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NEM SEMINAR 2020 – Road to SYMBOL – イベントレポート Part.2

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日本の仮想通貨取引所でも扱われているNEMは、Catapult(カタパルト)と呼ばれていた新しいブロックチェーンの正式名称をSymbol(シンボル)に決定し、いよいよメインネットに入ろうとしています。

2020年1月20日に、NEM財団後援のもと「NEM SEMINAR 2020 – Road to SYMBOL -」が開催されました。NEMの最新動向をまとめてチェックできる良い機会だったので、取材してきました。

イベントページ:NEM SEMINAR 2020 – Road to SYMBOL –

なお、このセミナーはCoinPostよりYouTubeで内容が公開されています。

Part.1をまだご覧になっていない方は、最初にSymbolの概要を説明しているPart.1の記事を読むと理解が深まります。

▼Part.1

NEM SEMINAR 2020 - Road to SYMBOL - イベントレポート Part.1
日本の仮想通貨取引所でも扱われているNEMは、Catapult(カタパルト)と呼ばれていた新しいブロックチェーンの正式名称をSymbol(シンボル)に決定し、いよいよメインネットに入ろうとしています。 2020年1月20日に、NEM財団後援...

NEM SEMINAR 2020 – Road to SYMBOL – イベントレポート

“岐阜大学のShizuiNet”

by 手塚 建一(目指せ北海道)氏 – 岐阜大学大学院医学系研究科准教授

岐阜大学では、しずい細胞プロジェクトと呼ばれる再生医療に取り組んでいます。その過程で、親知らずや乳歯の細胞が有効であることがわかり、口腔外科で廃棄されるこれらを再利用する研究を行っています。

岐阜大学のしずい細胞プロジェクト

岐阜大学のしずい細胞プロジェクト

再生医療に利用するには、細胞を培養して継代(けいだい)する作業を繰り返していきます。継代して培養して増えた細胞を、3つに分け、また培養、といった形で繰り返して細胞を増やしていきます。しかし、細胞は継代を繰り返すに連れて老化していくため、ある程度増えたら凍結チューブに入れて保管運搬をします。保管には液体窒素を使い、10-20年保管が可能だといいます。

ShizuiNetでは、この凍結チューブの管理にブロックチェーンを活用します。凍結チューブには2次元バーコードが蒸着されており、利用者はそれを剥がせないようになっています。そのため、細胞を輸送や利用する際に2次元バーコードのスキャンをし、その情報をブロックチェーンに刻むことにより細胞の状況をトレースすることができます。ブロックチェーンに刻み込む情報は、各施設や企業、医療機関で共有されて利用されるようになります。

ブロックチェーンで管理する凍結チューブ

ブロックチェーンで管理する凍結チューブ

会場におけるデモでは、凍結チューブを送る際にバーコードリーダーでスキャンをし、受け取り後にまたバーコードリーダーでスキャンをするデモが示されました。そこでは、ウォレットが意識されることは一切なく、単にスキャンをさせるというだけの極めてシンプルな実装がなされています。

デモの様子 - 単にチューブのバーコードをスキャンするだけ

デモの様子 – 単にチューブのバーコードをスキャンするだけ

ShizuiNetの導入前は、細胞が施設内で閉じていて外に出ることはありませんでした。仮に細胞が外に出た場合は、外部からはそれがどのようなものなのかわからないという問題点がありました。NEMブロックチェーンを利用することで、トレーサビリティがオープンになるのはこれらの問題が解決できることに繋がります。

ShizuiNetでは、将来的に細胞製造工場で細胞を別の凍結チューブに入れ替えたり、実際に細胞を使い切るところまでトレースするエコシステムを構築していくことを目指しています。岐阜大学では、ShizuiNetを使ったしずいバレー構想をしており、大学で細胞のシードストックを保管し、しずい細胞研究所で細胞製造や流通管理を行い、他業種と連携する形を模索しています。

しずいバレー構想

しずいバレー構想

▼資料の案内

“再エネの価値を最大化させるトレーサブルな電力の供給〜ブロックチェーン×電力による顔の見える経済圏〜”

by 三宅 成也氏 – みんな電力株式会社専務取締役

みんなの電力は、他の新電力の事業者と異なったアプローチをしている電力の小売事業者です。そのアプローチが、電気の生産者を特定して買うことができるというものです。

みんなの電力の顔の見える電力の仕組み

みんなの電力の顔の見える電力の仕組み

現実的に新電力に切り替える消費者の多くは、安さを重視します。これに対し、みんなの電力は“どうしても再生エネルギーでないといけない“こだわる消費者をターゲットにしています。そのターゲットの1つが企業です。最近の企業は再生エネルギーを使いたい需要が増えている一方、購入した電気がどこから来ているかわからないという問題があります。みんなの電力では、この点を解決していきます。

みんなの電力では、再生エネルギーのトレーサビリティが明確にすることで、最終的に電気を消費者と生産者で直接取引(P2P取引)できるようになり、その先には消費者と生産者の関係性が出来上がるだろうとしています。ブロックチェーンを使うことで、余剰分を再シェアリングしたり誰かに譲渡したり、また電気のICOを行い発電所を建設するという未来が想定されています。

電力にブロックチェーンを応用することでできるようになること

電力にブロックチェーンを応用することでできるようになること

現在、このための事業が全3フェーズのうちフェーズ2まで来ているといいます。

ブロックチェーンを用いた事業展開のフェーズ

ブロックチェーンを用いた事業展開のフェーズ

みんなの電力では、電気のトレーサビリティにNEMブロックチェーンを利用しています。発電所と需要家のそれぞれにウォレットを作り、発電量に応じて発電所にトークンを配ります。需要家が発電所から電気を調達すると、トークンが需要家に渡ります。ブロックチェーンだとデータを改ざんすることができないため、ベンチャーの発電所でも”電気を売った”という証明可能な実績をつくることができます。

電力取引におけるトークンの移動

電力取引におけるトークンの移動

NEMを採用した理由として、取引の客観性を出すためにパブリックブロックチェーンが必要だった点、Catapult(Symbol)への期待値やXEMの手数料の安さがあげられました。NEMのトランザクションは、多い月で5万弱のトランザクション数があるため、スケーラビリティの点からSymbolに対して注目しているといいます。また、みんなの電力のエコシステムでは独自トークンが循環する動きをすることから、Symbolのアグリゲートトランザクションにより、より効率の良いトークンの移動フローを設計できる点にも注目しています。

Part.3

Part.3では、Symbolのステーキングや医療活用への取り組みをお伝えしていきます。

NEM SEMINAR 2020 - Road to SYMBOL - イベントレポート Part.3
日本の仮想通貨取引所でも扱われているNEMは、Catapult(カタパルト)と呼ばれていた新しいブロックチェーンの正式名称をSymbol(シンボル)に決定し、いよいよメインネットに入ろうとしています。 2020年1月20日に、NEM財団後援...
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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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