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ブロックチェーン・ナイト#001:次世代ブロックチェーンプラットホームに触れる イベントレポート

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2019年2月27日に、IOST Japan主催で「ブロックチェーン・ナイト#001:次世代ブロックチェーンプラットホームに触れる」が開催されました。

今回のテーマはブロックチェーンプラットフォームになり、普段は競合になるプロジェクト同士が一同に集まるという珍しいイベントとなりました。

取り組みを発表したプラットフォームは「NEO」「Tezos」「IOST」「FLETA」になります。その他、共催企業や関連プロジェクトの発表もありました。

NEO

NEOは、NEO Global Developmentの葉山ミキ氏より取り組みが発表されました。葉山氏は、創業者のDa Hongfei氏の通訳をしたきっかけで、NEOに参加した経緯があります。

NEOは、AntShareという名前で登場し、世界で2番目のブロックチェーンプラットフォームになります。2018年10月17日をもってメインネットの公開2周年となり、持続的な運営を強みとしています。

NEOの概要

NEOの概要

NEOの本拠地は中国の上海ですが、他にスイスや韓国、日本に拠点を持ちます。DA Hongfei氏、Erik chang氏の2名により設立され、Da氏は経営面、Erik氏は技術面のリードをしてきました。現在NEOのTwitterフォロワー数は31万人を超え、これらを支えているのはNEO Communityの人たちのおかげだとしています。

NEOは、技術を高め、エコシステムを広げ、質の高いコミュニティを形成するためにガバナンスとコンプライアンスをきちんとすることを理念に掲げて活動しています。

NEOの理念

NEOの理念

NEOは世界各地にコミュニティがあり、特に2大開発者コミュニティは、中国語圏コミュニティのNELと英語圏コミュニティのCITY OF ZIONになります。日本では、金沢工業大学や九州工業大学と提携してハッカソンを開催したり、ビジネス面での提携を進めています。

NEOの産学連携1

NEOの産学連携1

NEOの産学連携2

NEOの産学連携2

NEOはイベント開催に積極的で、直近では3/9-10に秋葉原でNEOを使ったゲームのカンファレンスを開催します。

また、石川県で積極的な活動を開催しており、金沢工業大学でハッカソンを開催したり、産学連携で白山市とブロックチェーンを絡めたSDGsについての実証実験、日本初のブロックチェーン都市を目指す加賀市と提携しています。これからハッカソンに向けて、ブロックチェーンに関する講義を積極的に展開していきます。

NEOの公式情報

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NEOのユースケース Green Funding Coin

NEOのユースケースとして、Green Funding Coinの平瀬氏より事例が紹介されました。

平瀬氏は、過去に環境技術特許の売買などに関わってきた経験を持ち、その中でブローカーがたくさんの中抜きをし、資金流用をしている実態を見てきました。そのようなことから、良いものがあっても失敗してしまうと危機感を覚えたといいます。

現在の投資市場は、大企業に対してが中心になっています。しかし、社会を良くするポテンシャルを秘めているのは中小やベンチャー企業であるといいます。しかし、中小やベンチャー企業には投資が盛んでありません。その原因として信用がないからであるとし、ブロックチェーンの透明性の高さを利用して資金ガバナンスを確保しようとしています。

投資資金の流れを大企業から中小ベンチャーへ

投資資金の流れを大企業から中小ベンチャーへ

Green Funding CoinがNEOベースのグリーンファンディングプラットフォームを用意し、プラットフォーム内で個人投資家と事業体で独自通貨のやり取りをすることにより、資金の足跡をガラス張りにします。資金の流れに不審な動きがあった場合には、資金をロックすることができます。

Green Funding Platformで投資資金の流れを透明化する

Green Funding Platformで投資資金の流れを透明化する

平瀬氏は、Green Funding Coinのプラットフォームにより、投資家と事業体が二人三脚でやっていけるようにしたいと話して締めくくりました。

Green Funding Coinの公式情報

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Tezos

Tezosでは、まず一般社団のTezos Japanについて動画を交えて説明されました。動画は、以下よりご覧になれます

Tezos Japanは、Tezosの普及活動をしている団体になります。Tezosプラットフォームに関する研究開発や、プロジェクト支援を行っています。プロジェクト推進では、Tezos財団に認めてもらうことにより、資金提供を受けることができます。

