように警告しました。

日経のニュースをBinanceが否定したのでは?

今回の件の流れはこうなります。

3月23日:日経新聞が金融庁が警告を出す方針であることを報道しました。この時点ではまだ警告は出ていません。

それに対し、同日中にBinanceのCEOであるCZ氏は否定する声明を出しました。

日本語訳:「日経の報道は無責任です。我々は日本の金融庁と建設的な対話をしており、いかなる要請も受けていません。日本の金融庁が私たちに話す前に新聞に告げるのは理にかなっていません。」

そして3月23日、金融庁から正式にBinanceに対して警告が出ました。金融庁からの警告は「無登録で仮想通貨交換業を行う者について(Binance) 」になります。

さらに、CZ氏はこの警告を受け、Binanceの弁護士が金融庁に連絡を取りました。

日本語訳:「私たちは約1時間前に金融庁から書簡を受け取りました。私たちの弁護士は、すぐに金融庁に連絡を取りました。そして、解決策を見出すことでしょう。最も優先すべきことは利用者の利益を保護することです。」

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ニュースの背景と解説

日本人向けに仮想通関取引所を提供する場合は金融庁の認可が必要

[the_ad id=”7860″]日本では、仮想通貨取引所は改正資金決済法に基づき金融庁から認可を受けなければ営業できないというルールが存在しています。

2018年3月7日現在、金融庁から認可を受けた仮想通貨取引所は16あり、Binanceはその中に入っていません。どのような業者が認可を受けているかは、金融庁の仮想通貨交換業者登録一覧(PDF)に記載されています。

金融庁に登録されている業者は、基本的に日本に特化してビジネスを行っている業者ばかりであり、世界を相手にしているBinanceは特に登録申請をしていませんでした。

実は、Binanceは金融庁から警告を受けたのはこれが最初ではありません。以前Binanceにあった日本語表示は、金融庁からの要請で消したという経緯があるため、今回を合わせ最低2回以上は金融庁から警告を受けていることになります。(ソース:Binance CEOが語る:コインチェック事件やセキュリティについて (COIN POST))

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今回警告する根拠となった「事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係16.仮想通貨交換業者関係III-1-4(2)2」とは?

それでは、今回警告する根拠となった「事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係16.仮想通貨交換業者関係III-1-4(2)2」とは、いったい何なのでしょうか。

事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係16.仮想通貨交換業者関係」には、仮想通貨交換業者に対して求められるガイドラインが記載されています。

III-1-4(2)2は、無登録業者への対応の項になります。該当部分を抜粋します。

2 無登録で仮想通貨交換業務を行っていることが判明した場合

直接受理した情報や金融庁・他局から提供された情報により、業者名及び連絡先が判明しており、かつ、営業実態もある程度判明している業者については、無登録業者等への直接確認(電話やメール等の確認等、問合せの方法は問わない)等により実態把握に努め、その結果、当該業者が無登録で仮想通貨交換業を行っていることが判明した場合には、次により対応する。

イ.無登録に至った原因に故意性・悪質性がなく、利用者保護の観点から問題のある業者でない場合には、直ちに仮想通貨交換業務の停止及び仮想通貨交換業者の登録を求める。

ロ.無登録に至った原因に故意性・悪質性があると認められる場合、その他利用者保護上必要と認められる場合には、捜査当局に連絡するとともに、かかる行為を直ちに取り止めるよう別紙様式4により文書による警告を行う。

今回は警告を行ったと発表しているので、2つの対応のうち、より厳しいロの対応が行われたと思われます。ちなみに、ロの別紙様式4は以下のような内容になります。

無登録の仮想通貨交換業者に対する警告

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日本人はBinanceを使ってはいけないのか?

勘違いされやすいので、この件も触れておきたいと思います。

法律上は、Binanceが日本人を勧誘するのがNGなだけであり、日本人が勝手にBinanceに登録して利用することについて、利用者への罰則規定はありません。

ただ、勧誘できないようにするため、日本からのアクセスを遮断したりなどの措置を取る場合があるので、使えなくなる可能性はあります。既存の日本人利用者をいきなり排除するのも考えづらいため、日本からの新規登録が行えないようになる前に、今のうちBinanceに登録しておくのも選択肢の一つになることでしょう。

日本人は仮想通貨を選択する自由を奪われてしまうのか?

