ジャパンブロックチェーンウィークの最終日となる2019年10月15日に、アジアを中心に活動するブロックチェーンプロジェクトのマーケティングコンサルティング企業のZebra Globalは「Digital Asset Conference: Marketplace of The Future」を開催しました。
当日はBithumb Globalが初来日し、聴衆の注目度が高いカンファレンスとなりました。いつもの如くレポートしていきます。
イベントページ:Digital Asset Conference: Marketplace of The Future
イベントパートナーZILLAからのご挨拶と基調講演
今回のイベントパートナーを務めるZILLAは、国際色豊かなメンバーで構成されています。今回は、日本拠点のBusiness Development ManagerのLilith Li氏がサービスを紹介しました。
ZILLAでは、スマートフォンアプリのZILLA(iOS、Android)をリリースし、イベントプラットフォームを提供しています。
ZILLAのアプリには、イベントで暗号通貨払いができるようにウォレットが内蔵されてます。2019年9月19日にはZILLAの独自トークンであるGDがBikiに上場しました。GDトークンを使用することにより、イベントチケットを50%オフで購入することができます。
メインとなるイベントプラットフォームでは、イベントの掲載が簡単にできるようになっています。チームメンバーで共同作業ができる設計になっており、スピーカーやパネリストの写真リストが簡単に作れるようになっています。もちろん、アクセス状況を見ることもできます。
この他に、ZILLAではEthereumベースのトークンを簡単に発行できるトークンジェレネータを提供し、特定のアクションをすると暗号通貨をもらうことができるフォーセット機能が搭載されています。
[the_ad id=”7916″]
Zebra Global:ブロックチェーンとフィンテックの国際市場の架け橋
Zebra Globalは、CEOのAmber Chook氏が率い、アジアを中心に活動するブロックチェーンプロジェクトのPR、マーケティングに加えマーケットエントリーソリューションを提供しています。「Join the pack and stand out」をキャッチフレーズに、品質に拘るクライアントに向けてグローバルにサービスを展開しています。
Zebraのサービスは「メディアカバー」「カンファレンスとミートアップ」「パートナーシップ開発」「コミュニティとソーシャルメディアマネジメント」の4領域から成り立っています。
メディアカバーは複数国で展開し、創造的なアイディアと多言語能力を活かしてメディア戦略を実行していきます。カンファレンスとミートアップは、自社のカンファレンスであるDigital Asset Conference(略称DAC)を開催しています。
そして、Zebraが特徴的なのはチームメンバーです。日本や世界トップクラスのブランディングや金融を経験したメンバーで構成され、ブロックチェーン業界としては珍しく、ほとんどが女性で構成されています。
[the_ad id=”7916″]
Bithumb Global:次世代デジタル資産取引所
今回のカンファレンスの一番の目玉はBithumb Globalのプレゼンテーションになります。今回は、CMOのSunny Ng氏が来日し、自社の取り組みを紹介しました。
今や世界中に2,000以上の暗号資産取引所が存在しています。そのような中で、Bithumb Globalはオープンでフレンドリー、ユーザーにとって使いやすい取引所を展開しています。
取引所のBithumbには、複数ブランドが存在しています。その中の主軸がBithumbとBithumb Globalです。前者は韓国を中心にサービスを展開しており、後者は金融商品の組成をメインにし、グローバル展開しています。Bithumb GlobalがBithumbの親会社にあたります。
Bithumb Globalでは、Bithumbで培われたノウハウを活かし、リソースを共有し、大量のトラフィックを処理できるようにし、取引のデプス(板の厚さ)を提供します。
Bithumb Globalは多くのユーザー獲得しており、既に800万人の登録があります。毎日32万人の訪問者があり、日々の取引高は9,600億フォン(日本円換算で883億円)を誇ります。ビジョンとして、まったく新しいブロックチェーンという金融エコシステムに、世界中の誰もが参加できることを掲げています。
Bithumb Globalは、コミュニティ主導の取引所を運営しており、多くのパートナーと共に成長していく方針を採っています。また、ユーザーからのフィードバックを反映させ、より良いサービスを提供していきます。そのため、Bithumb Globalではエコシステムやコミュニティに貢献するプロジェクトを探しています。
ブロックチェーンや暗号資産業界について、Bithumb Globalは大きなマーケット機会を感じています。その理由として、この業界のコミュニティが成長していること、全体の取引高がバブル時よりも増えていること、大手企業参入や法規制の整備などが挙げられました。
Bithumb Globalは、伸びしろがある業界で金融のハイパーハブの立ち位置を目指しています。そのために、ユーザーの基盤や金融ソリューションのプラットフォームを展開し、Bithumbで培った人脈などのリソースを活用していきます。