Tezosの技術面は、Tezosコア開発に参加し、ユーザへのTezos技術の提供をしているダイラムダ株式会社の古瀬淳氏より紹介がありました。

Tezosは、2014年に概念が発表されて、ICOで250億円の資金調達に成功しました。そこから1年かけてブロックチェーンの実装を行い、2018年9月にメインネットの稼働が開始しました。既に、ホワイトペーパーで約束した機能のほぼすべてが稼働しています。

Tezosの基本的な思想として、プロトコルはステークホルダーのものという考えがあり、ブロックチェーンはトークンをやり取りする必要があるため、安全性にも力を入れているといいます。

Tezosの概要と思想

Tezosの概要と思想

特に、ハードフォークはコミュニティにとってリスクが大きいため、ハードフォークを避けるための仕組みを、Tezosのプロトコルに組み入れていることが大きな特徴になります。

具体的には、プロトコルの変更がコードとして提案され、それが自動的に各ノードに配布され、提案内容をテストし議論した上で、投票が行われます。投票が採択された場合、変更内容が自動的にTezosのネットワークに反映されます。この仕組みは、プロトコルの所有者をステークホルダーにするための思想に基づいているものだといいます。

直近の2019年2月25日に、初めての修正の提案が出されました。この動きは、ガバナンスがブロックチェーン上に組み入れられているオンチェーン・ガバナンスとしては世界初になるため、どのようになるか非常に注目されるものとなっています。

Tezosのオンチェーン・ガバナンス

Tezosのオンチェーン・ガバナンス

Tezosでは、安全性を確保するために、形式検証と呼ばれるプログラムの安全性を数理的に証明する手法を採用しています。

また、スマートコントラクトでは、スマートコントラクト記述言語としてMichelsonを採用しています。Michelsonは、人間でも読み書きできるものであるため、8割程のバグはこの段階で抑えられるといいます。

Tezosの形式検証

Tezosの形式検証

Tezosではブロック承認者の寡占化を防ぐために、LPoS(Liquid Proof-of-Stake)と呼ばれる承認アルゴリズムを採用し、だれでも承認ノードになりベーキング(ブロック生成)することができます。

LPoSでは、マイニングするわけではないので、パンを焼くことになぞらえてベーキングというネーミングになっているそうです。また、ベーキングが面倒くさいのであれば、その権利を他人に移譲することでも報酬を得られるようになります。

TezosのLPoSとベーキング

TezosのLPoSとベーキング

現状のTezosのユースケースとして、不動産のトークン化基盤などビジネス面を重視しています。

これからのTezosは、プロトコル改良に力を入れ、BFTコンセンサスの導入や、新しい乱数生成メカニズムを入れ、匿名トランザクションを実現するためにゼロ知識証明(sk-ZNARKs)の導入を進めていきます。

Tezosのこれから

Tezosのこれから

Tezosの公式情報

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IOST

IOSTの紹介

IOSTは、国際数学オリンピックの金メダリストたち、いわゆる天才が開発しているブロックチェーンプラットフォームです。

IOST Japanの太田真氏より、IOSTの概要が案内されました。

エコシステムで信頼するものは、その中の取り決め事項です。これがブロックチェーンだとプロトコルになります。プロトコルに従ったトランザクションがすべてのノードによって合意されていれば、それは信頼できるといえます。

エコシステムにおける信頼の考え

エコシステムにおける信頼の考え

IOSTのエコシステムでは、立ち上げ後はノードに毎年2%のIOSTコインをIOST財団から出す仕組みが備えられています。IOST財団は全IOSTコインのうち35%を保有し、17年で財団のIOSTコインがなくなることになります。その後は、完全にコミュニティ参加者でエコシステムを構築していくようになります。

IOSTのエコシステムは誰でも参加できる

IOSTのエコシステムは誰でも参加できる

日本国内だと、IOSTのノードパートナーは以下の通りになります。メディアや開発会社の他に、学生のコミュニティ(赤枠)も含まれており、多様性があるといいます。

日本国内におけるIOSTのノードパートナー

日本国内におけるIOSTのノードパートナー

エコシステムを大きくしていくのは参加するノードになるため、彼らがどうするのか?ということが今後のIOSTの反映に重要な要素となっていきます。また、日本国内ではMEET IOSTと呼ばれる開発者コミュニティが用意されています。

