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FHEを用いたプライバシーロールアップ「Fhenix」の解説

Layer2・サイドチェーン
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ブロックチェーンが普及するにつれ、チェーン上のプライバシーは重要になっています。Fhenixは、これまでにない新しい方式のプライバシー確保手段を提供するロールアップです。

Fhenix の概要

Fhenix(フェニックス)は、完全同型暗号(Fully Homomorphic Encryption: FHE)を利用してプライバシーを確保する世界初のプロジェクトで、Ethereum上のOptimictic RollupとしてFHEロールアップを提供します。プロジェクトは、FHEロールアップは高度にモジュール化されているため、従来のレイヤー1/2の定義に当てはまらず、ブロックチェーンの拡張であるとしています。

ブロックチェーンはデータの機密性を犠牲にし、中央集権的なオペレーターを信頼することなく、正しい実行と検閲への耐性を保証します。コンセンサスを得るためにはすべてのノードがデータを見る必要があることから、オンチェーンのデータはすべて公開されます。この極めて高い透明性は、ブロックチェーンのマスアダプションを困難にします。我々の暮らしにおけるほぼすべての取引は、当事者しか知らない機密性があることが一般的だからです。ブロックチェーン上で機密性を確保した取引を実現するには、プライバシーソリューションが必要不可欠になります。

FhenixのFHEロールアップでは、FHEを利用してプライバシーを確保します。通常、暗号化されたデータを計算するにはどこかで復号化する必要がありますが、FHEでは暗号化されたデータを暗号化されたまま計算します。これにより、機密性の高いスマートコントラクトの展開が可能になります。FHEロールアップでは、EVMと親和性が高いfhEVMを使用することにより、Solidityを使ってこれまでのEthereumアプリケーションと同様の実装を行うことができます。

Fhenixは、2024年第1四半期にFHEロールアップのテストネットを立ち上げ、2025年第2四半期にメインネットの開始を予定しています。

FHEロールアップのハイライト

FHEによるプライバシー保護

Fhenixは、完全準同型暗号(Fully Homomorphic Encryption: FHE)を利用したEthereum上のFHEロールアップを提供します。FHEには複数のスキームがあり、FhenixではTFHE(FHE over the Torus)を利用しています。

FHEを使うことで、暗号化されたデータを復号化されることなく計算を行うことができるようになり、トランザクションの入出力とステートが全体を通して暗号化されたままであることが保証されます。FHEは、平文と比べると計算のオーバーヘッドが桁違いに大きくなるため、ロールアップにおけるスマートコントラクトの実行は、実行検証と合意形成から分離されます。

また、ゼロ知識証明(ZKP)と比べた場合のFHEのメリットとして、複数の当事者からのプライベートデータの組み合わせが可能なこと、複雑な計算が可能なことがあげられます。これにより、FHEでは、ZKPでは不可能なユースケースにおいてプライバシーの確保を可能にします。一方で、スケーラビリティはZKPの方が高いとされています。

EVMの拡張機能セット fhEVM

FHEロールアップでは、仮想マシンにEVMの拡張機能セットであるfvEVMを採用します。開発者はFHEの専門知識がなくても、Solidityでプライバシーを確保したスマートコントラクトを作成することができます。

Fhenixに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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