今回の件は、Binanceに限らずすべての海外取引所に当てはまることになります。世界最大手のBinanceがターゲットになったのは、見せしめ的な意味もあることでしょう。仮に、日本人が海外の取引所に登録できなくなった場合、日本人は銘柄が少ない国内取引所の選択肢しか残されなくなるかもしれません。

今回の件について、筆者個人の考えを述べました。

Binanceの想定対応

まずはBinanceが行う対応の想定になります。

実は筆者は、Binanceの代表であるChangpeng Zhao氏(以下CZ氏)と直接やりとりしたたことがあります。きっかけはBinanceが日本に本社移転する噂についての記事を掲載しており、CZ氏から直々にあの記事の内容はデマなので修正してくださいという要請が来ました。当サイトとしては噂の記事を削除する対応を行いました。

その対応連絡のついでに、CZ氏に日本語表示が消えた経緯についての質問を送った際、消えた理由として「We removed it at the request of Japan FSA. We respect their request, even though we are not a Japanese exchange. (日本語訳:我々は日本の金融庁からの要請で日本語表示をなくしました。我々は日本の取引所ではありませんが、彼らの要請を尊重します。)」という回答が返ってきました。

このような過去の経緯からも、今回も金融庁の要請内容を尊重することが想定されます。

筆者としては、

  • 日本人のアクセス遮断
  • 日本人の場合は、営業とみなされる可能性があるアフィリエイトプログラムの禁止

のいずれかが実施されるのではないかと予想しています。仮に後者のみで済んだ場合、実質的には日本人でも引き続きBinanceを利用することができるようになることでしょう。

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日本人は仮想通貨を選択する自由を奪われてしまうのか?

日本人がBinanceを好んで使う理由は、数多くの仮想通貨が上場されているからに他なりません。

筆者は、仮想通貨の可能性を感じる者の一人として、日本人のアクセスが遮断されるのが最も実現してほしくないシナリオと感じています。もし、このシナリオに他の取引所が追従してきた場合、短期的には日本人の仮想通貨を選択する自由は狭まってしまうことでしょう。

最終的に、日本人は仮想通貨を選択する自由を奪われてしまうのでしょうか。筆者は、最終的には日本人にも仮想通貨の選択の自由が確保されると信じています。

筆者が描く未来は、分散型取引所の普及により実現されるというものです。

分散型取引所は、中央の管理者がいないため、金融庁が規制したくてもできない存在であると考えられます。分散型取引所が何かわからい方は、当サイトの記事「分散型取引所(DEX)について知り、取引できる仮想通貨の種類を増やそう」をご覧ください。

現時点の分散型取引所は、多くが特定のブロックチェーン(EthereumやWaveなど)プラットフォームで扱われている仮想通貨のみが取引できるようになっています。例えばEtherDeltaでは、Ethereumプラットフォームを使った仮想通貨やトークンのみが売買できます。そのため、何かの通貨とBTCを取引するといったことができません。これだと多くの人は利用しようとは思わないことでしょう。

しかし、ここ最近はWanchainに代表されるクロスチェーンソリューションが登場しており、Ethereumプラットフォームのブロックチェーンから別のブロックチェーン(BTCやLTCなど)へのシームレスな取引が実現する未来が見えつつあります。実際にそのような取引を実現するために、分散型取引所のKyberNetworkとWanchainが戦略的パートナーシップを締結しています。

分散型取引所も利用者を増やすために上場している通貨を増やす必要があるでしょうから、技術の進歩により、最終的には金融庁が規制できないあらゆる仮想通貨が売買できる分散型取引所ができあがる未来になるのではと考えています。

ですので、今回のニュースで悲観的に思っている方も長期的には選択肢に困らない未来が来るのではないかと、筆者は考えます。

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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