Bithumb Globalではこれらの活動により、暗号資産のポテンシャルを解き放とう(UNLEASH)としています。それを実現するBithumb Globalのプロダクトが、暗号資産取引のC2C、高品質なプロジェクトの支援のためのBG Staging、ステーキングサービスのBG Stakingになります。
さらに、より強いグローバル展開を促すため、シンガポール、ラテン、ベトナム、ヨーロッパに支社を作っています。
また、Bithumb Globalはさらに強固なコミュニティを構築するために、インフルエンサー(KOL)を招いたマーキュリープログラムを実施しています。
最後に、Sunny氏はリンカーンの言葉になぞらえ、Bithumb Globalのことを「人々の人々による人々のための取引所」であると述べ、プレゼンテーションを締めくくりました。
Bithumb Globalの関連記事
プロジェクトピッチ:WOM プロトコル
WOM Protocol CEO、Melanie Mohr氏はマーケティングのバッググラウンドを持っています。Melanie氏のオンラインマーケティングに携わった経験によると、これからのマーケティングの主流は広告がない形態に変わっていくとのことです。
既に広告なしのマーケティングとして存在するのが、インフルエンサーマーケティングです。しかし、人々がそれがステルスマーケティングであることに気がついてしまい、こちらもワークしなくなってきているといいいます。
そこで、有効なのが口コミによって生まれるマーケティングだと、Melanie氏らは考えています。口コミは毎日21億回行われているといわれています。しかし、多くのマーケティングは未だオンライン広告に依存しています。
そこで、WOM Procotolです。WOM Procotolのエコシステムには4つの当事者が関わります。それがクリエター(Creators)、認証者(Authenticators)、消費者(Consumers)、ブランド(Brands)になります。
クリエイターが口コミ宣伝を作成し、認証者がそれをチェックし承認する、そして消費者はブランドから製品を買うという構図です。ブランドは、口コミ宣伝に対する報酬として、クリエイターと認証者にWOMトークンを支払います。これらはブロックチェーンを使ったトラストレスな環境で実現されます。
WOM Protocolでは、エコシステムを円滑に回すために、口コミ宣伝の認証を簡単できるようにし、できるだけユーザーの敷居を下げるように努めています。また、ブランドはWOM Campaign Managerを使うことで、ユーザーのコンテンツへのアクセス状況を確認し、どこに費用をかければよいかを把握できるようになります。
これらのエコシステムは、まずはプライベートブロックチェーンチェーンで構築され、徐々に分散型ブロックチェーンプラットフォームに移行させていく予定です。
エコシステムを拡大させていくために、WOM Protocolは他社のサービスに組み込むことができるようになっています。
WOM Protocolの最初の提携先は、ポイントべースのリワードアプリを提供するYEAYになります。YEAYは既にダウンロードが80万あり、18万の登録ユーザを有しています。また、WOM Protocolがadidasのアクセラレータプログラムにも採用されており、adidasがWOMトークンをマーケティング費用として購入しています。
プロジェクトピッチ:F1ZZ
F1ZZがフォーカスしているのが中古市場になります。その問いかけとして、CEOのMarco Stagliano氏は一番高価なスニーカーの価格をあげました。
現在、スニーカーのマーケットは中古品市場が急速に成長しています。ミレニアル世代は中古品の購入に抵抗がなく、中古品としてはNikeが独占的な人気を誇っています。そして、現在のスニーカーの中古市場のマーケットの65%は中国が占めています。
中古品を扱う上でどうしても問題になるのが、ロジスティクス面になります。当然ながら、その中古品がしっかりしているものであるかどうかが重要になります。現在は、メインの中古品プラットフォームにですら偽物が紛れ込んでいます。
F1ZZが実現しようとしていることは、スニーカーなどの中古品マーケットで、ブロックチェーンを使い偽物を排除することです。
F1ZZでは、ICOになぞらえて、ISOを実施します。ISOとはInitial Shoe Offeringです。ユーザーはFIZZトークンを購入し、FIZZトークンを使ってISO(認証マーク)を購入します。認証マークとスニーカーをセットにして、FIZZプラットフォームで取引をすることで、偽物を排除します。
FIZZプラットフォームでは、ERC1155(Crypto Item Standard)規格のトークンを発行します。これはERC721を更に進化させたNFT(Non-Fungsible Token)で、このトークンを売買させることで、スニーカーの所有権のやり取りを行うことができるようになります。
[the_ad id=”7916″]
パネルディスカッション:「ビットコイン vs 金:優れた価値の保存手段はどちらか」
メインイベントの最後に、パネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションの内容は金融的で、登壇者にとってはハードな内容だったようです。
登壇者(写真の右から):
- Maurizio Raffone 氏:Finetiq Limited CEO(モデレーター)
- Ken Misuma 氏:Quras CMO
- 星 賢宏 氏:EMURGO General Manager
- Lars Schouw 氏:SBIセキュリティ・ソリューションズ シニアマネージャ
1.ビットコインの価値はあるのか?
