Layer1プロジェクト解説暗号資産

Hedera Hashgraph(HBAR)の解説

Layer1
スポンサーリンク

時を追うごとに増加するブロックチェーンのユースケース。一般ユーザー向けがメインだった市場には、徐々にエンタープライズにおける利用が浸透しています。Hedera Hashgraphは、エンタープライズ分野に特化した分散型台帳を提供しています。

Hedera Hashgraph(HBAR)の概要

Hedera Hashgraph(ヘデラ・ハッシュグラフ)は、大企業の利用を念頭に置いた、エンタープライズ分野に特化した公開型の分散台帳です。ネイティブトークンとして$HBARが発行されており、企業は直接もしくは間接的な手段で$HBARでガスを支払うことによってHedera Hashgraphを利用します。また、Hedera Hashgraphそのものは本来エンタープライズ向けですが、一般ユーザーが利用したりアプリケーションをデプロイすることもできるようになっています。

Hedera Hashgraphの主な特徴は、公開型のプラットフォームでありながらエンタープライズに特化している点です。通常、パブリックチェーンと言われる公開型のプラットフォームは、利用はもちろんのこと、誰でもノードやガバナンスに参加できるようになっています。一方で、Hedera Hashgraphは、誰でも利用できるものの、ノードとガバナンスは運営審議会の企業によって管理されています。これはあらゆる分野の企業が安心して分散台帳を利用することができるようにする仕組みと言えます。また、最終的に誰でもノードへの参加ができるようになる予定です。

Hedera Hashgraphそのものは、データ構造にDAGを採用しているため、ブロックチェーンではありません。そして、コンセンサスアルゴリズムに非同期ビザンチンフォールトトレランス(aBFT)であるハッシュグラフを、シビルコントロールにProof of Stake(PoS)を採用しています。これにより、高いスループットと高速なファイナリティを実現します。また、企業が分散型台帳を利用しやすくするための機能が盛り込まれており、トークン化やコンセンサスサービスのAPIが提供され、従来のWeb3開発者が参入しやすいようにEVM仮想マシンのスマートコントラクトが利用できるようになっています。加えて、利用コストを予測可能にするためにトランザクションの種類ごとにドル換算の手数料体系を設けており、その平均手数料は0.1セントと安価になっています。

Hedera Hashgraphは、6月24日時点で直近24時間のトランザクション数が約1億1848万となっています。これはゲーム特化型のチェーンであるWAXの1800万や、汎用型チェーンのBNB Smart Chainの400万と比べても、大きく引き離す値となっています。その利用状況を裏付けるかのように、大企業のユースケースを含むエコシステムが構成されています。

Hedera Hashgraph(HBAR)の特徴

エンタープライズに向けた機能を搭載

Hedera Hashgraphでは、エンタープライズが分散台帳を使いやすくする機能を取り揃えています。

Hedera Consensus Service (HCS)

Hedera Consensus Service(以下、HCS)は、あらゆるアプリケーションや許可型のブロックチェーンついて、不変で検証可能で公正に順序付けされたイベントデータを記録する、分散化された監査可能なログを作成するためのサービスです。

エンタープライズで使われるアプリケーションや許可型のブロックチェーンは、閉じた環境であることから当事者による共謀のリスクがあります。しかし、これらのイベントデータを証明可能にするためにシステムをパブリックチェーン上に実装するのは、プライバシーやコストなどの観点から現実的ではありません。そこで、HCSはシステムから生成されるイベントデータに検証可能なタイムスタンプと順序付けを行うことにより、閉じた環境におけるイベントを証明可能にします。

2023年6月24日時点、Hedera Hashgraphにおいて99.88%がHCSによるトランザクションで占められています。

Hedera Token Service (HTS)

Hedera Token Service(以下、HTS)は、Hedera Hashgraphのネットワーク上でFungible Token (FT)及びNon-Fungible Token(NFT)の設定や発行、管理を行うことができるサービスです。これは、他のブロックチェーンと同様な機能となります。

HTSにより、FTやNFT発行や管理が用意になるほか、KYCの検証や凍結、トークンの配布や転送管理などのコンプライアンスのニーズを満たすことができるようになります。また、より複雑なトランザクションやトークンのユースケースは、後述するHedera Smart Contract Serviceとの連携により実現することができます。

Hedera Smart Contract Service

Hedera Smart Contract Service は、Hedera Hashgraph上でSolidityスマートコントラクトを構築し、分散型アプリケーションを実行可能にするサービスです。EVMと互換性があるため、Ethereumやその互換性があるチェーンでアプリケーションを構築している開発者は、Solitidyを変更することなくHedera Hashgraph上に自身のアプリケーションを展開することができます。

また、Hedera Hashgraph上で実行されるスマートコントラクトは、ハッシュグラフコンセンサス向けに最適化されるため、数秒でファイナリティに達する他、予測可能なガス料金のメリットを享受することができます。

運営審議会の企業によるガバナンス運営

Hedera Hashgraphでは、運営審議会の企業によりガバナンスが行われています。運営審議会の企業には、Web3業界で馴染みの深いChainlinkの他、インターネット検索最大手のGoogle、ゲーム大手のUbisoft、航空機製造のBoeingなどの29社が参加しています(2023年6月24日時点)。これらの企業は、地域や産業で分散されており、強い規制に晒されています。このような企業構成は、Hedera Hashgraphが世界中のあらゆる規制に準拠して運用されるようになることを意図しています。

Hedera Hashgraphの運営審議会

Hedera Hashgraphの運営審議会(2023年6月23日時点)

運営審議会への参加は3年の任期で、最高2任期まで務めることができるようになっています。また、運営審議会へ参加するための契約書ではお互いに利益を上げる行為が禁止されており、審議会の議事録が公開されています。このように、Hedera Hashgraphのガバナンスでは、限られた当事者が参加するようになっているものの、特定の企業が力を持つことなく、透明性をもって運用されるようになっています。

HBARトークン

Hedera Hashgraphでは、ネイティブトークンとして$HBARが発行されています。

HBARトークンの用途

  • ネットワーク使用料(ガス、トークンの発行、スマートコントラクトの呼び出しなど)
  • PoSによるネットワークセキュリティの確保

HBARトークンの配布

$HBARは、供給上限が500億枚と固定されています。2023年6月24日現在、317億5515枚が循環供給されています。現在の割当状況は以下の通りとなっており、500億枚のうち31.33%が未割り当てになっています。詳しいトークンリリース計画などは財務管理レポートから確認することができます。

HBARの割当て

HBARトークンを売買できる取引所

Hedera Hashgraphに関する情報

公式情報

教育コンテンツ

当サイトによるコンテンツ

スポンサーリンク
この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

Junya Katoをフォローする
TOKEN ECONOMIST(トークンエコノミスト)
タイトルとURLをコピーしました