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プライバシーチェーン「Aleph Zero(AZERO)」の解説

Layer1
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ブロックチェーンの領域でも、まだ本格的に始まったばかりなのがプライバシー領域です。この分野はMoneroやZcashが有名であるものの、送金のみの用途に限られていました。一方で、スマートコントラクトまで有効になってるチェーンは、Secret NetworkやOasis Networkなど、あまり多くないのが現状です。今回は、後者に位置するAleph Zeroについて解説します。

Aleph Zeroの概要

Aleph Zeroは、スマートコントラクトをプライバシー保護したまま実行できるパブリックチェーンで、暗号資産のシンボルは $AZERO になります。データ構造にDAGを採用しているため、正確には”ブロック”チェーンではありません。

Aleph Zeroは、通常パブリックチェーンとしても機能する一方、パブリックチェーンに接続されたプライベートインスタンスとして機能させることができます。これにより、企業はトランザクションのプライバシーを維持しつつ、パブリックチェーンのセキュリティの恩恵を受けながら分散型プロジェクトを構築することができます。

Aleph Aeroでは、独自のコンセンサスアルゴリズムAlephBFTを採用されています。いわゆるブロックチェーンのトリレンマを解消することができるアルゴリズムで、アルゴリズムの論文は査読を通過しています。さらに、Substrateスタックと統合され、Polkadotエコシステムとの接続が容易になっています。また、Aleph Zeroは、IPFSおよび独自のデータソリューションへのシームレスな統合を可能にするAPIを用意し、外部コンテンツとの連携を行いやすくします。

Aleph Zeroは2021年11月10日にメインネットをローンチしました。また、同プロジェクトは2023年1月30日にPolkadotのパラチェーン枠を獲得しました。Aleph Zeroのチェーンは、SubstrateのチェーンにおけるデフォルトのコンセンサスアルゴリズムBABE/GRANDPAを使っておらず、独自のAlephBFTを採用しているため、本来はパラチェーンになることはできません。そこで、同プロジェクトはPolkadotエコシステムと接続するための専用ブリッジを用意することで、ブリッジをパラチェーンとしてPolkadotに接続しました。また、Aleph Zeroでは公式的にEthereum, Near, Kusama, Cosmos, BNB Smart Chainへのブリッジが用意されます。

Aleph Zeroの特徴

トランザクションやスマートコントラクトの匿名化が行える

Aleph Zeroは、匿名化が可能なプライベートスマートコントラクトを搭載しています。

プライベートスマートコントラクトには、ブロックチェーン分野における匿名化技術として知られたゼロ知識証明(zk-SNARKs)と、セキュアパルチパーティ計算(sMPC)を採用しています。これらはそれぞれ補完関係で使われます。zk-SNARKs単体だと、マルチユーザーのやり取りに対応してないため、補助的にsMPCが使われます。ただし、sMPCだと計算が遅くなるため、基本的にはzk-SNARKsのみを利用し、必要に応じてsMPCを利用します。

既存のLayer1チェーンにプライベートな状態をもたらす

AlephZeroでは、Aleph Zeroにブリッジするすべてのネットワーク(Ethereumなど)で使用可能なマルチチェーンプライバシーレイヤー「Liminal」を用意します。

Liminalでは、スマートコントラクトをEthereumやNearに書きながら、これらのスマートコントラクトのプライベートな状態をAleph Zeroに保つことが可能になります。また、Aleph Zero上で直接アプリを構築する人にとっては、Liminalのプライバシーを高める機能がデフォルトで有効になります。

Liminal

トランザクションが高速

Aleph Zeroのコンセンサスプロトコルは、学会の査読を通過したAlephBFTが実装されています。実際に行われたAlephBFTのトランザクション速度のテストでは、Go言語による実装がなされ、5大陸に分散させた112のAWSノードの実験環境で89,600 TPS、416ミリ秒の検証時間を達成しました。

その後、Aleph ZeroはPolkadotへの接続を可能にするために、Rustを使った構築が実施されています。RustはGo言語より高速であるため、Goより高速なトランザクション実行可能になり、Aleph ZeroのTPSは100,000 TPSとされています。AlephBFTは、SubstrateのデフォルトのコンセンサスプロトコルGRANDPAを置き換える形でよりセキュアになります。

査読された論文をもとに開発をしている

Aleph Zeroは、論文の査読(ピアレビュー)によるアプローチを採用しています。これは、第三者(学問分野の専門家)が論文内容の査定を行い、その内容が学術的に認められる場合に実装に進むというものです。同様のアプローチは、Cardanoでもよく知られています。

Aleph Zeroは複数の論文を出しており、以下の論文が公開されています。

*1 Advances in Financial Technology 2019で査読済み

AZEROトークン

$AZERO の用途

Aleph Zeroでは、プラットフォームのネイティブ通貨として$AZEROを利用します。$AZEROは、以下の用途で利用されます。

  • Common DEXの交換手数料の割引
  • Liminalブリッジの資産のラッピング、手数料の割引
  • Liminalのラップされた資産の担保
  • バリデーターノードのステーキング

$AZERO の基本情報

  • 最大供給量:300,000,000 AZERO
  • トークンの割当:
    • 67%:トークンセール(パブリック、プレ、シード、プレシード)
    • 22%:Aleph Zero財団
    • 11%:チーム
  • トークンセールに関するべスティング:
    • プレシード:トークンローンチ時に50%を配布、残りを15ヶ月で段階配布
    • シード:トークンローンチ時に70%を配布、残りを6ヶ月で段階配布
    • パブリック:ロックアップなし

$AZEROを取引できる取引所

Aleph Zeroの技術を採用した分散型取引所「Common」

Common Wallet

Commonは、Aleph Zeroの技術を採用した分散型取引所(DEX)とノンカストディアル型のウォレットで、Aleph Zeroチームの公式プロダクトです。

他のブロックチェーンとブリッジをすることによって、Aleph Zeroで高速かつプライバシーが保護された資産の転送を行うことができます。DEXでは、それらはAleph Zeroの技術を使い、ダークプールとして機能します。フロントランニングを避けつつ、トラストレスな取引が可能で、資産交換のプライバシーが保護されます。また、他のDEXと同様に流動性提供をすることで、Commonの独自トークン$CMNを受取ることができるようになります。

Aleph Zeroに関する情報

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この記事を書いた人

TOKEN ECONOMISTのDirector。「ブロックチェーンによる少し先の未来を魅せる」をポリシーに、注目しているプロジェクトの紹介やインタビューを行っています。

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