IOSTパートナーの取り組み EverSystem

IOSTのパートナーであるEverSystemでは、CryptoNinjaというブロックチェーンゲームがあります。EverSystemの石田陽之氏より概要が説明されました。

CryptoNinjaはイーサリアム用に開発された、他人のお城に潜入してゲーム内通貨を盗むゲームです。お城を設置する側は、他人に盗まれても支障がない程度のゲーム内通貨を差し出し、罠を仕掛けて侵入を阻止します。

CryptoNinjaの概要

CryptoNinjaの概要

ゲームがイーサリアムベースだと、なかなかユーザにとって難しい部分があるといいます。

手数料が高いというのはよく言われる点です。また、ユーザの資産を勝手に盗むことができないため、盗んでOKという合意をユーザ間で取れるようにする仕組みを作るのが難しかったといいます。

ブロックチェーンでは盗むという要素は簡単に実装できない

ブロックチェーンでは盗むという要素は簡単に実装できない

EverSystemでは、これからCryptoNinjaのIOST版もリリースしていく予定になります。IOST版がいかに優れているのかが見えてくるだろうとのことです。

IOST / EverSystem公式情報

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FLETA

FLETAではビデオが最初に再生されました。字幕は英語のみですが、自動日本語訳でも内容の殆どを理解することができるかと思います。

FLETAは、イーサリアムやそれを解決しようとしてきたブロックチェーンプラットフォームに存在していた問題の解決を目指すブロックチェーンプラットフォームです。開発チームリーダーのキムジス氏より説明がありました。

FLETAの主な解決点は5つになります。

FLETAの解決点

FLETAの解決点

独自の承認アルゴリズムであるPoF(Proof-of Formulation)では、ブロックを生成するノードの生成順番が決められており、ブロックの拡散範囲を狭くできるために、ブロックの作成と配布をより高速にすることができます。

ブロックの再設計では、ブロックの最適化をしてブロックサイズが43%削減され、処理速度が1.75倍に向上しました。

独立的なマルチチェーン構造では、DAppsごとにメインチェーンと独立したサブチェーンを作り、サブチェーンのマルチノードグループを構成します。これにより、メインチェーンに問題が起きたとしても、DAppsはその影響を受けなくなります。

さらに、独立させたチェーンをブライベート用途で使うかパブリックチェーンで使うかを選択することができるようになります。

また、今後はFLETAのサブチェーン間で互いのトークンを利用することができるようになる見込みです。

独立的なマルチチェーン構造のイメージ

独立的なマルチチェーン構造のイメージ

FELTAでは、データの木構造にマークルツリーではなく、レベルツリーを採用します。レベルツリー検証はマークルツリー検証と比べると計算量が少なく、検証サイズを10分の1にすることができます。これにより、検証速度をマークルツリーの5倍にすることができます。

データの木構造の最適化イメージ

データの木構造の最適化イメージ

最後に並列シャーディングは、シャードと呼ばれる複数人のグループで取引処理を分割して検証を同時進行するグループを複数作ることにより、承認作業を高速化することができます。

これらの総合的な最適化により、FLETAではテスト数値として2万TPSの処理ができ、高い拡張性を確保できたといいます。

FLETAのテスト数値

FLETAのテスト数値

FLETAの開発進捗では、2019年Q1には機能の大半の開発が完了する見込みです。マルチチェーンのみが、引き続き開発することになるだろうとしています。

FLETAではDAppsのトークンの採掘をすることができ、人気があるDAppsがあるとFLETAの生態系がどんどん広がっていくだろうとしています。日本国内の企業ともパートナーシップを組み、エコシステムを拡大していこうとしています。

FLETAのパートナーシップ

FLETAのパートナーシップ

今後のロードマップでは2019年Q1にテストネットのベータ版を開始し、Q2にメインネットを開始します。さらにQ3に開発者ポータルのベータ版をリリースし、Q4にそれを正式版にする予定です。

FLETAの公式情報

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DIWal Limited

DIWal LimitedよりSTOの説明がありました。

DIWalは、コンサルティングや投資ファンドの会社です。ブロックチェーン分野では将来伸びるであろうプロジェクトに投資をしています。ブロックチェーンのコンサルティングについては、今後STOが増えていくだろうとしており、そのような未来を見据えてセキュリテトークンの発行ができるプラットフォームなどの整備を行っています。