Ken:ビットコインは実際に価値の保存として使われており、歴史を見ても既に金融危機の資産の逃避先として使われている。金だと退避するのが大変なので、ヘッジツールとしてビットコインは優れていると思う。
星:現在人々がゴールドやビットコインに投資をするというのは、将来的な恐慌が起こることを想定しているように見える。
Lars:ビットコインの価値は間違いなくある。実際に香港やベネズエラで使われている。発行上限があることも、価値の支えている要因となっているのではないか。
2.ビットコインETFが承認されたらビットコインの価値はどうなるのか?
Ken:個人的な意見として、ビットコイン価格は上がると思う。現状のビットコインは他の金融商品ほどの規模がないが、ETF承認によりプロが参入してくることになるだろう。
星:おそらくYESだろう。今のビットコインは個人投資家が買っているが、ETF承認により機関投資家の資金が入ってくるだろう。
Lars:ETF承認がいつになるのかはわからないが、ビットコインの現物を持たなくても済むようになるので、機関投資家によっては取引が容易になるだろう。このためには、KYC/AMLの規制整備が必要だ。
3.ビットコインの価格の変動幅は金と比べても大きいが、長期的に見た場合はどうなるのか?
Ken:今はマーケットが小さいので価格変動幅が大きいが、機関投資家が入ると流動性が出てくるので、価格変動幅は小さくなっていくと思う。
星:ビットコインの価格は長期的に見ると上がっていくと思われるが、現状は上位2%がビットコインの80%を保有している。つまり、価格操作ができるということだ。このような不平等は解消すべきだ。
Lars:金融商品に関わるリスクをヘッジするポジションのとり方があるので、長期的にはコールオプションなどが充実してくるのではないか。
4.米国の35%はリセッション(景気後退)がくると思っている。不況が来たときに、金とビットコインの価格はどうなっていくのか?
星:金とビットコインは違う。金は価格が安定するだろう。しかし、ビットコインはリーマン・ショック後の後に登場したので、正直なところどうなるかはわからない。
Ken:正直わからないが、南米のような国では経済が危ないときにビットコインが買かれる動きが見られた。そのようなことから考えると、ビットコインを知っている人は不景気時にはビットコインを買うのではないだろうか。
5.中央銀行は、紙幣を発行するために何かしらの裏付け資産がある。国がビットコインを保有する可能性はあると思うか?
Ken:現状は、資産の種類が多いので、国がビットコインを扱うという必然性はないだろう。しかし、長期的な視点では、ポートフォリオに組み入れられる可能性があるのかもしれない。個人的に、そういう未来があってほしいと思う。
星:いくつかの国がブロックチェーンフレンドリーになっている。経済が弱い国はブロックチェーンの普及が速いだろう。例えばベラルーシは、ブロックチェーンを合法にして、無税にする大統領令を出した。このような国は可能性があるのではないか。
Lars:現在は、国の中央銀行は皆米ドルを持っている。中国やロシアのような国は米ドルを割けたがるかもしれないので、可能性としてあるのではないか。
[the_ad id=”7916″]
ビンゴ大会
ビンゴ大会では、QURASプロジェクトのインフルエンサー、かつBithumb Global日本コミュニティの盛り上げ役である濱崎健一氏が会場を大いに湧き立たせました。
当選者には、Bithumb GlobalのオリジナルTシャツや登壇プロジェクトのトークン、ビットコイン3万円分がプレゼントされました。
本イベントに関する情報
[the_ad id=”7916″]