現在、ブロックチェーンを使った資金調達はICOからSTOにシフトしつつあります。トークンには、アセット、ペイメント、ユーティリティの種類があります。アセットは証券に分類されます。STOは、証券のトークン(セキュリティトークン)を発行して資金を募集することになります。

STOとは

STOとは

米国について、STOでは事業投資の免除規定が使われ、法律によって保護されているため、新しいマーケットが生まれるのではないかという期待感があるといいます。

例えば、流動性が生まれることによる機会の拡大や、今まで表に出てこなかったアセットが可視化されるのではないかと考えられています。

STOのメリット

STOのメリット

従来の資金調達手法(紫は昔ながらの手法、緑はブロックチェーン)と異なり、STOではコストが低く、調達額も多くなり、調達難易度もデッド(債券)並みになると考えられています。

STOと従来の資金調達との比較

STOと従来の資金調達との比較

予想されているコストメリットは、以下の通りです。

STOと従来の資金調達のコスト比較

STOと従来の資金調達のコスト比較

STOのプレイヤーとマーケットはほとんどが米国で、日本のプレイヤーは存在していません。

STOプロセスはコンサルティング契約から始まり、多岐に渡ります。発行法人は日本は選ぶことができません。DIWalでは、これらのサービスをGEMと呼ばれるSTOプラットフォームを立ち上げ、顧客を支援していきます。

STOプロセス

STOプロセス

DIWal Limitedの公式情報

パネルディスカッション

パネルディスカッションの模様

パネルディスカッションの模様

パネルディスカッションは、2つの題目が出されました。

1.ブロックチェーンは民主的なのでアップデートがなかなか進まないときがあると思うが、アップデートするときの戦略はあるのか?

キム(FLETA):取引所との関係が大事になります。なぜなら取引所がFLETAを支援しないとエコシステムがなくなってしまうからです。取引所を巻き込んでいきます。

古瀬(Tezos):Tezosは既にソリューションがあるという立場ですが、人気投票だとコミュニティの分裂は避けられないと思います。ですので、Tezosはアップデートスケジュールと投票システムをプロトコルの中に入れました。投票で通ったものは、必ず取り込まれるという戦略になっていいます。

葉山(NEO):これからNEO3.0をリリースしますが、2年間の営みがあるので、開発者がたくさん関わっていいます。アップデートで人が離れるリスクもあります。NEOではDiscordのコミュニティを持っているので、まずはコミュニティに投げかけてみることをします。理念に合ったガナバンスやコンプライアンスを重視して、急ではなく徐々に変化させていくことを意識しています。

太田(IOST):IOSTはメインネットをリリースしたばかりで、今のところはPoBで十分なエコシステムを処理できると考えています。まだアップデートを迎えていないため、なんとも言えません。

2.今実用化に近いユースケースをあげてもらえないか?

キム(FLETA):ゲームが一番現実的です。FLETAは色々なプロジェクトと連携をしていきます。スイスの電話会社とも連携をする予定です。

古瀬(Tezos):Tezosは安全性を考えています。安全性を重視しているということもあり、ゲームはあまり考えていません。銀行間取引のような堅い分野を考えています。

葉山(NEO):NEOはイーサリアムと比べて本番環境にあげるテスト費用が、ケタ1つ違います。NEOでは、開発者コンテストで2位になった音楽プロジェクトがあります。いいねを押すとアーティストにトークンが入る仕組みです。音楽業界は仲介が多いため、今まではアーティストに実入りがあるのは2年くらいかかっていましたが、ブロックチェーンだとこの期間を数分に短縮できます。また、アーティストがすぐにファンにアプローチできるので、その点が画期的です。また、分散型取引所もあります。NEOではSwitcheoという分散型取引所がありますが、トークンエコノミーの普及には分散型取引所が重要になります。Switheo自体は、今はNEOとイーサリアムのハイブリッド型になっています。

太田(IOST):ゲームです。3月10日にERC20からIOSTコインへのトークンスワップがあります。これが終わると、すぐにゲームが遊べるようになります。またIOSTで秘密のプロジェクトが動いているらしく、皆さんの母親でも使えるような手軽なものになるそうです。楽しみにしていてください。

村上(DIWal):ゲームが多いです。今はハワイの一次産業の牛のプロジェクトに関わっています。牛の一部は医薬品の原材料にも使われるため、トレーサビリティが大事になってきます。今牛のトレーサビリティをどう入れていこうか検討しています。

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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